UR都市機構と東京メトロは28日、「UR×東京メトロメディアツアー」と題した報道公開を実施し、日比谷線の新駅、虎ノ門ヒルズ駅の建設現場を報道関係者らに公開した。虎ノ門ヒルズ駅は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会までの供用開始をめざし、建設が進められている。
新駅は日比谷線霞ケ関~神谷町間(霞ケ関駅から800m、神谷町駅から500m)に位置し、2016年2月から工事に着手。UR都市機構が事業主体、東京メトロが設計・工事受託者という役割分担の下、生活環境を備えた国際的なビジネス・交流拠点の整備に加え、地下鉄駅の新設・改良およびバスターミナルの供用開始、地下歩行者ネットワーク等の整備による交通結節機能の強化が図られる。駅名は「より明確でわかりやすく」「まちと一体となった新たな駅」にふさわしい名称として、「虎ノ門ヒルズ駅」が採用された。
虎ノ門ヒルズ駅では2020年の供用開始時、地下1階に相対式ホーム2面(計画延長147m)と改札(北千住方面・中目黒方面各1カ所+連絡通路1カ所)を設置するほか、銀座線虎ノ門駅との連絡通路も使用可能に。その他、ホームドアやエレベーター付き出入口、多機能トイレ、無料Wi-Fiも備えた駅となる。開業後も引き続き工事を進め、最終完成は2022年度の予定。周辺再開発ビルの進捗に合わせ、改札階を地下2階に移設し、再開発ビルと接続するという。
今回の報道公開は、東京メトロの施設や現在施工中の工事などを広く伝えることを目的に、過去2回実施している「東京メトロメディアツアー」の一環で行われた。東京メトロ改良建設部第四建築工事所の技術課長、藤野覚氏の説明によれば、虎ノ門ヒルズ駅の建設工事では開削工法などを採用し、土留壁の設置、路面覆工の架設を経て掘削が行われ、「ライフライン関係をしっかり防護しながら掘っていき、最終的に地下15mまで掘る予定。現在は地下2階部分、あと2mの位置まで掘り進めています」とのこと。
地下1階部分では真新しいコンクリート構造物が見られ、既存トンネル側壁を壊す工事、ホーム床を築造する工事が進められている。北千住方面ホームにトンネル側壁が残り、工事で使用する撤去架台や、切断されたトンネル側壁のブロックなども見ることができた。建設現場のすぐ横を通る日比谷線の線路とは鉄板で仕切られ、列車を見ることはできなかったが、報道公開の途中、たびたび列車の走行音が聞こえてくる。中目黒方面ホームに工事のスローガンなどを掲出した場所があり、将来的にここが銀座線虎ノ門駅への連絡通路の入口になるとの説明もあった。
地下2階部分では、路面がまだ整備されていない状況の中、既存トンネル下の掘削・補強工事が行われていた。「今回の工事は営業線の安全、お客様の安全を第一に考えています。(既存トンネル側壁の)ブロックを動かす作業は営業停止後、深夜1~4時の間に行います。地下2階部分も、列車の運行に支障を来さないように、下受けをする際の施工の管理、既存レールなど軌道面の管理を厳格に行い、日比谷線を守ることを第一として工事を進めています」と藤野氏は話す。
工事の進捗状況に関して、「来年の開業に向けて、進捗率は部分的にではあるものの80%といったところ。電気等の設備工事はこれからですが、オリンピック・パラリンピック開催までには開業できると考えています」と藤野氏。なお、現時点で日比谷線を走る列車から虎ノ門ヒルズ駅の建設現場を見ることは難しいが、工事の進捗にともない、「9月半ばから10月くらいの頃になると、消灯していて真っ暗ですが、よく知っている方が目を凝らして見たら気づくかもしれません」とのことだった。