主要16作がそろった2019年の夏ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、全作品の初回放送をウォッチ。俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視!」したガチンコでオススメ作品を探っていく。
別記事(「2019年夏ドラマの傾向分析! 高品質原作のプライム帯、熱量増す深夜帯」)において、2019年夏ドラマの主な傾向を「[1]苦戦の夏、原作探しに奔走するドラマ班 [2]深夜ドラマへの熱量は増す一方」の2つと分析。
おすすめドラマとして、『だから私は推しました』(NHK 土曜23時30分)、『べしゃり暮らし』(テレ朝系 土曜23時15分)、『凪のお暇』(TBS系 金曜22時)、『監察医 朝顔』(フジ系 月曜21時)、『ルパンの娘』(フジ系 木曜22時) の5作を選んだ。
本記事では、それらを含む全作品のショートレビューと、目安の採点(3点満点)を挙げていく。
■『監察医 朝顔』 月曜21時~ フジ系
出演者:上野樹里、時任三郎、風間俊介ほか
寸評:法医学者は刑事に次ぐ連ドラの人気職種で鮮度はないが、東日本大震災を正面から扱う原作からの脚色に覚悟がにじむ。上野、時任、風間のトリオに安心感があり、淡々とした法医学パートと感情が押し寄せる震災パートの落差がせつない。派手さを排除した静かな演出に好感。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】
■『リーガル・ハート~いのちの再建弁護士~』 月曜22時~ テレ東系
出演者:反町隆史、小池栄子、橋爪功ほか
寸評:ノンフィクションが原作だけに、強烈な悪役や犯罪はなく、地に足のついたハートフルな物語が続く。穏やかに情熱を燃やす主人公とスタッフ、依頼人、債権者の三者が見せるやり取りには一定以上のリアリティがある。地味だが、スタッフは強力だけに安定感は折り紙付き。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
■『TWO WEEKS』 火曜21時~ カンテレ・フジ系
出演者:三浦春馬、芳根京子、比嘉愛未ほか
寸評:“逃亡劇”は忘れたころに放送される連ドラの定番。ただ現代らしいアップデートはなく、かつて見た主人公と警察の追いかけっこのようなシーンが続く。悪意丸出しのキャラが多く、子どもの命をチラつかせるなど、韓流ドラマのテイストが苦手な人は敬遠するだろう。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】
■『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』 火曜22時~ TBS系
出演者:石原さとみ、福士蒼汰、志尊淳ほか
寸評:石原主演で夏らしいスカッとしたコメディを期待した人が多い中、小ネタを詰め込むような演出に肩すかし。レストランというシチュエーションを生かした笑いどころは少なく、オチもついていない。そもそも、「何がテーマの作品なのか」が見えないのがつらいところ。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】
■『偽装不倫』 水曜22時~ 日テレ系
出演者:杏、宮沢氷魚、仲間由紀恵ほか
寸評:東村アキコの原作漫画から、ヒロインの相手役を韓国人から日本人に改編したことが裏目に。「歯の浮くような言葉」「旅先での過ち」という作品の肝が宙に浮いた。番宣で幸せな子育て話を連発させた杏に「婚活で失敗続き」の役は気の毒。不倫を掲げながら色気に欠ける。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】