国土交通省は9日、同省と静岡県、JR東海がリニア中央新幹線静岡工区の事業を円滑に進めるため、当面の進め方を確認したと発表した。

  • 国土交通省がリニア中央新幹線静岡工区の当面の進め方について発表(写真はイメージ)

静岡工区は現在、トンネル掘削に伴う大井川の減水に関して、水資源の確保や自然環境の保全などの観点から静岡県とJR東海との間で協議が進められているところであり、トンネル掘削工事には至っていない。

リニア中央新幹線は全幹法・アセス法などにもとづき進められ、国民生活や経済活動へ大きなインパクトをもたらす重要な事業であり、沿線自治体等の期待も大きいことから、できる限り早期の実現が望まれている。一方、大井川の水資源の確保は静岡県にとって切実な問題であり、またエコパークに登録された南アルプスは国内でも貴重な自然環境を有する地域のひとつであるため、これらへの影響を回避・軽減するための措置を適切に講じていく必要がある。

このような状況の中で、JR東海は水資源の確保や自然環境保全のための措置について真摯に検討し、着実に実施するとともに、静岡県は科学的知見等にもとづきつつ、必要となる行政上の手続きを速やかに進めることが求められている。今回、事業を円滑に進めていくため、国土交通省は静岡県およびJR東海と今後の当面の進め方について確認するための調整を行い、三者で合意した。

水資源や自然環境への影響を回避・軽減するための措置については、現時点における科学的・工学的な観点から検討されるものであり、検討の場として静岡県は専門部会を設けている。JR東海は静岡県の立会いの下、専門部会の委員などから提示された意見・質問の趣旨等を確認しながら検討を深め、6月6日付の中間意見書に対する最終的な回答を作成する。その際、科学的な根拠等を示しつつ、県民や利水者にわかりやすいものとなるよう努める。静岡県は検討の場として専門部会を設けている経緯に鑑み、手続きを経てJR東海から回答が提出された際は速やかに専門部会を開催し、科学的・工学的な検討を有識者等に委ねながら、専門部会が円滑かつ迅速に進むよう努める。

国土交通省は専門部会における検討を見守りつつ、状況に応じて検討の促進などに努めるとしている。

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