日本の夏といえば、おばけ、怪談。夏休みの肝試しにドキドキしたのも遠い昔。そんな、すっかり大人になっちゃったサラリーマンを童心にかえらせてくれるのが、池袋 サンシャインシティで8月10日~8月26日まで開催中のイベント「ゲゲゲの妖怪100物語」。なんかやだなぁ~、怖いな~怖いな~とか言いながら勇気を出して行ってみた。父さん、すごい妖気です……!!
妖怪たちの世界を体感できる涼イベント
「ゲゲゲの妖怪100物語」は、「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの漫画家・水木しげるさんが描き出した妖怪たちの世界を体感できるイベント。オープン初日に行われたプレス向け内覧会では、関係者招待もあり、たくさんの家族連れの姿が。中には、鬼太郎のちゃんちゃんこ姿のコスプレイヤー風のお子さんも。おい、鬼太郎! コミケ会場は別の場所じゃ! (目玉おやじ調で)。
開催にあたり、水木さんの奥さま・武良布枝さんが「盛大な催しを開いてもらい感無量です」とご挨拶。また、水木さんの長女で水木プロダクションの代表を務める原口尚子さんも「水木が子どもの頃に感じた妖怪の出そうな昔の日本の雰囲気を肌で感じてもらえたら」と語った。
泣き出す子ども続出のヒヤヒヤ展示の数々
中に入ると、スタッフのみなさんが鬼太郎のちゃんちゃんこスタイルでお出迎え。まずは「妖気の部屋」に誘われた。暗闇の中で妖怪の気配を体感できる空間となっており、椅子に腰かけると、鬼太郎によるナレーションに続き部屋は真っ暗に。静まり返る部屋の中、小さな子どもが静寂を破り「帰りたいよぉ~」と叫んで、場内爆笑となり和んだのもつかの間。真っ暗闇となりどこからか、妖怪の足音が……その後、子どもギャン泣き。そりゃ泣くよ~! おじさんだって怖いもの。いや~じつにスリリングな空間だったよね(半泣き)。
歩を進めると、「妖光の洞窟」「妖怪大迷宮」等、テーマごとに様々な妖怪にまつわる展示がされており、壁には妖怪の解説が事細かに書いてある。「こんな妖怪いたんだ! 」というものもあれば、有名な妖怪も「えっそうだったんだ!? 」という発見もあり。リアルな水木しげる先生のイラストが、妖しげな空間の臨場感を高めてくれる。中には、「この妖怪ってこんなに怖かったっけ!? 」というイラストもあり、楽しいのと同時にゾッと背筋が凍る涼しさも体感できた。
途中、巨大な妖怪の顔面がドカンっと並んだエリアでは「いやだ~! 怖い~! 」と引き返そうとママの手を引っ張る子どもの姿も。子どもを連れて行って、「悪い子は妖怪に連れて行ってもらいますからね! 」と言えば明日から夏休みの宿題を始めるような気がする。 さらに進むと「女妖怪の棲む城」なるコーナーが。一見何にもないようだが、鏡の前に立ち、手元の太鼓を叩くと、妖しくも美しい女妖怪たちの姿が浮かび上がってきた。やっぱり、すべての女は妖怪なのよ、ということなんでしょうか(半泣き)。
他にも、鬼太郎の世界観をVRや3Dで疑似体験できる「XRアート体験ゾーン」や、「妖怪自動車」に乗って記念撮影できるコーナーもあり。帰りにはオリジナルグッズが300アイテム以上揃う特設ショップ「妖怪百貨店」でお土産を買うこともできる。イベントを内覧して感じたのは、昔は人々の想像力が具現化されて妖怪のような言い伝えを生み、その結果地域ごとに様々な生活文化を作り上げて、暮らしを豊かにしてきたのだということ。物質も情報も溢れまくっている現代だからこそ、妖怪の存在は人の心に新鮮な何かを残してくれるのではないだろうか。この夏、家族と、友だちと、カップルで、もちろん1人でも。「ゲゲゲの妖怪100物語」で日本の風物詩を感じて涼しくなってみては?
●information
「ゲゲゲの妖怪 100 物語」
池袋 サンシャインシティ文化会館ビル2F 展示ホールD
東京都豊島区東池袋3-1-4
期間:2019年8月10日~8月26日
時間:11~20時(最終入場19時30分)
休:会期中無休
岡本貴之(オカモト タカユキ)
1971年新潟県生まれのフリーライター。音楽取材の他、グルメ 取材、様々なカルチャーの体験レポート等、多岐にわたり取材・ 執筆している。好きなRCサクセションのアルバムは『BLUE』。趣味はプロレス・格闘技観戦。著書は『I LIKE YOU 忌野清志郎』(岡本貴之編・河出書房新社)」。