以前に比べアプリの起動が遅くなった……ひょっとして、画面も暗くなったように感じませんか? WEBページを読み進めるときなどの画面スクロールにも、滑らかさが減ったような気がしませんか? すべて一致する場合には、iPhoneに内蔵されているバッテリーの「寿命」を疑ったほうがいいかもしれません。
iPhoneに採用されているリチウムイオンバッテリーは、酸化および還元という化学反応を利用して電力を生み出します。充放電を続けることは、その化学反応を繰り返すことにほかならず、やがて材料が化学変化を起こし電気を流す役割を担うイオンが減少します。すると電気を貯める力が弱まり、新品のときと比べ充電可能な容量(バッテリーの最大容量)も減少します。
バッテリーの化学的な経年劣化が進むと、インピーダンス(電圧と電流の比)が増えます。インピーダンスの高いバッテリーから電力を供給すると、電圧が急低下し、突然のシャットダウンの原因となります。
iPhoneではこれを防ぐため、瞬間的なパフォーマンスをシステムレベルで管理しています。iPhone 6以降のモデルに採用され、iPhoneの温度やバッテリーの充電レベル、インピーダンスなどを監視して突然シャットダウンすることがないようにしているのです。
その代わり、パフォーマンスが制御された状態ではアプリの起動が遅くなる、画面輝度が下がるなどの副作用が生じます。パフォーマンス制御は一時的なもので、バッテリーの劣化が進んだからといってつねに副作用があるわけではありませんが、バッテリーの経年劣化が相当進んでいるiPhoneでは長引くこともありえます。
利用しているiPhoneがパフォーマンス制御されているかどうかは、『設定』→「バッテリー」→「バッテリーの状態」の順に画面を開き、「ピークパフォーマンス性能」の注記で確認できます。最近キビキビ感が低下したな、と感じる場合にチェックしてみましょう。