「へそくり」という言葉、何かワクワクしませんか? なぜでしょうか。「お小遣いが増える」、「自由に使える」、「配偶者に内緒」、「プラスα感覚がたまらない」などでしょうか。皆様はどのようなイメージですか?
誰もがあったらうれしい、少しわくわくするような自由に使えるお金は、どのような工夫をしたらよいのでしょうか。上手な貯め方を考えてみましょう。
そもそも、「へそくり」って何?
今までは「収入の手段を持たない専業主婦が、自分の自由にできるお金を、家計をやりくりしながら少しずつ貯めていく」というイメージではなかったでしょうか。一般的な日本の家庭では、専業主婦は家計を管理し、その采配の上で自分のための支出は許されてはいましたが、まとまった小遣を定期的に確保していたケースは少なかったのではと思います。
日々のやりくりの中で、無駄をなくして自分の自由にできるお金を少しずつ蓄えていくのが「へそくり」なのではないでしょうか。夫も出張費や出張で支給される交通費をやりくりして貯めている方もあるでしょう。
つまり前提にあるのは「節約」、「しっかりしたマネジメント」、「その結果の自分へのご褒美」なのです。なぜか「配偶者に内緒」という側面もあります。
これからの働く男女のへそくりとは?
最近は共働きが普通になっています。そのため専業主婦のへそくりとは少し異なったものになってきているようにも思われます。夫婦で生活に必要なお金を平等に供出して、家事も共同、夫婦間であらかじめ取り決めた毎月の貯蓄額分を除いた残りのお金は、夫婦それぞれが自由に管理するという家庭も多くなってきていると思います。
そうした時代のへそくりは、かなり規模が大きなものになっているのケースもあるかもしれません。「自分用の投資不動産を購入する」、「将来起業するための資金にする」、「長期運用の資金」など、ささやかな楽しみというよりは、将来の一層の安定のために、かなり大胆な計画もありそうです。
「へそくり」の上手な貯め方とは
家計簿をつける
最近私は本格的に家計簿をつけ始めました。目的は年金生活への準備で、完全に年金で暮らしていくには、どのような工夫がどの程度必要かを知るためです。単に年金だけで月々生活するだけでなく、耐久消費財の買い替えや旅行などの費用のために余力も生み出さなくてはなりません。工夫して予定以上の余力ができれば、ちょっと贅沢ができます。
大きなお金も、日々のコツコツ工夫することからスタートします。家計簿はへそくりを生み出すうえでとても効果的です。
コツコツ節約する
サラリーマンは振り込みされない出張手当等の諸手当、工夫で浮かした出張交通費などをコツコツ貯める方法があります。夏場のペットボトルなどの購入費もマイポットに買えれば長い目で相当な節約になります。
愛煙家であれば、この際に禁煙してたばこ分を貯蓄すればよいのです。まさにチリも積もればとなるはずです。下図はマイポットに買えた差額分を3%で運用した場合とたばこ1日1箱分を節約して3%と0.5%で運用した時に、65歳で得られる資金を表しています。
気の遠くなる年数ですが、運用次第で65歳で430万円や800万円、1640万円のへそくりができることになります。
大きく貯める
住宅ローンを組むときに、以前は当然のようにボーナス返済も付け加えられました。経済が低迷し、ボーナスが不安定になって以来、ボーナス返済なしというケースが一般的になっていると思います。
私は20代のころからボーナスはほぼそっくり貯蓄していました。最初は共同経営形式の会社の運転資金に供出していたのですが、普通の会社員になってからも、それまでの習慣となっていたボーナスは貯蓄(または投資)を実行していました。その中でささやかな楽しみとして、ボーナスの端数(10万円未満)を自由に使ってよいお金として設定していました。まさにへそくりのような意味合いです。
端数が数千円の時もあれば、9万円以上の時もありますが、それはそれで、限られた金額の中で最大の楽しみを見つければよいのです。私はボーナス分をそっくり貯めた資金で、自分用の不動産を購入しました。
大きく貯めるにはボーナスが最適です。だけどその中で、貯めるだけでなく、端数の金額を楽しむなど、ささやかな楽しみを見つけるのがポイントです。
人生設計を立てる
たとえ、ささやかな楽しみのためのへそくりであっても、ベースとしてあるのが、しっかりした将来への貯蓄があってこそでしょう。マイホームのための預貯金、教育費、老後の生活費などがしっかり計画的に進んでいてこそも安心してへそくりが楽しめるはずです。
また、使う目的のはっきりしている大きな金額のへそくりこそ、しっかりした計画が必要なはずです。是非人生設計をしっかり立てて、今後の収支を明確にして、へそくりを思う存分楽しんでください。
■著者プロフィール: 佐藤章子
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。