交通事故で夫(パパ)を亡くした妻(ママ)を、健気に見守ろうとする飼い犬の様子を描いた短編漫画「お利口な犬の話」がTwitterで再掲され、話題を呼んでいる。作者は、『ホウキにまたがる就活戦争』(集英社)などの作品で知られる漫画家・江戸川治さん。天国に旅立つ夫の遺志を解しながら、無邪気に振る舞う犬の姿に、感涙のコメントが多数集まっている。

物語は、飼い犬・ココがパパを見つける場面から始まる。「パパー! ずっとお家帰ってこないでどこ行ってたのさ~!!」と聞くココだが、パパは物憂げな表情。それを見たココは「なんでそんなに悲しそうな顔してるの?」と心配しながら「ほら見て『ゴロン』だよ! パパこれ好きでしょ?」と仰向けになって、芸を披露する。

  • 江戸川治さんによる漫画「お利口な犬の話」(1ページ目)

しかし、パパは反応がない。ココは怪訝そうに「いつもみたいに『お利口さん』って褒めてくれないの?」とチラリ。すると、悲しそうなパパは足の先が消えている。一方、「うぐっ」という嘆きの声の方に目を向けると、そこにはパパの遺影を前に「あなた……!」と泣くママの姿が。ココは、そんなママの周りを「ダメー!! 泣いちゃダメ。笑ってママ~!!」と走り回る。

  • 漫画「お利口な犬の話」(2ページ目)

ママは大泣きしつつも「なんなのこの子は……もう……!」と思わず笑う。ココも「やったー! ママが笑った~!」とニコニコ。そんな2人に、パパは「交通事故で突然死んでしまって……ママはずっとふさぎこむ様になってしまって心配で心配で……オレは逝くに逝けなかった」と吐露する。

  • 漫画「お利口な犬の話」(3ページ目)

「でも」と口にする、パパ。「そうだよな。ママにはお前がついてるもんな」と優しく告げ、「ママを頼んだぞココ……」と旅立っていく。そんなパパの言葉を受け、ココは「ぼくねパパのいいつけやぶったことなんてないよ」と、おどけて"ゴロン"のポーズ。泣き笑いの表情を浮かべるママ、「お利口だからね」とココも少し涙を流し得意げに呟く。

  • 漫画「お利口な犬の話」(4ページ目)

リプライには「リビングで急に泣き出したので変な目で見られました」「一瞬で泣いてしまいました」「目がダム崩壊」と感涙のコメントが多数。特に「最後の一コマで涙腺が崩壊しました」「最後の一コマで何て賢く、健気な子なんだと思い涙が出ました」とラストシーンに高い評価が集まっている。なお「これは、犬も分かってやってるってことですか?」という問いに対して、作者の江戸川さんは「最初の方は何も分かってないけど、ラストの方では全部分かってておどけてます」と明かす。

この短編の初出は2019年の3月。改めて読んだというユーザーからも「何回見ても大好きって思います」「この作品ほんと好きでした」「何度読んでも涙腺がぼろぼろになるのです」「これめちゃくちゃ泣いたやつです……」という声があがっている。