ほぼ日が「ほぼ日手帳2020」の全ラインアップを発表した。来年のほぼ日手帳には、「1日1ページ」という原則に縛られずに使える新商品「day-free」が登場。これまで、ほぼ日手帳を使いこなせていなかったと感じているユーザーには、ぜひ注目してもらいたい商品だ。
筆不精に朗報? 新商品「day-free」
「ほぼ日手帳」といえば、文庫本サイズ(オリジナルサイズ、A6)で1日1ページの記入スペースを備えたものが思い浮かぶ。ペンのすべり具合が心地いい「トモエリバー」という紙に3.7mm方眼が施されたページは、予定を書き込んだり、観てきた映画のチケットの半券を貼ったり、日記のように出来事や考えたことを書き込んだり、絵を描いたりなど、いろいろな使い方が可能だ。
1日1ページはほぼ日手帳の特徴であり、魅力でもある。それは確かなのだが、1日1ページが重荷になることも。何も書くことがないと白紙のページが増えていくのが気になるし、1日に1ページが割り振られていると、「毎日書かなければ」とプレッシャーを感じてしまう人もいるかもしれない。
そんな人たちのための新しいほぼ日手帳が「day-free」だ。この手帳は巻頭に月間カレンダー(2020年版は2019年12月~2021年3月の期間を収録)が付いていて、残りは「日付のない」方眼のノートになっている。day-freeの「free」は「シュガーフリー」や「グルテンフリー」などの「フリー」と同じ。1日1ページを含んでいない仕様になっている。
「1日1ページを気に入って使ってくれている方はすごく多いんですけど、その一方で、1日1ページを重荷に感じている方もいました。日付って、気にしない方は気にしないんですけど、几帳面な方だと、『ちゃんと(毎日)使わないと』と思ってしまうところもあったんです」
ほぼ日手帳担当者の話を聞いて、大いに納得できるところがあった。ほぼ日手帳を毎年のように買っている私も、1日1ページは手に余ると感じていたからだ。その点、day-freeであれば、予定は月間カレンダーに書き込んでおいて、残りの方眼ノートページは書きたい時に使えばいい。そういう意味では、気楽に使えるほぼ日手帳だといえそうだ。もちろん、「day-free」もほぼ日の手帳カバーをかけて使うことができる。
2020年も充実の手帳カバー、「どせいさん」がタイルに?
次は手帳カバーを見ていこう。個人的に真っ先に確認したかったのが、『MOTHER2』関連の商品。今回の注目は「タイルのどせいさん」だ。
ほぼ日の代表取締役社長・糸井重里さんが手掛けたテレビゲーム『MOTHER』シリーズの2作目と3作目に登場する「どせいさん」は、その見た目、話し方、知能の高さ、奥ゆかしさ、優しさなどからMOTHERファンの間で人気のキャラクターだ。今回、ほぼ日では、小さなタイルを組み合わせてどせいさんを作り、その作品を撮影してプリントカバーを作った。ドット絵を一つひとつのタイルの組み合わせであしらった凝った作り方で、ゲームの中で出会ったどせいさんを思い出させてくれる。
『MOTHER2』とのコラボレーションカバーはもう1つある。2016年版で大人気だった「CAST」というカバーの革バージョンだ。登場キャラクターが並んだデザインを革に型押しして作ったこのカバーは、ヌメ革を使っているので年月とともに味わいが深くなる経年変化も楽しめる。
ほぼ日では毎年、アーティストや写真家などとのコラボレーションで多彩な手帳カバーを展開している。2020年版では、グラフィックデザイナーの仲條正義さんの手による「2020年」がテーマの作品や、写真家の幡野広志さんの写真を用いたカバーなどを発表した。
ほぼ日で最も売れている商品が、ほぼ日手帳だ。2019年版は85万部を販売したという。85万と聞けば「大量生産」という言葉が思い浮かぶが、実際のほぼ日手帳は手作業の印象が強いように見える。なぜ、そう感じるのか。手帳担当者の考えは以下の通りだ。
「ほぼ日手帳って実は、たくさんの『人』が関わっています。手作業の部分がすごく多い商品なんです。例えばカバーも、縫製の部分は全て手作業ですし、工業製品のように、機械的に作っているような商品ではありません。生産現場を回った糸井も、その手仕事の精密な仕上がりに感心していたくらいです」
手帳というありふれた商品に注目し、19年にわたって作り込んできたのがほぼ日手帳の歴史だが、手帳そのものに今後、改良の余地は残っているのだろうか。担当者は「まだまだあると思います。使い方とか楽しみ方という意味では、いろんな提案ができるのではと考えています」と話していた。