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【この記事のエキスパート】
酒類ジャーナリスト:松﨑 晴雄

酒類ジャーナリスト:松﨑 晴雄

1960年、横浜市生まれ。大学卒業後、西武百貨店に入社。
商品部、渋谷店などで酒類販売、バイヤーを担当。

1997年に退社し、酒類ジャーナリスト、コンサルタントとして活躍中。
また同年に「日本酒輸出協会」を結成し会長として、日本酒の海外マーケティング、プロモーションに携わる。

「日本酒市民講座」、「うらかすみ日本酒塾」等、消費者対象の日本酒セミナーの講師を担当するほか、各県の清酒鑑評会審査委員、佐賀県、長野県の「原産地呼称管理委員会」清酒焼酎部門の官能審査員のほか、海外での「全米日本酒歓評会」「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」等の審査員を務める。

著書に「大人の探検・日本酒」(監修・実業之日本社)、「日本酒のテキスト①、②」(同友館)など。

「純粋日本酒協会」きき酒コンテストでは30回以上名人となり、永久名人に認定される。


米どころ新潟の日本酒は端麗辛口の味わいが多く、有名銘柄がたくさん誕生しています。日本酒ジャーナリストの松﨑晴雄さんにお話をうかがい、新潟の日本酒の選び方とおすすめの銘柄について教えてもらいました。ギフトにぴったりのセットもご紹介します。

まずはチェック
新潟県の日本酒の特徴

出典:楽天市場

新潟の日本酒は、淡麗辛口の味わいが特徴です。もともとあっさりとした日本酒がつくられていましたが、1957年に「五百万石」という酒米が誕生したことで「新潟淡麗」というスタイルが確立しました。

仕込みに使う水はほとんどが軟水であることもポイント。ミネラル分が少なくやわらかい水質のため、できあがる日本酒もなめらかでやわらかい口当たりになります。キレがよく、主張しすぎない新潟の日本酒は、食中酒に向いています。ぜひ料理と合わせて楽しんでください。

蔵元や甘口、辛口などをチェック!
新潟の日本酒の選び方

日本酒メーカーの数と成人1人あたりの日本酒消費量がトップクラスの新潟県は、生産量も兵庫や京都につぎ第3位と、日本有数の酒どころです。「幻の酒」と呼ばれた『越乃寒梅』は、「地酒ブーム」の火付け役となり、以後も『八海山』『久保田』『〆張鶴』などが人気を集めてきました。そこで、酒類ジャーナリストである松﨑晴雄さんに、新潟の日本酒を選ぶときのポイントを教えていただきました。

ポイントは下記。

【1】新潟を代表する蔵元から選ぶ
【2】新潟県が生んだ「酒米」にも注目
【3】有名銘柄にも注目
【4】プレゼントなら高級銘柄を選ぶ
【5】飲み比べセット

上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。

下越、中越、上越の3つの地域による味の違い
【1】新潟を代表する蔵元から選ぶ

東西に長い県土を持つ新潟県は、下越(かえつ)、中越(ちゅうえつ)、上越(じょうえつ)という3つの地域に分かれ、これに離島の佐渡が加わります。それぞれに食文化の違いなどもありますが、新潟の日本酒は、「淡麗辛口」と表現されることが多いお酒です。

新潟市などの「下越エリア」は端麗辛口が多い

出典:Amazon

宮尾酒造の「〆張鶴」、大洋酒造の「大洋盛」、石本酒造の「越乃寒梅」、麒麟山酒造の「麒麟山」、峰野白梅酒造の「峰野白梅」、越後鶴亀の「越後鶴亀」、菊水酒造の「菊水」などが代表的な銘柄です。

特に、石本酒造『越乃寒梅 吟醸 別撰』は新潟県産の五百万石や兵庫県産の山田錦などを用いてつくられた、軽やかさと澄んだ辛さが魅力の銘酒です。

長岡市を中心とする「中越エリア」は有名銘柄が豊富

出典:Amazon

吉乃川の「吉乃川」、八海醸造の「八海山」、青木酒造の「鶴齢」、諸橋酒造の「越乃景虎」、緑川酒造の「緑川」、朝日酒造の「久保田」など誰もが聞いたことのある銘柄が多いでしょう。特に、八海醸造の『純米吟醸 八海山』は、新潟のみならず全国的に有名な「八海山」。キレはあるけれど米の旨味が感じられてまろやかな飲み口です。

