アクロニス・ジャパンは8月21日、個人ユーザー向けのデータ保護バックアップソフトウェア「Acrinis True Image 2020」を発表しました。

  • Acrinis True Image 2020

    定番ツールの「Acrinis True Image」に最新版が登場

永続ライセンス(買切版)のスタンダード版とアップグレード版に加えて、一年間のバージョンアップ権を持つサブスクリプション版(クラウドストレージ付属)があります。サブスクリプション版はクラウドストレージの容量によって、250GBのアドバンス版、1TBのプレミアム版です。プレミアム版にはバックアップ認証機能と電子証明機能がつきます。

さらにそれぞれ、インストール可能なデバイス数によって1台版、3台版、5台版というラインナップです。また、パッケージ版で学生対象のアカデミック版(パソコン1台版のみ)が用意されます。新製品は、Acronisオンラインストアでは8月21日から発売し、他のオンラインストアやパッケージ版は10月11日から販売開始となります。

■Acrinis True Image 2020のラインナップと税別価格
製品名 パソコン
1台版
パソコン
3台版
パソコン
5台版
永続ライセンス(通常版) 5,074円 8,130円 10,167円
永続ライセンス(アップグレード版) 3,037円 6,093円 8,130円
サブスクリプション(アドバンス版) 5,074円 8,129円 10,166円
サブスクリプション(プレミアム版) 10,166円 15,259円 16,277円
アカデミック版(パッケージ提供のみ) 3,037円
  • Acrinis True Image 2020

    永続ライセンス版(パッケージ版)は、通常版とアップグレード版。それぞれ、パソコン1台版・3台版・5台版を用意。さらに、アカデミック版(パソコン1台)を加えた7製品が、オンラインまたは店頭で販売されます

  • Acrinis True Image 2020

    サブスクリプション版は2019年8月21日から新バージョンにアップグレード可能。画面は発表会後に自宅のAcrinis True Imageを起動して表示されたもの

Acrinis True Image(以下、ATI)は、パソコンのバックアップソフトとして広く使われています。特に、パソコンのHDDやSSDを換装するとき、システムごと新しいストレージに移行できるとあって、HDDメーカーなどが提供する乗り換えツールとして使われている実績もあります。

そのATIに大きな変化が起こったのは、2016年のAcrinis True Image 2017でした。これまでのバックアップ機能だけでなく、ランサムウェアを防御する「Acronis Active Protection」が加わっています。さらに2017年の新バージョンでは、ブロックチェーンを使ってファイルの真正性を証明する「Acronis Notary」を加えた「Acronis True Image 2017 New Generation」がリリースされました。

  • Acrinis True Image 2020

    左は製品紹介を行ったアクロニス・ジャパン プロダクトマーケティングマネージャーの村上憲子氏、右はアクロニスの会社概要を説明したアクロニス・ジャパン ディストリビューション営業統括部 統括部長の安倍正人氏

ローカル&クラウドの同時バックアップで「3-2-1ルール」を簡単に実現

ATI2020は100以上の機能改善を加えたということですが、もっとも注目したいのは「Dual Protection」機能です。これは、クラウドストレージとローカルストレージの両方へ同時にバックアップを取る機能で、バックアップの「3-2-1ルール」が簡単に実現できるのです。

3-2-1ルールとは、「データを3つ用意し(バックアップを2つ取る)、2種類のストレージに格納して1つは別の場所にバックアップを取る」というものです。これによってパソコンが破損しても、バックアップが常に用意されている状態となります。

さらに、洪水や火災で同じ場所にあるパソコンとバックアップが破損したとしても、遠隔地のバックアップが利用でき、安全なバックアップを確保する方法です。一方、個人ユーザーで3-2-1ルールを行うのは手間がかかります。

今回の新バージョンで、設定ひとつで複数のバックアップ、オフサイトバックアップが可能になったのは、ATI2020のすばらしい改善ポイントです。アクロニスによると、個人向けバックアップでは初となる製品とのこと。ただし、クラウドバックアップ機能を持つサブスクリプション・アドバンス版以上の製品でないと使えません。

  • Acrinis True Image 2020

    ATI2020で強化された最大のポイントは、遠隔地データ保管、および複数コピーを簡単に作成できるデュアルプロテクション

バックアップに関しては、フォーマットが変更されたことで処理速度が向上。また、デスクトップトレイに表示される「トレイ通知センター」によって、管理画面を開かずに状況を確認できるようになり、利便性が高まりました。

  • Acrinis True Image 2020

    バックアップフォーマットを変更して、高速バックアップを実現

  • Acrinis True Image 2020

    トレイ通知センターは、かゆいところに手が届く機能アップ

サイバーセキュリティに関する機能面では、マルウェア対策を行う「Acronis Active Protection」を強化。怪しいプロセスを監視できるようになり、不正と判断した場合はその理由を表示します。

  • Acrinis True Image 2020

    ランサムウェアなどに対応するActive Protectionは機械学習を強化し、なぜ悪いのかも明示します

話題が前後しますが、筆者は普段からATIを使っており、実際にデータ喪失の危機を救われた経験があります。ATI2020で気になった機能が、Dual Protectionとバックアップフォーマット変更です。

自宅のメインマシンは240GBのSSD、2TB HDDと3TBのHDDとなっており、バックアップのフルイメージ作成は1日以上かかります。バックアップサイズも4TBを超えます。バックアップフォーマット変更によってバックアップ時間が短くなれば望ましいと思う一方、4TBを超えるバックアップをクラウド上に保存するのは行うのは、簡単ではありません。ただ、最重要のデータ領域のバックアップだけに限定すれば、Dual Protectionも現実的でしょう(サブスクリプション・プレミアム版では最大5TBのクラウドストレージが利用可能ですが、追加ストレージ料金として年間17,600円必要です)。

  • Acrinis True Image 2020

    ATI2020の動作対象は、Windows 7以上、macOS 10.11以上。2010年1月14日にWindows 7はサポート終了となりますが、それによってATI2020が動作対象から外れるわけではないとのこと。確かに、すでにサポート終了のWindows 8もATI2020の動作対象に入っています。また、スマホバックアップに関しては、台数無制限なのも特徴です

  • Acrinis True Image 2020

    「アクロニスはスポーツをスポンサードしているが、単にスポンサーフィーを払っているだけでなく、選手や試合データのバックアップのテクニカルサポートを含めた支援を行っている」(安倍氏)。2019年7月には、マンチェスター・シティFCの選手を招いたパートナーイベントも開催していました