バンダイスピリッツのアクションフィギュアシリーズ「S.H.figuarts」でウルトラマンギンガをはじめとする"ニュージェネレーション"ウルトラヒーローが勢ぞろいしたことと、特撮テレビドラマ『ウルトラマンギンガS』(2014年)の放送5周年を記念したイベント「S.H.figuarts ニュージェネレーション勢ぞろい記念スペシャルトークショーby TAMASHI NATIONS」が25日、池袋サンシャインシティで開催中の「ウルトラマンフェスティバル2019」会場内にて行われた。
テレビで活躍するヒーローの姿をリアルな形で再現するというポリシーを極めた「S.H.figuarts」シリーズは、実物のイメージそのままのプロポーションやマスク造形、そして細部にまでこだわったディテール、さらには各関節の可動によって"本物"と同じように複雑なアクションポーズがつけられるといった魅力の数々により、特撮ファンから熱烈な支持を集めている。
近年では、『ウルトラマンギンガ』(2013年)を第1作とし、『ウルトラマンギンガS』(2014年)、『ウルトラマンX(エックス)』(2015年)、『ウルトラマンオーブ』(2016年)、『ウルトラマンジード』(2017年)、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018年)と続く"ニュージェレネーション"と呼ばれる新時代のウルトラマンシリーズが子どもたちの人気を集めている。
ニュージェネレーションのうち、ウルトラマンギンガと『ギンガS』のウルトラマンビクトリーは長らく「S.H.figuarts」商品化の機会がなかったのだが、2019年6月にビクトリーが発売され、10月にはついに待望のギンガが発売されることが決定した。
これによって「S.H.figuarts」でニュージェネレーションのウルトラヒーロー7人が勢ぞろいすることになったのを記念し、『ウルトラマンギンガS』のメインキャストと坂本浩一監督が集まり、撮影時の思い出や「S.H.figuarts」商品化についての思い、そしてこれから発売される「S.H.figuarts」の商品情報など、盛りだくさんの内容でトークが行われた。
根岸、宇治は今年放送の『ウルトラマン ニュージェネレーションクロニクル』最終回(6月29日)で歴代"ニュージェネレーション"俳優たちと共に放送当時のコスチュームで登場し、かつて『帰ってきたウルトラマン』(1971年)第38話でナックル星人に破れたウルトラマンを救うため、初代ウルトラマン/ハヤタ(演:黒部進)とウルトラセブン/モロボシ・ダン(演:森次浩司/現:晃嗣)がそれぞれ科学特捜隊、ウルトラ警備隊のユニフォーム姿でかけつけたときのような"高揚感"をもたらした。一方、このイベントで久々に隊員服を着ることができたという滝は「とてもうれしい」と感激。すると、ファンからあたたかい拍手と声援が巻き起こり、滝をさらに感動させていた。
2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説THE MOVIE』でウルトラマンゼロ、ウルトラマンベリアルという人気キャラクターを生み育て、『ウルトラマンギンガS』でテレビのウルトラマンシリーズを初めて手がけた坂本監督は「ここにいるみんなや、他にもたくさん"愉快な仲間"がいて、みんな仲がよかったので撮影はとても楽しかった」と撮影時の思い出を語った。前作『ウルトラマンギンガ』から引き続き出演していた根岸は当時心がけていたことを問われて、「ヒーローなので、常にカッコよくいようと努力していました」と、少々照れながらコメント。『ギンガS』で新しくヒーローとなった宇治にも同じ質問が寄せられると「筋トレですかね」と答えて会場の笑いを誘った。坂本監督にアクションを教わったのがきっかけで始めたという宇治の筋トレは現在も継続して行われているらしく、UPGの隊員服の袖部分がかなりキツそうな様子だった。
この流れから、2人にぜひ「変身ポーズ」をやってほしい!とリクエストがあり、根岸はギンガスパーク、宇治はビクトリーランサーを手にして、変身(ウルトライブ)の準備に入った。2人の変身は、それぞれのヒーロー人形(スパークドールズ)の足裏にあるライブサインを、各変身アイテムで読み取るスタイルとなっている。根岸は「ギンガーーーッ!」と叫びながらギンガスパークを高くかかげ、宇治は「ビクトリーーーーッ!」と叫んでビクトリーランサーを正面に構えた。
射撃の名手であり、格闘センスにも優れているというアリサ隊員を演じるにあたって、どんな部分に注意していたか? という質問に対して、滝は「走り方に気を付けていました。私、走り方がヘンだったので……」と、カッコいいアリサ隊員であるための注意点を打ち明けると、すぐ坂本監督から「じゃあこのステージで走ってみて!」という無茶ブリとしか思えない提案が飛び出た。滝はしきりに照れながらも、さすがの女優魂を見せて銃を構え、凛々しく、かつ華麗に下手から上手へ走り抜けた。滝は当時のことをふりかえって「私の走り方を見た監督は『大丈夫、大丈夫!』って言ってくださいましたけれど、オンエアを観たら私のアップしか映っていませんでした(笑)」と自虐ネタを乗せてきて、会場を笑いに包んだ。
