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【この記事のエキスパート】
レコーディングエンジニア:小野寺 孝樹
1989年株式会社ゼロスタジオに入社。
アシスタントを経て、1992年チーフエンジニアに昇格。
その後、数々のレコーディングに携わる。
2001年ゼロスタジオを退社、フリーランスとなる。
以降、レコーディング・ミックスからプログラミングまで、またアイドルソングからプログレまでなんでもこなす便利な人として、活躍中。"
サックスは、クラシックやジャズ、ポップスで演奏されることが多い人気の楽器です。ただ、初心者の方はどんな種類やメーカーを選べばいいのか迷ってしまいますよね。ここでは、アルト、バリトンといった種類や仕組み、音域・音色などサックスの選び方とおすすめ商品を紹介します。
大人初心者にもぴったり
サックス(サクソフォン)の魅力とは
一般的には「サックス(Sax)」と呼ばれることが多いですが、正式には「サクソフォン(saxophone)」といい、考案者であり開発および製作者のアドルフ・サックス(Adolphe Sax)の名前が冠された楽器です。フルートやクラリネットなどのほかの木管楽器に比べると新しく、クラシックはもちろんジャズやポップスで演奏されることも多い人気の楽器です。
サックスは指づかいを覚えやすく、しかも音を出しやすいのが特徴です。そのため大人になってからはじめて楽器に触れたいと考えている人にぴったり。さらに表現力が豊かなので、幅広いジャンルの曲に向いています。
スクリーンミュージックやジャマイカ音楽のスカといった、さまざまな音色で演奏できるのがサックスの魅力です。
初心者はまずパーツと種類を覚えよう
サックスの構造を知ろう
ひとつのサックスを構成するパーツの個数は、およそ600にもなります。サックスの基本構成は4つ。これらは吹込管(ネック)、二番管(ボディ)、U字管(ボウ)、朝顔管(ベル)です。
トーンホール(音孔)は合計25個あり、タンポ(パッド)と呼ばれる丸い蓋がトーンホールをふさぐことで音を変化させます。キイやレバーを使って、遠くの孔も一度に押さえることが可能です。
サックスの種類は9種類
【エキスパートのコメント】
ひと口にサックスといっても形態はさまざまで、得意な音域ごとにいくつかに分かれています。代表的なものは「ソプラノ・サックス」「アルト・サックス」「テナー・サックス」「バリトン・サックス」です。
そのほかにも「ソプラニッシモ/ピッコロ・サックス」「ソプラニーノ・サックス」「バス・サックス」「コントラバス・サックス」などがありますが、あまり一般的ではありません。
繊細(せんさい)な高音のソプラノ・サックス、いちばんソロで使われることの多いアルト・サックス、ハリのある中低域が魅力のテナー・サックス、おもにアンサンブルのなかで低音を支えるバリトン・サックスなど、それぞれの特徴をふまえてお好みの楽器を選びましょう。
▼ソプラニッシモ
プラニッシモサックスはピッコロサックス、あるいはソプリロと認知されているサックスです。サイズが小さく、高音部を奏でることができます。エッペルスハイム社のみが制作している希少なサックスです。
ソプラノサックスと同じく、管が縦にまっすぐ伸びた形状をもち、まるでバイオリンのように魅力的な音色が出ます。運指はほかのサックスとほぼ同じです。
▼ソプラニーノ
アルト・サックスの1オクターブ上のサックスをソプラニーノ・サックスと呼びます。テナー、アルト、ソプラノと徐々に音域が高くなり、ソプラノサックスより高音域を出せるほか、サイズも小さいのが特徴です。小ぶりなので持ち運びしやすいでしょう。
ただし音程を調整するのがとても難しいため、初心者では扱いにくいサックスといえます。価格帯も高価なため、経験を積んだ演奏者にぴったりです。
▼ソプラノ
【エキスパートのコメント】
サックスといえば、まず最初にアルト・サックスもしくはテナー・サックスのことを思い浮かべる方が多いと思いますが、ソプラノ・サックスも魅力的です。たとえば、スティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」でのブランフォード・マルサリスの演奏や、ケニーGに代表されるようなソフトで透き通るようなサウンドには、ソプラノ・サックスが欠かせません。
▼アルト
サックスといえば代表的なのがアルト。見た目もカッコよく花形楽器といえるでしょう。バランスのすぐれた楽器で、アルトサックス用の楽曲やエチュードがたくさん作られていることからわかるように、クラッシク・サックスの世界では不動の地位を築いています。
もちろんジャズやポップスの世界でも、アルトサックスは重要な立ち位置です。
▼テナー
テナーサックスは、アルトサックスと並んで代表的なサックスです。テナーサックスはアルトサックスより長い管体を持ち、低い音域を出せます。クラシック・サックスの世界ではあまり注目されませんが、ジャズ音楽の世界ではスーパースター的な楽器です。
演奏者、演奏法、セッティングによって、個性的な色気のある音を出せるのがポイント。そのため自分の思う音を見つけるために練習を積む必要があります。
▼バリトン
【エキスパートのコメント】
バリトン・サックスは、おもにアンサンブルのなかで低音部を担当するもので、メロディやソロを演奏する場面はあまり多くありません。ただし、ロックやスカ、ダンス系の音楽に力強さと躍動(やくどう)感を与え、疾走感を演出するのにも欠かせないものです。
ただし、ビギナーにはやはり難しいもの。ブラスバンドやオーケストラでパートを受け持つ場合は別ですが、すでにアルトやテナーなど、ほかの楽器を演奏したことのある経験者の方が、持ち替えて使用するのに向いているでしょう。
▼バス
バリトンより、ひと回り大きなサイズのバスサックス。テナーサックスより1オクターブ低い音域を担当します。演奏される主な機会は、サクソフォン・オーケストラやラージ・サクソフォン・アンサンブルです。
サウンドに彩りや深みを増すために、バスサックスが大編成の吹奏楽に加わることもあります。バスサックスが加わると、木管低音の響きがとても豊かになるのがポイントです。
▼コントラバス
バリトンサックスの1オクターブ下の音域が出るコントラバスサックス。メーカーによって大きさはさまざまありますが、全長およそ200cmです。価格も相応に高く、300~500万円ほど。世界中でみても20本程度しかない希少なサックスです。
日本でも3本ほどしかありません。演奏の機会は少なく、オーケストラの一部の楽曲で使われるのみです。
▼サブコントラバス
コントラバスサックスより大きく、全長は2m50cmから3mほどあるため、持ったままの演奏が不可能なサブコントラバスサックス。そのため専用のスタンドに設置して演奏します。
1999年にドイツのエッペルスハイム社が世界に先がけてサブコントラバスの製作に成功しました。世界で数本しか存在しない、とても稀少なサックスです。
初心者のためにレコーディングエンジニアが解説
サックスの選び方
それでは、サックスの基本的な選び方を見ていきましょう。選び方のポイントは次の4つです。
【1】好みの音域・音色から選ぶ
【2】一般的なのはイエローブラス。ポップスやロックに!
