昨年(2018年)モデルのドラム式洗濯乾燥機で、無線LAN接続に対応したシャープ。2019年モデルでは、その後継機種にあたるES-W112のほかに、縦型洗濯乾燥機の3製品と全自動洗濯機の1製品にも無線LANを搭載しました。メディア向けに内覧会からお届けします。
シャープの洗濯機における無線LANの搭載は、2018年モデルのドラム式洗濯乾燥機「ES-W111」が初めて。独自のクラウドサービス「COCORO WASH」を通じて、同名のスマートフォンアプリと連携し、AIによる各種サービスをユーザーに提供する仕組みです。シャープはクラウド側にAIを用意して、インターネットを通じて双方向に対応するのが特徴。そのため、ハードウェアによらず、AIが常にアップデートされた状態である点がメリットです。シャープは「AIoT」(AIとIoTを合わせた造語)と呼んでいます。
COCORO WASHで利用できるサービスとしては、天気や季節、時期に合わせた最適な洗濯アドバイスが挙げられます。例えば本体の電源をオンにすると、天気予報をもとに洗濯物の乾きやすさなどを教えてくれたり、花粉の多い時期には乾燥機能の利用をすすめるといった動作です。本体には発話機能もあり、音声によりメッセージも発信します。
実用的な機能として、洗い方を提案してくれる機能もあります。スマホアプリのメニューで「洗い方ナビ」を選択すると、選択するアイテムや、「すすぎをしっかりしたい」「部屋干ししたい」といった目的別にコースを案内してくれるだけでなく、それをそのまま洗濯機に転送し、運転を行うことも可能です。
コースの数ですが、「アイテム別」は縦型洗濯乾燥機が36コース、全自動洗濯機が31コース。「こだわり別」は、縦型洗濯乾燥機が15コース、全自動洗濯機が8コース、用意されています。ほかにも、運転中や予約状況の確認、洗濯レポートの配信、使用する洗剤の銘柄を登録しておき、適切な使用量を洗濯機側で知らせてくれる機能もあります。
これらの機能は、2018年のドラム式洗濯乾燥機で提供されていたものとほぼ同じ。しかし、シャープのメジャーアプライアンス事業部 商品企画部長の北川秀雄氏によると、40人のユーザーを対象に行った調査では、洗濯機を無線LANに接続して使用しているのは3割強。最も使われているのは「運転状況確認」(30%)で、「洗剤の適量発話」(22%)、「洗濯レポート」(22%)、「お天気発話」(17%)、「専用コースダウンロード」(8%)の順とのことです。
また、シャープは無線LANを搭載した冷蔵庫も発売しています。無線LANに対応する洗濯機と冷蔵庫のユーザーについて、使用状況をクラウドデータから分析した結果、洗濯機の運転と冷蔵庫のドア開閉はほぼ同じ時間帯に行われている傾向が明らかになったといいます。洗濯の最中に料理をしたり、ドリンクを飲んだりしているのでしょうね。
そこで今回の2019年モデルでは、シャープのスマートホームサービス「COCORO HOME」を通じて、洗濯機と冷蔵庫を連携させる機能を追加しました。洗濯が終了すると、その通知を冷蔵庫に配信し、冷蔵庫側の発話ボタンを押すと音声で知らせてくれます。スマートスピーカーにも対応し、Amazon AlexやGoogleアシスタント、LINE Clovaに対応した機器を通じて、音声による運転状況の確認も可能です。
そのほかの機能や基本性能は、縦型洗濯乾燥機は2018年モデルとほぼ同じ。全自動洗濯機は、容量が10kgから11kgにアップしています。
推定市場価格(税別)は、縦型洗濯乾燥機「ES-PW11D」(洗濯11kg、乾燥6kg)が23万円前後、「ES-PW10D」(洗濯10kg、乾燥5kg)が22万円前後、「ES-PW8D」(洗濯8kg、乾燥4.5kg)が20万円前後です。一方、全自動洗濯機「ES-GW11D」(洗濯11kg)は15万円前後。発売はいずれも9月19日を予定しています。
内覧会では、7月25日に発売済みのドラム式洗濯乾燥機の新製品「ES-W112」も紹介されました。2018年モデルとの違いは、「COCORO HOME」による対応機器との連携機能や、「洗い方ナビ」のバージョンアップ、ソフトウェアによる機能性の向上などです。ほかにも、DDインバーターの採用に加えて、洗い時の耳障りな変速音を抑えた独自の循環ポンプ、風切音を出さない無排気乾燥により、低騒音化を図りました。運転音は洗い30dB、脱水時37dB、乾燥39dBと、いずれも業界最高水準となっています。発売時の推定市場価格(税別)は34万円前後です。
シャープの洗濯機は縦型もドラム式も、2017年モデルで大幅なデザイン変更と構造上の刷新を図りました。2018年モデルではドラム式のみだったAIoT対応を、2019年は一気に5機種にまで拡大。洗濯機における無線LAN機能の搭載という、インフラ面の普及という点では、他社を一歩リードしたともいえるでしょう。加えて、クラウド型という独自路線のAI機能により、先進かつ有用な機能が追加されていくため、今後もユーザーエクスペリエンスの向上に期待と注目です。