ジュンク堂書店・大阪本店(大阪市北区)で8月24日、現役の大学生によって制作された学習用教材「ニッポンのしゅくだいドリル」の発売を記念し、小学生に向けのワークショップイベントが開催された。

  • ジュンク堂書店・大阪本店で行われたワークショップ

    ジュンク堂書店・大阪本店で行われたワークショップ

9月1日に丸善ジュンク堂書店限定で発売される「ニッポンのしゅくだいドリル」は、大阪人間科学大学(大阪府摂津市)の大学生が制作した「社会問題を解決するアイデアを考える」ためのドリル。介護や福祉など、対人支援を学ぶ彼らが知った日本の社会課題をより多くに人に知ってもらい、考えるきっかけになればという思いで制作したという。

同ドリルは、介護や福祉など、今の日本が向き合わなければならない課題を解決する策を自由な発想で考えてもらうために、学習用ドリルとしては例のない「答えがない」仕様となっている。今回開催されたワークショップは、このドリルを子どもがどのように取り組むのか、初めて実践する場となった。

ワークショップのテーマは「パラスポーツ」。第一部の講演には、シドニー・パラリンピックの車いすバスケットボール日本代表キャプテンを務めた根木慎志さんが登壇した。

参加者が大声で根木さんのニックネーム「ネジ」と呼びかけると、元気いっぱいの根木さんが登場。22競技もあるパラスポーツの魅力やパラスポーツのトリビアを紹介するほか、オリンピックにまつわるクイズも行った。お互いの違いを認めることやチャレンジすることの大切さについても根木さんは語り、参加した親子たちは真剣に耳を傾けていた。

  • シドニー・パラリンピックの車いすバスケットボール日本代表キャプテンを務めた根木慎志さんが登壇

    シドニー・パラリンピックの車いすバスケットボール日本代表キャプテンを務めた根木慎志さんが登壇

第二部はいよいよワークショップ。「パラスポーツから考えるボーダレスな未来のアイデア」を考えるもので、参加した小学生たちは、ドリルにも収録されている4つの問題の中から、自分が取り組みやすいものを選び、解決策を考えた。

初めての経験に頭を悩ませながらも、ドリルを考えた大学生からヒントをもらいながら、それぞれ懸命に取り組む小学生たち。ワークショップの最中には根木さんも登場し、自らの体験について話し、子どもたちにヒントを与えた。

  • 大学生らからヒントをもらいながら考える小学生たち

    大学生らからヒントをもらいながら考える小学生たち

第三部では、自分が考えたアイデアを発表。大学生や根木さんの助言もあってか、子どもたちからは『かけると視野が広くなるメガネ』『障害者の動きを体験できるテーマパーク』『元気づけてもらうことが嬉しくなる時計』などの斬新なアイデアが提案された。

参加者の1人・小学4年生の香里さんが考えたアイデアは「困っている人の声が聞こえるイヤホン」。香里さんは『仲良く遊ぶことの問題』について取り組んだ。「友達と喧嘩したとき、謝りたいと思っても、なかなか素直に言えないときもある。でもイヤホンにしたら、そんな声も届くかなって。同じように困っている友だちの声も聞こえると思った」とアイデアに至った理由を語った。

  • 第三部では、自分が考えたアイデアを発表

    第三部では、自分が考えたアイデアを発表

子どもたちの様子を見ていた保護者は、「真剣に考える姿や、子どもらしいアイデアや発想に驚かされた」「堅い内容で難しいかな、と感じていたが、思った以上にスラスラと取り組んでいた。親子ともに、今まで知らなかったことや、興味がなかったことを知るきっかけになったと思う」「根木さんのトークには心迫るものがあった」といった感想を語った。

小学生向けのワークショップは、今後も随時開催。9月1日のテーマは「防災の日」で、被災地を拠点に食と農をつなぐ事業を手掛けるONETABLEの社長・島田昌幸氏をゲストに迎える。

9月16日のテーマは「敬老の日」。ゲストは、若者が介護に関心を持つきっかけや若者が活躍できる環境づくりに注力するJoin for Kaigo代表の秋本可愛氏。いずれも会場はジュンク堂書店・大阪本店、丸善・京都本店(9月16日のみ)。

参加条件は、小学校3年生以上の子どもと保護者で、各回児童20名。参加費用は無料。要予約。予約は各店舗、または電話にて受け付ける。