キリンビールとサッポロビールは、北海道空知郡を起源とするホップ「ソラチエース」の誕生35周年を記念したイベントを9月5日から共同で行う。ライバルともいえる2社は、ともに今年ソラチエースを使ったビールを発売したことをきっかけにイベントを共催。低迷の続く国内ビール市場に、ビールを飲む楽しさや面白さを提案していきたいとする。
ビール界の帰国子女「ソラチエース」
キリンビールとサッポロビールは「ソラチエース誕生祭 ~こちらでソラチ、そちらでもソラチ~」を「“BEER TO GO” by SPRING VALLEY BREWERY」「Bier Keller Tokyo 新橋店」の2店舗で開催。限定メニュー「ソラチエースペアリングセット」を9月5日~16日まで提供する。
「ソラチエース」は、1984年に北海道空知郡上富良野町で生まれた個性的なホップ。レモングラスやディルの香り、ココナッツのような後味で知られる。だが、のど越しの良いビールが求められていた当時の国内ビール市場では、その斬新すぎる特長は受け入れられなかった。
長らく日の目を見ることはなかったソラチエースは1994年に海を渡り、その後クラフトビールが流行する中でアメリカのホップ農家により再発見される。そしてブルックリンブルワリーがソラチエースを使ったビールを作ったことで、その名は爆発的に広まった。
そんなソラチエースを使ったビールが、誕生から35年を経て、今年キリンビールとサッポロビールによって日本でも発売された。それがキリンビールが販売する「ブルックリン ソラチエース」とサッポロビールの「Innovative Brewer SORACHI1984」だ。
低迷するビール市場を盛り上げたい
国内のビール総需要は長らくダウントレンドにあり、年に約2%ずつ継続的に下がり続けている。そのような状況のなか共同イベント開催に至った経緯について、サッポロビール Innovative Brewerブランドのブリューイングデザイナーを務める新井健司さんは次のように説明する。
「ビールメーカーとしても、単純に新しい商品を提案するのではなく、違うアプローチでビールを飲む楽しさ、面白さを提案したいと思っていました。そんななか、2社からたまたまソラチエースを使ったビールが同じタイミングで販売され、なにかアピールできることがあるのではないかと考えました」
続いて、キリンビール 企画部 クラフト戦略チーム 兼 ブルックリンブルワリージャパン ブルワリーアンバサダーのユン・ヘジョンさんが両社の思いを代弁した。
「100年以上の歴史があるキリンビールは保守的なんじゃないかと思っていましたが、上司に相談したらオープンマインドで賛同してくれました。サッポロビールさんも我々も、“儲けたい”という思いよりも”ビール市場を楽しくしたい”という思いで通じているのだと感じました」