さまざまな実用例がある中、今後特に伸びを見込むものとして比戸氏は外観検査を挙げた。

「まず人手不足という問題がある。1日中製造されるものをチェックするのはかなりの重労働。さらに何をはじいて何をパスさせるのかというのは難しく、担当者による基準がずれてしまう。これを機械でやることで24時間365日同じ基準でできた方が製造業としてはあるべき姿に近い」と比戸氏は指摘。

  • 製造業の製品検査における課題

そうした課題に対応するものとしてPreferred Networksは「Visual Inspection」を提供しているが、その特徴は導入の手間が少ないことにあるという。導入時に用意する不良品の画像枚数が少なく、不良画像に対する該当箇所を人力で指摘する必要もない。UIも直感的にすることで非エンジニアでも運用可能にしている。

限られた資料からの学習だけで導入可能であり検出精度も高いことから、導入企業も多くあるという。講演では2社の導入事例が紹介された。

東レ・プレシジョンでは形状的に画像検査のしづらいフェライトドラムについてパーツフィーダー型で、ロボットハンドリング検査装置に比べて安価かつ効率的な検査を実現したという。

  • 複雑な形状のフェライトドラムをパーツフィーダー型の装置で検査

  • 通常の画像検査では検知しづらいツバ裏の不良も検知

2つめの事例としては、建材事業を中心とする吉銘が紹介された。板材加工時に節の出るものを不良としたいが、色味や大きさがさまざまであることから熟練者でも判別が難しいという。これを深層学習で解決した。

  • 板材の節を画像認識で判別

RPAと外観検査ツールの組み合わせでさらなる効率化を

深層学習について、現在需要が高く実用例も多いものとして外観検査ソリューションを挙げた比戸氏は、今後の方向性としてRPAと組み合わせることによる効率化が狙えると語った。

「現在はアラートがあがったら人が見に行くなどして対処していることを、RPAを使えばアラート自体をある程度フローの中に入れて高速化したり自動化したりできる。外観検査ソリューションとRPAを組み合わせることで欠陥の発生や発生率、プロセスやラインがわかり、アラートの解除や問題発生プロセスの一次停止を自動化できる。まず第一弾としてこれから提供して行きたい」と比戸氏。

  • (AI×ロボット)×RPA

さらにUIPathが当日の基調講演で発表したドラッグ&ドロップでAIスキルを実装できる「AIファブリック」機能等を挙げ「現在はサードパーティアプリとして接続しているが、今後はUIPathがマシンラーニングスキルをデフォルト機能として取り込んで行こうとしている中、組んで行けたら製造業にインパクトのあるソリューションが提供できるのではないかと考えている」とも語った。