【3】使うシーンに合わせて選ぶ
【4】演奏に必要なアクセサリーが付属しているか確認して
上記のポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】好みの音域・音色から選ぶ
メジャーとされる4種類のサックスは、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの順に担当する音域は低くなります。動画などをチェックして、自分で奏でたい音色がどのサックスによるものなのか確認しましょう。なおアルトサックスは、高度なテクニックがなくてもバランスのとれた美しい音色や音域を出せるサックスです。
そのため、はじめてのサックスとしてぴったりなチョイスといえます。ただしアルトサックスの音質は完成度が高く、奏者による個性を出すのは難しいことも知っておきましょう。
【2】一般的なのはイエローブラス! ポップスやロックに
【エキスパートのコメント】
音色にこだわるなら、材質に着目して選ぶ方法もあります。サックスは分類としては木管楽器なのですが、トランペットなどの金管楽器と同じく、真鍮(しんちゅう=ブラス)という、銅と亜鉛の合金で作られています。その配合比率を変えることで、音色に違いが出ます。
一般的なのは、イエローブラス。加工しやすく、明るくハリがある音色なので広く利用されています。銅の配分を増やしてくと、ブロンズブラス〜レッドブラスとなり、音色も落ち着いて温かみが増していきます。
ポップスやロックなどにはイエローブラス、ジャズやクラシックなどにはブロンズブラスやレッドブラスというように、ご自分の出したい音や演奏したいジャンルによって材質を選ぶといいでしょう。
【3】使うシーンに合わせて選ぶ
【エキスパートのコメント】
演奏を本格的に頑張ろうと決めている方は、はじめからできるだけ品質のよいものを手に入れたほうが、サックスへの愛着も深くなりモチベーションも持続しますし、長い目で見ると良い結果になると思います。
一方、今までサックスを演奏したことがなく、どんな楽器か知りたい、とにかく試しにはじめてみたいという方は、まずリーズナブルなものを使ってみることをおすすめします。
高価なものを使ってみることも決して悪くはありませんが、思ったよりも音量が大きくて練習場所に困る、そもそもその機種が自分に向いていなかった、ということもありますので、まずは手軽な価格のものを手に入れ、ゆくゆくはグレードアップするといいでしょう。
▼部活で練習するなら中級クラスを選ぶ
小中高校の吹奏楽・オーケストラ部で活動する場合、練習の成果がみえるサックスを用意したほうが上達が早くなります。メンテナンスの行き届かない学校の美品では、なかなか上達しないからです。
3年間みっちり練習して上達することを見越して、数万円程度のエントリーモデルよりも中級クラスの20~50万円の価格帯のサックスを選びましょう。活動が盛んな学校では、上位モデルをすすめられることも。選び方に迷ったら、顧問や上級生に尋ねてみましょう。
▼趣味で演奏するならトラブルが起きにくい楽器を選ぶ
音楽教室に通うなど趣味でサックスをはじめるなら、楽器のトラブルが起きにくい価格帯のサックスを選べば快適に演奏を楽しめます。具体的には10万円以上のアルトサックスが扱いやすいでしょう。
2〜3万円程度から10万円までのお手軽な価格帯のサックスを選ぶ場合は、練習を積んでいくと買い換える可能性も視野に入れて購入することが大切です。
【4】演奏に必要なアクセサリーが付属しているか確認して
サックスをはじめるにあたって、必要なアクセサリーが付属しているかどうかも確認しましょう。サックスの先端に取りつける「マウスピース」、音を出すためにサックスのマウスピースに取りつける「リード」、マウスピースにリードを固定する「リガチャー」などが必需品です。
あらかじめサックスと同梱されていなければ、自分であとから購入しなくてはなりません。お手入れ用品一式も、大切な楽器のメンテナンスに必要不可欠なので、一緒に購入できれば便利です。
選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)