ぐるなびは9月4日、2019年のトレンド鍋が「発酵鍋」に決まったと発表した。トレンド鍋とは、食のトレンド、世相、ぐるなびのビッグデータ、アンケート調査などを元に同社が独自に選定しているもの。2009年から毎年、その年の鍋を発表している。同日に都内で開催された発表会では、いくつもの発酵鍋が披露されたほか、発酵のトリビアも紹介された。

  • 2019年のトレンド鍋は「発酵鍋」に決定

    2019年のトレンド鍋は「発酵鍋」に決定

「発酵」が大きなブームに!?

冒頭、ぐるなび広報グループの康松美沙氏が登壇して概要を説明した。健康ブームも後押しし、年々高まりつつある発酵食品の注目度。それはデータからも明らかで、納豆の市場規模、チーズの総消費量は2018年度に過去最高を記録している。また、ぐるなびデータライブラリでも「発酵」の検索頻度がここ2年で4.5倍に膨れ上がっているようだ。こうした世間の発酵への関心の高さから、この冬のトレンド鍋に「発酵鍋」が選出された。

  • ぐるなび広報グループの康松美沙氏

    ぐるなび広報グループの康松美沙氏

なお、発酵鍋は「増税対策」にもなると康松氏は強調。

「発酵食品で代謝を促すと、美容に効果があります。また腸の働きを整えることで免疫力がアップするので、風邪の対策にもなる。美と健康を保てるので、化粧品や風邪薬に充てていた金額を浮かせることができます」(康松氏)

  • ぐるなびの調査では、40代女性の90%が「発酵鍋を食べてみたい」と回答

    ぐるなびの調査では、40代女性の90%が「発酵鍋を食べてみたい」と回答

オススメの発酵鍋を紹介

続いて管理栄養士の柴田真希氏が、3種類のオススメの発酵鍋を紹介した。「腸活! 発酵ねばねば鍋」は、仕上げに納豆を乗せるユニークな腸活鍋。

「大豆が原料の発酵食品である味噌がベース。長芋、なめこなどのネバネバ成分は、胃の粘膜の保護に役立ちます。ちなみに納豆は熱に弱いので、最後に乗せるようにしましょう」(柴田氏)

  • 管理栄養士の柴田真希氏

    管理栄養士の柴田真希氏

  • 柴田氏が考案した「腸活!発酵ねばねば鍋」。ネバネバ成分が胃の粘膜を保護するので、食べすぎになりがちなお鍋でも安心としている

    柴田氏が考案した「腸活! 発酵ねばねば鍋」。ネバネバ成分が胃の粘膜を保護するので、食べすぎになりがちなお鍋でも安心としている

「菌活! たっぷりきのこのチーズ鍋」は、うず高く積み上げられたクリームの見た目が相当なインパクトを与える鍋。クリームにはクリームチーズが入っている。鶏肉は塩麹で揉み込んでおり、メインのきのこもたっぷりと入れた。「きのこは菌そのもの。食物繊維も豊富です」と同氏。整腸作用で肌の調子も上向き、風邪もひきにくくなると解説する。

  • 「菌活!たっぷりきのこのチーズ鍋」

    「菌活! たっぷりきのこのチーズ鍋」

「美活! 甘酒しゃぶしゃぶ ヨーグルト味噌だれ・梅だれ」は、甘酒をベースにした鍋。ビタミンB群、オリゴ糖が疲労回復を助け、腸内環境を整える。大きなポイントは、ヨーグルト×味噌、梅干し×酢の組み合わせによる2種類のたれ。「生きたままの菌をカラダに摂り入れることができます」とアピールしていた。

  • 「美活!甘酒しゃぶしゃぶ ヨーグルト味噌だれ・梅だれ」

    「美活! 甘酒しゃぶしゃぶ ヨーグルト味噌だれ・梅だれ」

菌にまつわるトリビアを紹介

このあと壇上には、発酵ライフ推進協会の是友麻希氏、ぐるなび エディトリアルプロデューサーの松尾大氏が登壇して、菌についてわかりやすく解説した。「発酵食品は、なぜおいしい?」。そんな素朴な疑問について、是友氏は「発酵している期間、つまり微生物が生きている期間ですが、微生物が旨味、甘み、酸味などを出して成長していくんですね。それがコクになり深みになる。だから発酵を駆使することで、簡単に食品がおいしくなるんです」と説明する。

  • ぐるなびエディトリアルプロデューサーの松尾大氏(左)と発酵ライフ推進協会の是友麻希氏

    ぐるなびエディトリアルプロデューサーの松尾大氏(左)と発酵ライフ推進協会の是友麻希氏

「鍋を沸騰させたら、菌は熱で死んでしまうのではないか」という心配には、「まったく問題ありません」と是友氏。菌には、生菌、死菌の2種類があるとした上で「最近では、生きて腸に届く菌も開発されていますが、ほとんどの菌は胃酸にやられてしまい、死菌になる。腸内フローラには腸内細菌が息づいていますが、この死菌を栄養に、彼らの活動が活発になるわけですね。そこに意味があるんです。だから鍋は、最後の1滴まで雑炊にするなどして楽しんでください」と笑顔を見せた。

  • 火を通す前から、すでに美味しそうな発酵鍋

    火を通す前から、すでにおいしそうな発酵鍋

最後は「発酵食品を使うと、味がドンピシャに決まります。どんな人にもおいしく作れるということです」(是友氏)として、「料理が上手な人もそうでない人も、これからの寒い季節に発酵鍋で温まってはいかがでしょうか」と呼びかけていた。