H.I.S.ホールディングスは9月1日より、国内14番目となる「変なホテル 浅草田原町」を開業する。ホテルコンセプトは温故知新で、日本の伝統色である「唐紅(からくれない)」をベースに和をイメージさせるデザインで仕上げているそうだ。開業に先がけて、見学してきたので紹介したい。
世界初となるホログラムのフロント
同ホテルでひときわ目を引くのは、世界初となる光の3Dホログラムによるフロントチェックインだろう。ホログラムは3種類用意され、振動センサーで来客を感知し「忍者」「恐竜」「執事」が出迎えてくれる。
利用者はまず2階にあるフロント、ロビーへ向かう。無人のフロントには3台のチェックイン端末があり、1台ごとに異なるホログラムとなっている。好みの端末でチェックインの手続きを開始すると、案内に合わせてホログラムがアクションを行う仕組みだ。
また、ロビー床面にはプロジェクションマッピングを導入。利用者が歩いた後や、チェックインでのホログラムと連動した演出がされている。チェックイン手続きと、映像や音響による演出効果を以下の動画で確認してほしい。
H.I.S.ホールディングス 取締役 星康彦氏は、今回の取り組みについて「先進性」「変化」「コスト」の3点が決め手だと言う。日常ではあまり目にしないホログラムを体験できる価値、変なホテルの代名詞である受付ロボットのホログラムへの転換、そしてロボットからホログラムへにすることでの導入コストの圧縮だそう。
特にホログラムは既に開業しているホテルでも展開が容易なので、変なホテルのコンセプトである「変わり続けることを約束するホテル」に即していると言う。
スイートルームを初めて用意
フロント以外の見どころでは、同ホテル初となるスイートルームだろう。タイプは「ファミリースイートルーム」「コーナースイートルーム」の2つが用意され、利用者や目的により使い分けることができる。
ファミリースイートルームは3室あり、1~4名の利用を想定。料金は8万円~(大人4名利用)となっている。
そして、コーナースイートルームは1~3名利用を想定し、料金は8万2,000円~(大人2名利用)となる。5室あるこちらは、特別な日に利用すると「よい感じ」だ。特に高層階の部屋では、夏の風物詩「隅田川花火大会」も一部見ることができるほか、東京スカイツリーも眺めることができる。
なおスイートルームには、通常の部屋と異なる「専用のアメニティ」も用意されている。
ビジネスや観光など幅広く対応
もちろん、スイートルーム以外にも、シングルルーム(10室/3万円~)、ダブルルーム(27室/4万円~)やベッドが離れたセパレートタイプの「ジャパネスク・ツインルーム」(50室/4万4,000円~)、バス・トイレがセパレートとなる「デラックスツインルーム」(25室/6万2,000~)など、ビジネスから観光まで幅広く利用できるスタンダードな部屋も備えている。
また部屋以外にも、レストランやスーツケースを預けられるコインロッカー「Baggageport(バゲッジポート)」、客室設置型のタブレットサービス「Tabii」など利便性を考えた施設、サービスを利用できる。
働き方改革をホテル業でも
マネージャーの宮崎大介氏は「ロボットやホログラムなど、省人化によるコスト削減に注目されがちですが、『お客さまへの対応』が疎かになるのは本末転倒。ホスピタリティは『4つ星ホテル』とし、フロントと別にスタッフがいるカウンターを設けて、ロボットができないことを人間が対応するという考え方です」と話す。
また、ホテルは24時間勤務という職場なので、残業などに目を向け、省人化を踏まえ適切な仕事量に調整したいとも言う。
少子化による人材確保の困難さは、全ての業界、企業に共通した悩みだろう。ホログラムによるチェックイン・アウト対応だけに注目すると、単なる「変」なホテルだが、同ホテルが掲げる変はサービスだけではなく、ホテル業界の働き方への提案として興味深いと感じた。
※金額はすべて税・サービス料込み