上越市や糸魚川市といった「上越エリア」はフルーティーな甘口が多い

出典:Amazon

丸山酒造の「雪中梅」、妙高酒造の「妙高山」、鮎正宗酒造の「鮎正宗」などが代表的な銘柄です。特に、丸山酒造『雪中梅 本醸造』は、すっきりした辛口の酒が多い新潟のなかでは甘口なほうで、米の旨味が感じられる味わい深いお酒です。

「佐渡エリア」は個性的なお酒がそろう

北雪酒造の「北雪」、尾畑酒造の「真野鶴」などが代表的な銘柄です。特に北雪酒造の『純米大吟醸 北雪YK35』は、山田錦を35%まで磨きこんだ濃醇・辛口の贅沢なお酒です。

【2】新潟県が生んだ「酒米」にも注目

日本酒造りに用いられている米は酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)や酒米(さかまい)といわれ、一番有名な品種は「山田錦」(兵庫などおもに西日本で生産)です。米どころでもある新潟県には「五百万石」「越淡麗(こしたんれい)」という独自の品種があります。

端麗辛口を生む「五百万石」

一般的に「五百万石」は落ち着いた風味が特徴で、すっきりとした淡麗辛口タイプの酒質を生み出します。

ふくよかな甘みのある「越淡麗」

一方の「越淡麗」は「山田錦」と「五百万石」を掛け合わせた、酒米のサラブレッド的な品種です。平成年間に入ってから開発された「越淡麗」はどちらかというとふくよかで厚みのある味わいが特徴です。

【3】有名銘柄にも注目!

新潟県には、全国で広く知られる酒造メーカーもたくさんあります。とくに知られている銘柄を見ていきましょう。

「八海山」

出典:Amazon

ふだん日本酒を飲まない人でも「八海山」という名前を聞いたことがある人は多いでしょう。新潟の日本酒のなかでも、とくに広く知られているのが「八海山」です。南魚沼で作られる「八海山」は、淡麗辛口の先駆け的な日本酒で、すっきりとした味わいが特徴。

一方で米の旨みや甘み、なめらかなのど越しも感じられるバランスのよい銘柄です。

「久保田」

出典:Amazon

「久保田」は、新潟県長岡市越路にある旭酒造がつくっている日本酒です。「紅寿」・「百寿」・「千寿」・「萬寿」などいくつかの種類があり、新潟の日本酒のなかで広く知られています。淡麗辛口のすっきりとした味わいと、豊かな香りと軽やかな飲み口が特徴。

ネームバリューがある銘柄なので、贈り物にしても喜ばれます。

「越乃寒梅」

出典:Amazon

「越乃寒梅」は、新潟市亀田郷地区にある石本酒造の銘柄です。キレがありつつも米の旨みが感じられる、飲み口のよい酒として知られています。

酸味が穏やかで、なめらかな味わいは日本酒を飲み慣れない人にも飲みやすいでしょう。燗をつけることで、香りと旨みが引き立ちます。ぜひじっくり時間をかけて味わいたい銘柄です。

【4】プレゼントなら高級銘柄を選ぶ

出典:Amazon

新潟県ではたくさん日本酒がつくられています。贈りものにするのなら、そのなかでも「高級銘柄」とされているものを選ぶとよいでしょう。広く知られた銘柄であっても、「プレミアムライン」や「純米大吟醸」は高価なものが多いです。

ふだんから日本酒をよく飲む人へは、知る人ぞ知る銘柄を贈るのもよいでしょう。おもに新潟県内で消費される日本酒も少なくありません。

【5】飲み比べセットも人気!

出典:楽天市場

新潟県内には酒蔵の数も多く、それぞれでいくつもの銘柄の日本酒が製造されています。そのため、なかなか自分好みのお酒を見つけることができないという方には飲み比べセットも人気です。複数の蔵元・銘柄のものがセットになったものも多いので、自分の好みに合ったものを見つけることができるでしょう。

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)