漫画家・栗田あぐりさんがTwitterで発表した短編漫画「伝わらない男」に、注目が集まっている。人目をさらうほどの端正な顔立ちと雰囲気ながら、コミュニケーションが少し苦手な青年が、バーで思い切って女性に話しかけようとするものの……。切なくもおかしい展開にツッコミや応援のコメントが寄せられている。
【創作漫画】伝わらない男。 pic.twitter.com/TzfHPosbzG
— 栗田あぐり (@kurita_aguri) August 28, 2019
とあるバーで女性たちの目線を引きつけている、35歳の青年・蓮常寺斗真。彼は人との交流を求めて、初のバーに挑戦したものの緊張してしまい、独りグラスを傾けている。そんな彼のもとに「あの……隣良いですか?」と1人の女性が話しかけてくる。
「な……何か話さなくては」とますます身構える斗真。そこで「こういう時はとにかく褒めればとネットで見かけた」と思い返した彼は、彼女を見やり「この子は……チンチラに似ている。とても愛らしい」とその魅力に気付く。
しかし、斗真は考えすぎてしまう。「チンチラをこの子が知っているかが問題だ」。小動物の方でなく、「猫のチンチラと間違われる可能性もある」とも思い悩む。「もっと誰でも分かるよう率直に……」と考え抜いて、斗真が口にしたのは「君、げっ歯目に似ているね」。
その言葉のショックから女性は「私なんぞが話しかけてごめんなさ~い」と走り去ってしまう。一瞬、当惑する斗真。それでもすぐに、気持ちを持ち直し「女性と5分以上会話が続いたぞ。いい日だ」とはにかんだ表情を見せる。そんな彼は彼女居ない歴35年。少し世間ずれはしているものの可愛らしい青年なのだ。
リプライには、「似ていてかわいいね、ならギリセーフかもしれなかったのに……!」「そのままチンチラみたいって言えばいいのに……」「もうちょいなんか言い方あったでしょー! ハムスターあたりにすればいいのに……でもそのちょっと天然? な感じ好き……」と多様なツッコミが。また、「『が、頑張れッ!』と、応援してしまう……」「誰か……彼の心の底からの心遣いを分かってあげてくれ……」「げっ歯目ってなんですか?? って聞いちゃうアホの子に出会わせてあげてください……」と斗真に対するエールのコメントも集まった。
この短編の作者は、少年漫画誌『ゲッサン』(小学館)にて『片翼シャトル』を連載していたことでも知られる漫画家・栗田あぐりさん。2018年1月には、同作の完結となる4巻が刊行された。また小説家・岩崎夏海さんの作品『エースの系譜』(講談社)のコミカライズも担当。こちらは全3巻が発売されている。