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【この記事のエキスパート】
害虫防除技術研究所所長・有限会社モストップ取締役:白井 良和

害虫防除技術研究所所長・有限会社モストップ取締役:白井 良和

京都大学農学部卒業、京都大学大学院農学研究科修了。

京都大学農学部昆虫学研究室で農業害虫コナガを研究、殺虫剤メーカーでゴキブリベイト剤の開発に携わった後、富山医科薬科大学大学院医学系研究科に在籍し、蚊の誘引に関する研究で医学博士号を取得。

害虫防除技術研究所を2001年に設立。害虫駆除会社にて、ゴキブリ、ネズミ、ハチ、蚊などの害虫・害獣駆除に従事し、有限会社モストップを2003年に設立。

蚊をはじめとする害虫忌避剤、蚊捕獲器の評価試験や、出版、各メディアへの情報提供を行っている。著書に「蚊の対策がわかる 蚊の教科書」「蚊のチェックポイント71」、共著に「蚊のはなし」などがある。


虫除けスプレーには、効果の持続時間や使用タイプなどにより種類があります。アース製薬、フマキラー、ジョンソンなどの商品が定番です。この記事では虫除けスプレーの選び方とユーザーイチオシの商品、編集部のおすすめ商品を紹介します。用途にあった、あなたにとっての最強の虫除けスプレーを選んでくださいね。

「ディート」は要注意? 不使用がいい?
虫除けスプレーの選び方

害虫防除専門家の白井良和さんに、虫除けスプレーを選ぶときのポイントを教えてもらいました。虫除け剤の効果確認試験を行なっている白井さんだからこそ、挙げることができるポイントをご紹介します。ポイントは下記の5つ。

【1】有効成分で選ぶ
【2】濃度や効果の持続時間で選ぶ
【3】噴射形状・タイプで選ぶ
【4】香りのタイプで選ぶ
【5】服にスプレーするときは素材に注意!

上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。

ディート・イカリジン・ハーブ系
【1】有効成分で選ぶ

虫除けスプレーの成分には、「ディート」「イカリジン」「ハーブ系」に分けられます。成分表示はラベル裏側の下の方にあることが多いので、確認してみましょう。

それぞれの特徴を紹介します。

高い虫除け効果を期待できる「ディート」

出典:Amazon

ディートは、虫除け剤のなかでもっとも定番の有効成分。1回の使用で効果が長続きするのがメリットです。蚊やマダニだけでなく、アブやブヨ、ヤマビルなどさまざまな害虫に高い効果を発揮します。

ただし、生後6カ月未満の赤ちゃんには使用しないでください。6カ月以上の乳児は、ディート10%以下の商品であれば使用が可能です。12歳未満の子どもには、使用回数が制限されているので、確認するようにしましょう。

長時間効果が持続するので、アウトドアで使いたい方や何度も塗りなおすのが面倒な方におすすめです。

幅広い年齢で使える「イカリジン」

出典:Amazon

イカリジンは、1986年にドイツで開発された有効成分です。日本では2015年に承認されました。

効果はディートと同等レベルでありながら、肌への負担が少ないため使用年齢の制限がないのがメリット。小さな子どもから年配の方まで安心して使うことができます。また、虫除けスプレーの独特なニオイもありません。

ただし、蚊・マダニ・アブ・ブヨの4種類の害虫にのみ効果を発揮します。ちょっとしたお出かけや公園へのお散歩など、日常生活での使用におすすめです。

天然由来成分のハーブ系なら「レモンユーカリ」配合を

ハーブなどオーガニックの天然由来成分など、虫が嫌がるにおいを配合したスプレーもあります。虫が嫌がるハッカやユーカリ、レモングラスなどが配合されています。

特にレモンユーカリが配合されているものは、「シトロネラール」という虫が苦手な成分が最も多く含有されているので、チェックしてみてください。

イカリジンよりも、さらに肌への負担が少ないのがメリット。一方で虫除けの有効成分が配合された「虫除け」ではないので、アウトドアなどがっつり野外で作業するときには不向きです。

