過去に「スマホのカメラで星空やホタルを美撮できる?」という記事をお届けしましたが、今回はスマホのカメラで「花火」と「水族館」を撮影してきました。どちらも夏から秋の被写体としては定番で、映える写真にもぴったり。スマホのカメラでオート撮影しても、水族館ならキレイな写真が撮れるでしょう。ただ……花火は難しかった……。
使ったスマホはファーウェイの「P30」です。カメラ機能は、3つのレンズを備えたトリプルカメラ。ライカとの協業によるカメラで、広角(約4,000万画素)、超広角(約1,600万画素)、望遠(約800万画素)というトリプル構成です。P30本体には「Leica」の銘があります。今回、ファーウェイのプレスツアーに参加して、写真家の内田ユキオさんに教えていただく機会に恵まれました。内田さんはライカに造詣が深く、ライカのカメラを搭載しているファーウェイスマホのアンバサダーでもあります。
最初にちょっと基礎知識と、内田さんオススメのカメラ設定を教わります。P30のカメラはAI機能が優秀で、カメラアプリを「写真」モードにして「AI」を有効にしておけば、ほとんどの場面でキレイな写真が撮れます。内田さんがいうには、詳細なマニュアル設定が可能な「プロ」モードで設定を定めておき、プロモードと写真モードを使い分けるとよいとのこと。
まずは浴衣美人のポートレートからっ(え!?)
やってきたのは横浜・八景島シーパラダイス。浴衣姿のモデルさんも同行してくれたので、まずはポートレートを撮ってみることに。水族館と花火と聞いていたのですが、写真家の血が騒ぐのでしょう。内田さんが真剣に、熱く、ノリノリに。一行(いっこう)もひたすらシャッターを切りはじめます。
ポートレートモードやアパーチャモードで背景のボケをコントロールしつつ、内田さんからは構図のアドバイスも。「広角カメラにして、寄って、やや下からあおり気味に撮ると、迫力感が出ます」(内田さん)。
水族館はホワイトバランスを変えてみよう
水族館の水槽を泳いでいる魚を撮るとき、内田さんがオススメする設定は「ホワイトバランスを蛍光灯か電球にして、-1EVの露出補正をかける」こと。オートモードだと、水の色が緑っぽくなりがちですが、ホワイトバランスを蛍光灯か電球にすることで、深~い青に写ります。この設定は本当に簡単で効果的。スマホのカメラだけでなく、デジタルカメラでも使えるテクニックです。
また、天井のライトの光が写り込むようにすると、太陽の光がそそぐ海面に向けて、海の中から撮ったような雰囲気になります。ありがちな写真かもしれませんが、自分の手で美しく神秘的に撮れると感激です。
熱帯魚のような「色」のある魚たちや、全体のコントラストが低くなりがちなクラゲなどを撮るときは、HDRモードもおすすめ。HDRで撮ると、黒つぶれと白とびが発生しにくくなり、色もはっきり出やすくなります。透明っぽいクラゲはコントラストが強くなり、立体感が出ます。
花火は運まかせ?
そうこうしているうちに、とっぷりと日が暮れ、花火の時間に。P30のカメラをプロモードにして、内田さんのオススメ設定にして挑みます。
内田さんが挙げる「スマホの花火撮影で失敗する原因」は4つ。「手ブレ」「煙」「シャッタータイミング」「カメラの設定」です。
「手ブレ」はしっかり構えるしかありませんが、最近のスマホでカメラ機能に手ブレ補正が付いている機種なら、ある程度は大丈夫でしょう(しっかり構えるのは大前提で、手ブレ補正の過信は禁物)。人の混雑具合や施設のルールといった状況が許すなら、簡易的なスマホ用の三脚や、ジンバルを使うのも手です。
「煙」は運が大きいそうです。花火の打ち上げが始まってから時間がたつほど、空中に花火の煙が残り、写りをじゃまするようになります。風があれば煙が流されますが、基本的に花火の撮影は前半が勝負。
「シャッタータイミング」は経験とウデでしょう。今回のマニュアル設定では、シャッタースピードを「1秒」にしていて、内田さんが教えてくれたタイミングは「花火が弾ける瞬間」にシャッターボタンをタップすること(1秒のシャッタースピードは手ブレにも注意)。ひょろひょろ~っと空に昇っていく火の玉をガン見しながら、タイミングを計ります。
失敗原因の4つめ「カメラの設定」ですが、普段はオートモードで撮ることが多いでしょう。オートモードでうまく写らなかったら、ぜひ設定を変えてみてください。カメラ機能で「花火」モードを持っているスマホもありますし、多くの機種でかなり詳細なマニュアルモードが使えます。
先に紹介した、内田さんのオススメ設定を参考に、ISO感度、シャッタースピード、ホワイトバランスなどを調整してみるとよいでしょう。特に、花火を撮影しているとオートフォーカスに時間がかかりがちなので(ピントが合ったときにはオイシイ場面が過ぎ去り……)、ピントはマニュアルフォーカス「無限遠」がおすすめです。
さて、最初のうちは意気込んでいた筆者ですが、途中からは下手な鉄砲も数打ちゃ当たる状態。撮った写真を見返すと、失敗ばかりでへこみます。トホホ~……。何とか見られる花火写真は、だいたい10枚に1枚くらいだったでしょうか。それでも何枚かは内田さんに褒めてもらえて、失敗写真だらけの記事にならなくてホッとしましたよ。
これは個人的な考えですが、花火の写真は画面全体にぴったり花火を収めようとせず、少し余白(というか余黒)を持たせて撮影して、あとからトリミング(切り抜き)してもよいと思います。
トリミングや回転はアプリで簡単にできますし、最近のスマホカメラは画素数も大きいため、写真の外周を少し切り取るくらいなら画質の劣化はまず気になりません。SNSに投稿するならそれほど大サイズの写真でなくてもいいので、トリミングで全体の構図を整えるとより映える写真に仕上がるでしょう。
普段は機材やら取材やらの撮影がほとんどの筆者、今回のイベントでは純粋に「写真を撮ること」を楽しめました。P30の優秀なカメラ機能によるところはあったものの、カメラ機能のマニュアルモードを備えているスマホは多く、露出補正やホワイトバランスはキレイな1枚を撮るためにとても有効な設定項目です。いろいろな被写体をいろいろな設定で撮影すると、写真がもっと楽しくなりますよ。