「投資」という言葉にどのようなイメージをもちますか? 貯蓄とどう違うと感じていますか? 「ギャンブル的?」「お金持ちの資産運用?」「貯蓄よりリスクが高い?」「いつかトライしてみたい対象?」「もうすでに取り組んでいる?」「意外と堅実?」……それぞれいろいろなイメージがあると思います。本稿では投資に向く人と向かない人の7つの違いをご紹介します。

  • 「投資」に向く人向かない人、7つの違いとは?

    「投資」に向く人と向かない人、7つの違い

このレポートを読む前に、皆様が感じているイメージを書き出してみてください。投資に必要なことや、投資に向く人と向かない人の性格と自分のイメージを対比させてみると、何か発見があるかもしれません。

金融商品と3つの特性

最初に基礎的なことを確認しておきましょう。金融商品には次の3つの特性があります。

1.流動性
2.安全性
3.収益性

「流動性」というのは、いつでも自由にお金として使える度合いを示しています。例えば、突然の入院などでまとまったお金が必要な時に、預貯金であればいつでもペナルティやリスクなしで引き出せます。反対に手元の資金をすべて株などに投資していると、株価の低い時に換金しなければならないリスクがあります。流動性のある預貯金は、最初に一定金額確保する必要があります。

「安全性」とは、金融消費の中で、価値変動の不確実性の程度を表すものです。一定範囲の預貯金や最後まで保有した国債などは元利保証されていて安全性が高い商品です。定期預金は満期前に換金すると約束した金利は得られず、普通預金扱いになったりして多少のペナルティはあります。それでも安定性は高い商品です。

一方、「収益性」とは期待されるリターンの大きさを表すものです。一般的にリターンが大きいものほどリスクも大きくなります。投資とは、一定のリスクを取りながらも資産を増やしていくことを意味します。

最初に3つの特性のある金融商品をどのような配分で保有するかの判断が必要となるでしょう。

投資は必要か?

ここでいう「投資」とは上記の一定のリスクを取りながらも高い収益を期待できる商品への資金の拠出と定義します。今までの日本人の資産は住まいである居住用資産を除いて、大半が安全性の高い預貯金で占められていました。

しかしこれからの時代は、安全性の高い預貯金だけでは将来設計上、思うような金額の蓄えが難しいという別のリスクがあります。そのために多少リスクはあっても一定の収益が期待できる金融商品に一定の割合で投資することも必要になってきています。

一定の割合がどの程度であるのかは、人それぞれ違います。自分に見合った割合を見つけるのが大切です。

投資に向く人の7つの特徴

投資に必要な要素や投資に向く人は次のような特性があります。

(1)人生設計ができていること
ファイナンシャルプランナーのベースは人生設計です。投資に限らす、何かの大きな計画を実行し成果を上げたいと思うときは、まず人生設計ありきです。将来どのようにしたいかを基に、生涯収支表(ライフプランニングシート)を作成すると、どんな投資が自分に最適か、どの程度リスクを負うことができるのか、いつどのくらいの投資が適切かなどを判断できます。

(2)自分に合った投資スタイルが確立されていて、ぶれないこと
人生設計が確立していれば、今後の長い人生の中で、いつどのようなリスクや弱点があるか判断できます。それを回避したり、リスクをより大きくしたりしない投資戦略が立てられます。

(3)目先にとらわれない自制心と、目的達成のための戦略があること
投資スタイルがしっかり確立していれば、長い目で考えられますので、目先の事象にとらわれてあたふたすることもありません。目標に向かって確実に進むだけです。

(4)生活が広がりすぎずに節約でき、コツコツ貯蓄できること
投資で一攫千金を狙うようでは、投資に不向きと言わざるを得ません。投資の資金は、コツコツと蓄えた預貯金なのです。その後は増えた資金を元手にすることもできますが、しっかりと節約を続けることが大切なのです。

そうして蓄えた資金であれば、甘い言葉によって高値で買うこともないでしょう。

(5)自分が満足するまで徹底的に情報収集ができ、冷静に分析できること
投資にはリスクがつきものですので、中途半端な情報では危険です。自分が確信を持てるまで、情報収集する情熱があるかが問われます。その集めた情報をベースに、数値を冷静に分析する力が大切なのです。

また、対象の会社や商品だけを追いかけていてはおくれを取ります。その会社の業績を予測する世界情勢への知識も不可欠です。

(6)タイミングを逃さない決断力があること
買うときはもっと安くなるのでは……と思ったり、売るときはもっと高くなるのでは……と考えたりで、タイミングを逃すことがあります。しっかり目標設定がされていれば、その範囲内であれば躊躇せずに売買できます。また、しっかり情報収集できていれば、決断もおのずとつくというものです。目標設定や情報収集されていても決断しにくい方は投資には向きません。

(7)長い目で継続できること
基本的に投資は長期で考えるものです。長い目で見て利益が出せればいいと考えられる人は向いています。短期的に見ればアップダウンが大きくても、長い目で見れば少しずつ利益を上げていくことができるでしょう。

投資に向かない人の7つの特徴

「投資に必要なこと、投資に向く人」の反対が、「投資でやってはいけないこと、投資に向かない人」の定義になりますが、具体的にどのようなタイプなのか考えてみましょう。

(1)人生設計がない人
目標のない、計画性のない投資は、儲けるだけの気持ちが強くなりがちです。儲けようとする気持ちが勝ちすぎると判断力を失う危険があります。

(2)投資スタイルがない人
ギャンブルが好きな人、一攫千金を狙う風潮の人などは投資には向きません。最初に決めた投資スタイルを簡単に変えてしまう人も向きません。

(3)目先のことに囚われやすい人
自分なりの戦略がないためにブレやすい人、ちょっと損失が出ると焦ってしまって冷静な判断ができないタイプも投資には向いてしません。

(4)節約できない、浪費家
投資も日々の節約から始まります。浪費家は投資には向きません。最初に設定した使用目的の場合は別ですが、儲かってもその分消費で消えてしまっては意味がありません。利益は次の利益のために投資していくのが本来の姿です。

(5)情報収集と分析ができない人
投資先の商品や会社について勉強しない人、客観的視点のない人、冷静な分析ができない人、面倒くさがりは投資に向きません。

(6)決断力のない人
優柔不断な人は向きません。これ以上継続すると損失はより大きくなるとわかった時、目標の利益を達して損失のリスクを避けたい時、スパッと決断して次の対応ができないと、損失を大きくしてしまいかねません。

(7)長い目で考えられない人
すぐに結果を出したがる人、せっかちで短期間にすぐに利益を求めてしまうタイプの人などは不向きです。

投資に必要なことは、「計画」、「お金=節約」、「知識」、「意志と情熱」、「継続」です。投資に失敗した、ということがないよう自分が向いているか7つの特徴と照らしあわせて考えてみてください。