子育てと仕事の両立のために「時短勤務」を選択する人は多いかもしれません。しかし、時短勤務が終わった後、どのように働くかはイメージできていますか? 今回は、時短勤務が利用できる期間や、時短勤務が終わった後の働き方について解説します。
時短勤務とは
3歳に満たない子を養育する労働者は、希望すれば、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮できます。いわゆる「時短勤務」とよばれている制度です。これは、「育児のための所定労働時間の短縮措置」として育児・介護休業法で義務化されています(育児・介護休業法23条)。
対象となる労働者は、
1. 3歳に満たない子を養育する労働者であること
2. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
3.日々雇用される者でないこと
4.短時間勤務制度が適用される期間に、現に育児休業をしていないこと
5.労使協定により、適用除外とされた以下の労働者でないこと
ア その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
イ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
ウ 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
となります。
対象となる子どもは、以前は、法律上の親子関係がある実子、養子に限定されていました。しかし法改正により、特別養子縁組の監護期間中の子や養子縁組里親に委託されている子等も対象となりました。
そして、この制度は男女関係なく、また、配偶者が専業主婦(夫)であっても利用できます。
時短勤務の延長はできないの?
この制度を利用できる期間は、子どもが3歳になるまでの間で、労働者が申し出る期間となります。
とはいえ、その時期の子どもはまだまだ手がかかることも多く、3歳になったあとも時短勤務で働きたいと思われる方も多いのではないでしょうか。
育児・介護休業法では、小学生になるまでの子どもがいる労働者に対しては、養育に必要な措置を講じるよう努めなければならないとされています。ただし、現状では「努力義務」 となっています。
厚生労働省の「平成30年度雇用均等基本調査」によると、育児のための所定労働時間の短縮措置の最長利用可能期間は、実施している事業所のうち、半数以上が義務化されている3歳未満となっています。
ただ、過去3年間の調査結果と比較すると、3歳以降でも利用できる事業所が増えてきている傾向にはあります。
ご自身の勤め先には、現状どのような制度があるのか、今後制度の拡充を計画しているのか、を確認しておく必要があります。
時短勤務終了後はどんな工夫で乗り切る?
時短勤務の期間が終わりに近付くと、仕事と子育ての両立への不安がさらに大きくなるかもしれません。フルタイムで仕事を続けることが難しく感じる場合は、少しでも負担を減らすために、早めに対処法を考え、行動に移すことが大切です。
その際、「会社に相談すること」と「自分でできること」と2つに分けて考えることで、効果の度合いと即効性の両方からアプローチすることができます。
会社に相談すること
・時短勤務の延長
・フレックス制度の利用
・時差出勤制度(始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ等)の利用
・テレワーク、在宅勤務の導入など
自分でできること
・仕事の効率化を図る
・業務内容や進捗状況を他の人がわかる状態にしておく
・職場の人とより積極的にコミュニケーションを図る
・すでにある制度を上手に活用する(「子の看護休暇 」を利用する等)
・保育園の延長保育を利用する
・ファミリーサポートを活用する
・ベビーシッターを雇う
・自動化できる家電の導入(洗濯、掃除、調理)
・食材宅配サービスの利用など
会社の制度に関することは、すぐに実現できない場合もあるかもしれません。けれど、働き方そのものを育児と両立しやすい形にできれば、その効果は大きなものになります。
働く意識を変えたり、便利な家電を使ったりするなど、自分次第ですぐにできることもたくさんあります。すぐにできることを取り入れながら、会社への働きかけも諦めずに続けることが大切です。
ご自身の価値観、子育てサポートの有無、収入、キャリアビジョン、職場環境・・・・・・さまざまな要因が絡む問題だけに、難しく感じることもあるかもしれません。利用できる制度やサービスをうまく活用しながら、ぜひご自身の望む働き方を手に入れてくださいね。
筆者プロフィール: 長谷部敦子
ラーゴムデザイン代表 長谷部敦子 ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー。父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン.com」