夏バテと聞くと、体力や食欲の低下をイメージしますが、それだけではありません。実は、どんなに対策しても、夏になると髪や肌がカスカス、カサカサとなることがあるのです。医師の木村至信氏(以下、キムシノ氏)が教えてくれた方法で、潤いを取り戻しましょう!
日傘選びの盲点は内側の色
生命にかかわるほど暑い日本の夏を乗り切るには、日傘が必須。「男が日傘なんて……」など、気後れしている場合ではありませんよ。さまざまな市販品がありますが、さて、どうやって選べばいいのでしょう。医師のキムシノ氏に聞きました。
キムシノ氏「まず、色選びです。外側だけでなく、内側の色も非常に重要。外側は『1級遮光』と表記してあるものは、99.99パーセント以上の遮光ができます。さらにUVカット機能が高いものを。このように選べば、黒だけでなく好きな色が選べます。
逆に、意外な盲点は、内側の生地色。白や銀色の場合、足元のアスファルトなどの紫外線の照り返しで、日傘の内側に反射し、顔に紫外線を浴びてしまいます。紫外線を吸収する黒や濃い色がお勧め。それから、効果は大体2~3年。定期的に買い替えましょう」。
日焼け・紫外線対策を女医目線で選ぶ
キムシノ氏は産業医・耳鼻科医として働く女医でありながら、美容外科勤務としても勤務中。ビューティーにも意識の高いご本人はどのような日焼け対策アイテムを選んでいるのでしょう?
キムシノ氏「日焼け止めは、『SPF30ぐらい、PA++ぐらい』が目安。敏感肌でもダメージが少ないので、こまめに塗れます。ちなみに、SPFなどの数値が高いほど焼けないというわけではありません! その他の性能としては、ウオータープルーフであること、紫外線散乱剤のみ配合のもの、できれば伸びやすいミルクかジェルを選ぶと良いですよ」。
肌や髪の毛の日焼け対策
このように、正しい知識を得て、しっかり対策したつもりでも「うっかり日焼け」はしてしまうもの。深刻なダメージとなる前に、何か対策ってあるのでしょうか?
キムシノ氏「日焼けは、メラニンが増えてできるものです。本来、メラニンは定期的に肌のターンオーバー(生まれ変わり)で排出されるのですが、排出しきれないとシミになります。ターンオーバーをしっかりするには、保湿しかありません。日焼けした肌は乾燥してスカスカになり、バリア機能が衰えているので、保湿をいつもより強化しましょう。
食事なら、肌の再生を促すビタミンC、A、Eがお勧め。野菜やフルーツ、サプリなどから摂取できます。ちなみに、ターンオーバー2サイクル分(約2カ月)、新たな日焼けをしないようにすると、肌が生まれ変わりますよ」。
秋頃にふと気付くと、髪がカスカスになっていることがありませんか? これも、夏の間のダメージの蓄積に違いない……。
キムシノ氏「髪も当然、日焼けをします。それだけでなく、髪が紫外線を浴びるとキューティクルがひび割れ、髪の主成分のタンパク質の変性が起きるというわけ。さらに、エアコンや紫外線の影響で頭皮が乾燥したりすると、髪に栄養が行きにくくなります。髪の成分を補うトリートメントや、トリートメント前に使うケラチン原液などが有効です」。
なるほど、勉強になりました。男子も女子も、日焼けは厳禁。今年こそは日焼けせず、健康的な肌と髪のまま夏を乗り切りたいですね。
取材協力 :木村至信(きむら・しのぶ)
女医。信州大学医学部卒業後、横浜市大医学部大学院にて医学博士取得。産業医・横浜市の往診耳鼻科医。夏バテの予防策や美肌、美声などについての監修仕事多数。 医師の傍らシンガーとしても活動中。