赤ちゃんや肌が弱い方におすすめですよ。

【2】濃度や効果の持続時間で選ぶ

出典:Amazon

有効成分の濃度が高いほど効果が高く、持続時間も長いです。状況に応じて、適した商品を選ぶことが大切です。

普段使いなら「ディート10%程度」「イカリジン5%程度」

普段使いの場合ならディート含有量が10%前後もしくは、イカリジン含有量が5%のもので充分。

有効成分の濃度が高いほど、持続時間も長いですが、その分副作用が出る確率も上がってしまうためデイリーユーズなら濃度が低いものを定期的に使っていくようにしましょう。

アウトドア用なら「ディート30%」「イカリジン15%」

長時間外にいる場合はディートは30%・イカリジンは15%配合された虫除けスプレーを選びましょう。濃度の高さに比例して持続時間も伸びるので、濃度が高めのものを選ぶことで長時間の外出時にも役立ちます。

ここで気を付けなくていけないのは、濃度が高くなると副作用が起こる確率も高くなるということ。体の様子を見ながら使用するようにしてくださいね。

子どもに使用するときのおすすめは?

【エキスパートのコメント】

保育園や幼稚園、小学校に通っているお子さんの場合、何度も塗り直すのは難しいでしょう。その場合は、ディート10%程度、またはイカリジン15%の商品を選んでください。ディート30%の商品は、12歳以上の方が使用できます。

効果時間が切れても塗り直せるなら、ディート6~7%、イカリジン5%など低濃度の商品が適切です。1~2時間おきに塗り直すことで、虫除け効果を持続させることができます。

【3】噴射形状・タイプで選ぶ

出典:Amazon

虫除けスプレーには、「エアゾールタイプ」「ミストスプレータイプ」「ウェットティッシュタイプ」の3つに分けられます。

広範囲に一気に塗れる「エアゾールタイプ」

広範囲にかんたんにスプレーできるのがメリットです。反面、スプレーを吸いこんでしまう可能性があるため、顔や首、耳などへの使用にはあまり向いていません。腕や足などにスプレーするのがいいでしょう。

子どもに使用する際におすすめな「ミストスプレータイプ」

液体の霧なので、拡散させずに噴射できます。手のひらにつけてから顔や首、耳に塗りましょう。

エアゾールタイプ、ミストスプレータイプともに、屋内で使用すると香りが拡散しますので、屋外で使用するのがおすすめです。

持ち運びに便利な「ウェットティッシュタイプ」

全く拡散させずに使用できるので、ニオイが気になる方向き。持ち運びにも便利です。

ウェットティッシュタイプは屋外・屋内を問わず使用できます。

【4】香りのタイプで選ぶ

出典:Amazon

【エキスパートのコメント】

使用したとき、周囲に香りが拡散されるのが気になる方や、自分に長時間香りがつくのが気になる方には、無香料がおすすめです。

一方、気分をリフレッシュさせたい場合、好みの香りのする商品がある場合、香水代わりに使用する場合、汗の臭いを隠したい場合などは、香料ありの商品を選ぶのがいいでしょう。

香料ありの虫除けスプレーとしては、ミント、バラ、海、柑橘(かんきつ)、ピーチアプリコットなどの香りがする商品が発売されています。

【5】服にスプレーするときは素材に注意!

虫除けスプレーのなかには、服に使用できるものがあります。1カ所に集中するとシミになるので、衣服にスプレーする際は全体にまんべんなくスプレーしましょう。

素材によっては、スプレーの成分で変色を起こすものもあるので注意が必要。しかし、レーヨンや絹などの水に弱い繊維、水洗い不可の表示のある服などは、使う前にいったん目立たない部分にスプレーしてみましょう。シミや変色などの変化があった場合は、使用しないほうが無難です。

また、色の濃い服はメントールの影響で白くなることがあるので、使用は控えたほうがいいでしょう。

選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)