続いて、スクリーンに映し出された『ギンガS』の名場面を見ながらのトークが始まった。最初に出てきたのは第2話「ギンガ対ビクトリー」での、アンドロイド・ワンゼロ(演:最上もが)とアリサとの対決場面。しかし、滝はこのアクションシーンの記憶が「ほとんど残っていない」とのこと。その言葉を受けた根岸が「滝さん、特撮(作品)出まくってるからね!」と、他社作品の特撮テレビドラマにレギュラー出演して人気を集めた滝のことを冷やかした。滝のアクションについて坂本監督は「さすがフィギュアスケートをやっていただけあって、体幹バランスがとてもよく、クルっと回ったりしてもバランスを崩さず、抜群にカッコよかったですよ!」と、滝の運動神経の良さに太鼓判を押していた。
次に映し出されたのは最終回(第16話)「明日を懸けた戦い」での、ゴウキ隊員(演:加藤貴宏)が手押し車で瓦礫を運んでいるところをヒカル、アリサ、ショウが手伝っているカット。滝はこの場面のことはよく覚えているといい「アリサが腕を負傷している設定なんですよね。ゴウキが運んでいるコンクリートの瓦礫はとても軽く作られていたので、あえて重たい~という演技をしていました」と話し、これを受けた坂本監督によって、この場面は俳優たちのアドリブ演技だったということが明かされた。根岸によると、ゴウキ役の加藤貴宏とは個人的にLINEのやりとりをしているそうで、先日来たというメッセージには「滝さん結婚したのかよ!」という驚きが込められていたという。このタイミングで、先日結婚を発表された滝の幸せを願う拍手が、ステージと客席の両方から浴びせられ、滝がうれしそうにほほえむ場面も見られた。
最後の写真は『劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』から、ウルトラマンゼロによってヒカルとショウが手錠でつながれ、コンビネーション力を徹底的に鍛え直す、というカットである。ショウは坂本監督の要請によって上半身裸になり、鍛えた肉体をアピールしている。改めてこのカットを見た坂本監督は、現在の宇治と見比べて「このころのショウ、細いなあ」と感想をもらし、会場の笑いを誘った。
この"特訓シーン"について坂本監督は「2人に特訓を施すのが、かつてウルトラマンレオから厳しい特訓を受けていたウルトラマンゼロなんです。レオも昔は、ウルトラセブンであるダン隊長(MAC)から厳しすぎる特訓を受けていました。映画では最初、ジープで2人を追いかけまわそうかと思ったんですが、ジープを運転できる人がいなかったので没になりました(笑)」と、坂本監督が大好きだという『ウルトラマンレオ』(1974年)第6話「男だ!燃えろ!」の名シーンを例に挙げ、出演者にとって過酷すぎる特訓演出の初期プランを明かして客席をざわつかせた。
次の話題は、2019年10月に発売が決定した「S.H.figuartsウルトラマンギンガ」によって"ニュージェネレーション"ウルトラマン7人がすべて商品化されたことについて。
昨年(2018年)のイベント『TAMASHI NATIONS presents ニュージェネレーションヒーローズ スペシャルナイト』ではウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーの「ソフビ魂」の発売が発表されたものの、他のウルトラヒーローと並んで自由なポーズをつけて飾ることのできる「S.H.figuarts」としては発売が叶わなかった。ギンガとビクトリーのS.H.figuarts商品化は、まさに『ギンガ』『ギンガS』ファンにとっての悲願だったといえるだろう。
ここで、バンダイスピリッツS.H.figuarts商品企画担当の光岡祐希氏がステージに登場し、S.H.figuartsウルトラマンギンガの詳細な説明を行うことに。光岡氏によれば、昨年のイベントが開催された段階で、すでにS.H.figuartsウルトラマンギンガの"制作"はスタートしており、ここに至るまで1年もの時間をかけて、じっくりと作りこんでいたのだという。S.H.figuartsの"本物そっくりのアクションフィギュア"というキャッチフレーズに恥じないクオリティを実現するための、並々ならぬ苦労と情熱がうかがえる。
光岡氏は「劇中のウルトラヒーローをそのまま、フィギュアサイズに落とし込むというのがS.H.figuartsのコンセプト。円谷プロ(造形部門LSS)さんの徹底監修を受けると共に、原型を作っている人たちもみんなウルトラマンがお好きで、そういった"魂"がこもった商品になっています」と、目を輝かせながら自信のほどをうかがわせた。
光岡氏は続いて、S.H.figuartsウルトラマンギンガの試作品を披露。それを根岸がCCDカメラでスクリーン上に映し出すやいなや、その精密なディテールや、劇中のイメージに忠実なマスク造形とプロポーションを確認した客席から「おおーっ!」という興奮気味のどよめきが起きた。撮影を担当する根岸は他のS.H.figuartsのウルトラマンジードやウルトラマンビクトリーなどを捉えたほか、滝や宇治、坂本監督にもカメラを向けてさまざまなリアクションを要求し、客席を盛り上げた。
