近ごろ注目が高まっている将棋棋士の食事“将棋めし”。将棋めしといえばうなぎや寿司が代表的ですが、それと並んで定番なのがカレー。今回の記事ではカレーにフォーカスしたいと思います。

最近のタイトル戦でも、第67期王座戦 斎藤慎太郎王座vs永瀬拓矢叡王の第1局では両対局者とも昼食にカレーを注文したり、現在行われている第60期王位戦 豊島将之王位vs木村一基九段戦でも、両対局者ともに西鉄グランドホテル オリジナルビーフカレーを注文しています。近年では森内俊之九段がカレーを注文することが固定化されたイメージですが、カレーは棋士全般に広く選ばれています。そもそも、棋士はなぜ将棋めしにカレーを選ぶのでしょうか。

棋士はなぜ将棋めしにカレーを選ぶのか

カレーは食べやすい

棋士は対局中は読みに全精力を注いでいます。食事は気分転換の意味もありますが、なるべく対局中の食事は思考を妨げることなく、ある意味機械的にお腹を満たす行為としたいところです。カレーはスプーンを使って簡単に短時間で食べられますし、もちろん味もある程度は想像できるので安心して食べることができます。

メニューを考える手間を省く「カレー定跡」

あれこれメニュー選びを悩んだりするなら、その分将棋に思考を割きたいと考える棋士が増えてきました。そこで登場したのが「カレー定跡」です。あらかじめメニューを決めておけば余計なことを考えず、対局に全精力を傾けることができます。これはうなぎや寿司といった定番メニューにも共通することです。

カレーうどんはキケン?

カレーとよく似た食べ物にカレーうどんがあります。皆さんも経験があるかと思いますが、カレーうどんの汁はよく跳ねます。特に白シャツに汁かかると、跡がかなりが目立ってしまい、気分が滅入ってしまいます。このようにカレーうどんにはリスクが多く含まれていますが、注目の天才高校生棋士藤井総太七段は、デビュー後の29連勝中にかなりの頻度でカレーうどんを注文していました。筆者には食べたいものを食べるという強い意志が感じられましたが、天才にはカレーうどんの危険性など意に介さないのかもしれません。

将棋ファンの聖地「陣屋」のカレー

先述した第67期王座戦の第1局は神奈川県にある旅館「陣屋」で行われました。陣屋といえばこれまで数々の名局が作られ伝説的なエピソードもある、将棋ファンにとってはいつかは訪れてみたい聖地ともいえる場所です。そんな陣屋ではカレーが名物となっています。以前は対局者と関係者以外には出されない幻のメニューでしたが、最近では宿泊客は注文できるようになったとのことです。将棋ファンなら一度は幻のメニューを味わって見たいものです。