新宿高島屋の9階に、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」の国内1号店がオープンした。オープン初日の9月4日には、LOVOTを手掛けたロボットベンチャーGROOVE Xの林要社長が登壇し、今後の意気込みを語っている。LOVOTとは? そして高島屋では今後、どのような売り場を目指していくのだろうか? 関係者に話を聞いた。
LOVOTとは?
昨年12月の発表会で「LOVEを育む家族型ロボット」としてお披露目されたLOVOT。ペンギンのようなタヌキのような、小動物を彷彿とさせるフォルムと動き(と控えめな鳴き声)の、愛らしいロボットになっている。先の発表会で、林社長が「何の役に立つわけではありませんが」と前置きをした上で「生き物のような生命感があり」「信頼関係を結ぶことができ」「人と人のコミュニケーションを加速させる」と開発コンセプトを語った通り、愛玩ロボットというユニークな立ち位置を狙っている。
価格は、単体の「ソロ+ネスト(充電器)」のセットで税別29万9,800円、2体セットの「デュオ+ネスト」で同57万9,800円。このほか別途、月額料金が8,980円~かかる。
なぜ高島屋でロボットを?
新宿高島屋は2017年10月、百貨店としては初となるロボットの常設売り場「ロボティクススタジオ」を9階の一角に立ち上げた。9階はベイビー&キッズの商品を取り扱うフロアだ。その半年後、売り場面積を早くも2倍に拡大し、さらに今月2倍に拡大している。高島屋の田所博利氏は「近年、ロボットに対するお客様の関心は高く、需要の高まりを感じています。ロボティクススタジオには親子連れの家族、高齢者など、幅広い3世代にわたる方にお越しいただいており、新たな顧客獲得にも貢献しています」と話す。
これまでも同スペースでは、シャープの「RoBoHoN」などのロボット製品を取り扱ってきた。来店者の動向を分析すると「子供であれば友だちとして、高齢者であれば話し相手として」(田所氏)ロボットと接している姿がうかがえるという。便利化や効率化だけでない、「人々の生活の糧になる存在」としてのロボットが求められつつある、と同氏。
「LOVOTは、新しいロボットの形だと感じています。豊かな表情、スペースを自由に動き回る様子、愛らしい仕草といったものを、この売り場で直に感じていただけたら。たくさんのロボットからお気に入りのロボットを見つけてもらえる場所として、今後ともロボティクススタジオを大きくしていく考えです」と意気込んだ。
すべてのお客がターゲット
登壇した林社長は「先行体験会にはこれまで、のべ5万人の方にご参加いただいています。祖父母、ご両親、お子様など、世代を問わない20~80代のお客様にLOVOTに触れていただいている。そのフィードバックを活かして2019年12月にデュオを、2020年1月にソロを出荷する予定です」と挨拶。このあと両者は、記者団の質問に回答した。
初めての実店舗に高島屋を選んだ理由について、林社長は「LOVOTの製品コンセプトを理解いただける場所で、と考えていました。高島屋さまは、他店に先駆けてロボット製品の売り場を設置し、ロボット産業を盛り上げようと力を入れてくださっている。ロボットに思い入れがあり、ご理解があるパートナー様です。ぜひ、一緒に立ち上げていきたかった」。ターゲット層については「ペットを飼いたいけれど飼えない、すべてのお客様をターゲットにしています」と説明している。
田所氏は、LOVOTの取り扱いを決めた理由についてあらためて聞かれると「かねて購買の現場では、ロボットに求められる役割が『便利さ』から『愛着』に変わってきたのを感じていました。林社長からLOVOTのコンセプトをお伺いしたとき、仕草、動作に愛着が持てるとお聞きした。潜在的な市場のニーズを捉えていると感じました」。
普段、お客様から学ばせていただくことも多い、と田所氏。LOVOTは家族の一員として、今後「この子がいないと楽しくない」と言われるような愛玩ロボットに成長していくのでは、として今後の反響に期待を寄せていた。