WOWOWは、2019シーズン最後のグランドスラム、全米オープンテニスを、連日独占生中継。日本人選手では、昨年の同大会で日本人初のグランドスラムを制覇した大坂なおみと、2014年準優勝の錦織圭に注目が集まる。同大会で解説を務める松岡修造がこのほど、報道陣の取材に応じて見どころなどを語った。
松岡は、全豪オープン、全仏オープン、そして全英オープンが終わっている今年のグランドスラムについて「多分日本の方々が今年最もグランドスラムを見たんじゃないですかね。錦織圭選手が全豪、全仏、全英とベスト8に入り、僕の周りでもテニスをしない人たちからのテニスを見ている、という声が最も多いですね」と期待を寄せた。
全米オープンテニスの見どころについては「今シーズン最後のグランドスラムなので、選手サイドからすると全てを賭けてもいい大会。ツアー後半のちょうど体力的にもメンタル的にもキツイ時だからこそ、選手たちもタフな試合が多くなる大会と言えるでしょう。そういう意味ではメンタルも体力も比べられ、もう一つはナイトセッションもあってコントロールするのが難しいところがありますね。そういうところは錦織選手やビッグ3(ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ)が大得意。そんな彼らから出てくるエンターテインメントエネルギーをどう自分で注入していくかが一番のポイントです。グランドスラムの中でも大会としてのエンターテインメント性の面白さはアメリカならでは。だからこそ、他のグランドスラムでは感じられない雰囲気があるんですね」と解説した。
今大会では、錦織圭と大坂なおみら日本勢の活躍にも期待が集まる。錦織について「今年のグランドスラムの結果を見るとすごい安定感。とんでもない成績を残しています。ただ、ビッグな選手に当たると勝てないという風に感じている方が多いのではないでしょうか。錦織圭自身の中にもそういう雰囲気はあるかもしれません。それを破るのがこの大会であって欲しいですね」と話し、大坂なおみについては「昨年の全米の時と比べると全体的なレベルは落ちているところがあると思います。例えば、走らされた時、去年の全米では耐えられた。そういう体力がありましたが、今は充実していた時に比べると違うと思います」と指摘。一方で、「大坂なおみというプレーヤーはパワーもあってハマった時は強い特別な選手ですが、今はすごく小さくまとまっていると僕は感じています。インタビューの途中で涙を流し中断してしまうということはあまり見ないです。だからこそ、それを吹き飛ばせる大胆さ、大胆ななおみを出して良いんじゃないかなと思います。なおみカンバック!」とエールを送った。
また、錦織のライバルとなる男子テニス界のビッグ3についても言及。「進化していますよ。フェデラーは全盛期より間違いなく上手いし、ジョコビッチも守りだけだったのが攻撃もできるようになった。ナダルもどんどんネットに出てきて、僕も彼らの進化しているテニスを初めて見ています。世界のテニスの中でも驚きだと思いますね」と年齢を重ねて進化する彼らに畏敬の念をいだいているそうで、「だから本当に今の男子テニスは見逃すなと言いたいですね。これから新しい時代の若手の選手たちがどんどん来ますから、今の男子は最高潮でしょう。こんなにヒートアップしている時代に現場で解説できるなんて、こんなに幸せなことはありませんね」と話していた。