ここで突然ステージが暗転し、暗闇の中から不気味な光を放つ2人の"黒いウルトラマン"が姿を現し、会場を見渡した後去っていった。この2人は、坂本監督が手がける新作映像作品『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションズ』に登場する新キャラクターなのであった。
『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションズ』とは、YouTubeウルトラマン公式チャンネル初の完全オリジナル新作として、2019年9月29日毎週日曜あさ10:00より配信開始される。1話あたりのタイム約5分(各話ごとに異なる)のショートストーリーで、全13話が予定されている。
本作は、『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』の後から、現在放送中の最新ウルトラマンシリーズ『ウルトラマンタイガ』までをつなぐ物語であるという。初公開となったPV映像のラストカットでは、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリー、ウルトラマンエックス、ウルトラマンオーブ、ウルトラマンジード、ウルトラマンロッソ、ウルトラマンブルの"ニュージェネレーション"7人が大集結。これを観た根岸は「やっぱり"真ん中"って気持ちいいねえ~!」と、ギンガが中央に立っている並びについての率直な感想を述べた。坂本監督によれば、この作品は「ギンガがリーダーとなって"ニュージェレーション"チームを引っ張るという話」と位置付けられているそうで、この言葉によってさらにうれしくなってしまった根岸は「うわぁ~、龍臣、ごめんね(笑)!」と、この日イベントを観に来ていた濱田龍臣(ウルトラマンジード/朝倉リク役)に思わず声をかけ、満面の笑顔を見せた。
続いて、坂本監督は先ほどの黒いウルトラマンの名前が「ウルトラマンエックスダークネス」「ウルトラマンジードダークネス」だと紹介。さらに光岡氏から、この2人も早々とS.H.figuarts商品化されることが決定していることが明かされ、ステージに試作品が運ばれてきた。この展開の早さについて根岸は「僕ら(ギンガとビクトリー)はこんなにS.H.figuartsになるのが遅かったのに、この人たち早くないですか!」と、思っていることをそのまま口に出しつつも、そのダークな悪の魅力、カッコよさに感心している様子だった。光岡氏によると「このキャラクターはマスクの色味などに特徴があって、黒は黒でもマットな感じで、そういった質感も再現しています」と、商品化の際のこだわりポイントを強調した。
改めて『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションズ』の見どころを聞かれた坂本監督は「毎回のエピソードの中に必ずウルトラヒーローたちの見せ場が盛り込まれ、毎週続けて観たくなるように構成されています。世界じゅうの方々に観ていただけるように、"日本語版"と"英語吹き替え版"が同時配信されるのも新しい試みです。もしもみなさんが今回の作品を気に入ってくだされば、このような"ウルトラヒーロー大集合"作品をどんどん作っていきたいと、スタッフ一同が思いを込めて取り組みました。ぜひ応援をよろしくお願いします!」と、全世界同時配信であることと、ファンからの応援次第では続編もあり得るということを笑顔で語った。
改めて『ウルトラマンギンガS』5周年をふりかえり、滝は「また今度は10周年の記念イベントでみなさんとお会いしたい」と、さらなる5年を見据えてコメントした後、ファンたちにUPG隊員の「了解」を表す言葉「ガレット(got it)」をリクエスト。「また5年後、10周年イベントでお会いしましょう!」と叫んだ滝に、客席からの「ガレット!」大コールが返ってきて、滝が敬礼しながらしみじみ感動する場面が見られた。
イベントの最後には、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンビクトリー、ウルトラマンエックス、ウルトラマンオーブ、ウルトラマンジード、ウルトラマンロッソ、ウルトラマンブルの"ニュージェネレーション"ウルトラマン7人が結集するという、ファン待望の豪華なビジュアルが実現した。
最後にマイクを手にした根岸は「5年の歳月が過ぎ、気づいたらすごく(ウルトラマンの)仲間が増えていました。本当に僕はうれしいです! またみなさんの前で"表現"ができるように頑張りますので、これからもウルトラマンと仲間たちのことを、よろしくお願いします!!」と明るい笑顔で挨拶し、ウルトラマンシリーズを通じて得ることのできた、たくさんの"仲間"たちへの応援を元気いっぱいに呼びかけた。
(C)円谷プロ