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【この記事のエキスパート】
IT・テックライター:石井 英男
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。
ライター歴25年。PC/ITに関するテクノロジーの解説や製品レビューを得意とする。
最近は、STEM教育や3DプリンターやCNCを初めとするデジタルファブリケーションに興味を持ち、積極的に取材や記事執筆を行っている。
また、子どもへのプログラミング教育にも関心があり、CoderDojo守谷のメンターを務めている。
PS4・PS5・Nintendo Switchなどの家庭用ゲーム機だけでなく、PCゲームを快適にプレイするための「ゲーミングモニター」。ASUS・Acer・BenQなど多くのメーカーから販売されています。この記事では、ゲーミングモニターのおすすめと選び方をご紹介します。
ゲーミングモニターと通常のモニターの違い
ゲーミングモニターはその名の通り、快適にゲームをプレイするのに欠かせない性能を搭載したモニターを指します。ゲーミングモニターと通常のモニターの大きな違いは、滑らかな動きかつ入力遅延が少ない点になります。なお、滑らかに動くかどうかは、「リフレッシュレート」を確認しましょう。
リフレッシュレートとは、「1秒間に可能な画面の置き換え回数」を指し、単位はHz(ヘルツ)であらわします。コマ数が多い(Hz値が高い)ほど動きが激しい映像を滑らかに表示でき、ティアリングもなく、キャラクターコントロールやエイムも正確に行えます。
一方で、Hz値が低いとパラパラ漫画のように、画像やキャラクターの動きがカクカクしてしまいます。
応答速度と入力遅延とは?
応答速度と入力遅延について解説していきます。
「応答速度」が速いと画面がクリアに!
応答速度とは、「画面の色が切り替わるのにかかる時間」を指し、単位はms(ミリ秒)であらわします。色の切り替わりが遅いと、激しく動くゲームをプレイすると残像が残る原因に。
数字が小さくなるほど色の切り替えが早くなり、滑らかでクリアな映像を見ることができます。なので、とっさの反応が必要なFPSやTPS、格闘ゲームでは1ms以下、それ以外のゲームでは5ms以下を一つの目安にしてみましょう。
なお、ゲームの種類によって、適切な応答速度は異なります。ゲーミングモニターを選ぶなら、「GtG」または「MPRT」で表されている応答速度に注目です。
「入力遅延」が少ないとラグを感じにくい
応答速度に似ていますが、入力遅延というものもあり、これは、「映像がモニターに伝わるまでにかかる時間」になります。入力遅延が遅いと、以下のような現象が起こり、ストレスの原因になってしまうでしょう。
FPSやTPS:弾を避けたつもりでも当たる、撃った弾が当たらない
音ゲー:タイミングがあわない(ミス判定)
格闘ゲーム:回避・防御・攻撃が間に合わない
上記のゲームをゲーミングモニターでプレイする際は、16ms以下を目安に。MMORPGや映画鑑賞にも使うのであれば、16~32msでも問題ないようです。
PS4やPS5、Nintendo Switchなどにも使用可能!
ゲーミングモニターは、PCゲームなどに使用するイメージが強いですが、HDMIポートが搭載されていれば、PS4やPS5、Nintendo Switchなどの家庭用ゲーム機にももちろん使用可能です。
ただし、PCゲームなどの場合と異なり、家庭用ゲーム機のフラッシュレートは最大60Hz〜75HZとなり、普通のモニターで十分遜色ありません。スペックのバランスや相性を必ず確認し、オーバースペックになりすぎないゲーミングモニターを選びましょう。
ゲーミングモニターの選び方
続いて、ゲーミングモニターを選ぶときのポイントについてご紹介していきます。
【1】「モニターサイズ」は24~27インチを目安に
「Apex Legends」や「フォートナイト」といったFPS・TPSといったゲームでは、大きなモニターが活躍しそうですが、広範囲に視線を動かす必要があり、情報を把握するのが難しくなります。また、価格も高くなったり、設置の際にスペースが多く必要になるなど、デメリットも。
eスポーツプレイヤーやゲーマーから人気が高いのは、eスポーツの公式大会でも採用されている24インチのモニター。縦横比16:9の場合、横53.04×縦29.87cmと大きすぎず、視線を大きく動かす必要がないため目が疲れにくいのが利点です。
また、27インチ程度の大きさであれば、設置時もそこまで邪魔にならないため、好んで使われています。
ゲームによってはウルトラワイドモニターという選択肢も
大きすぎるモニターはFPS・TPSといったゲームでは力を発揮できませんが、MMORPG・アドベンチャー・レーシングゲームをメインにプレイするなら、おすすめです。
なかでも、プレイする人に向け左右の両端が緩くカーブしているウルトラワイドモニターは、ゲームの世界観に没頭できたり、映像美を楽しむことができるので、検討してみましょう。
【2】「解像度」は画質重視なら4K、プレイ重視ならフルHD
4K(3840×2160)とフルHD(1920×1080)の4倍の解像度があり、細部まで鮮明で臨場感ある高画質の映像を楽しむことができます
しかし、4Kの映像性能を生かすためには、PCに高性能なGPUが求められ、価格も高くなる傾向です。PCの性能(特に描画性能)が低い場合、フルHDでは快適に遊べるゲームでも、4Kではフレームレートが低下して、カクカクした表示になってしまうことがあります。
また、スピード重視の場合は、フルHDのほうが負荷が少なく俊敏な対応が可能です。処理能力を重視して、あえて低解像度でプレイするゲーマーも。
なお、フルHD未満の解像度は、画質が荒くなる、細かな色彩が反映しにくくなり、プレイの際に影響が出てしまうので、覚えておきましょう。
ゲーミングモニターを選ぶときは、使用目的とそれにあったスペックの確認が重要です。
【3】リフレッシュレートは使うゲーム機のスペックに合わせる
冒頭でもお伝えした通り、リフレッシュレート(Hz)は高くなればなるほど映像が滑らかになります。
通常のモニターは約60Hz前後、現在のゲーミングモニターの主流は144Hzで、性能と価格がバランスの良い豊富なラインナップになっています。
リフレッシュレートの目安として、PS4やNintendo Switchだと60~75Hz程度、PS5で120Hz以上、FPS・TPSやアクションゲームがメインなら144Hz以上を選びましょう。
なお、よりスムーズにプレイしたいなら165Hzや240Hzもありますが、Hzが高いゲーミングモニターの性能を最大限引き出すためには、相応のハイスペックマシンが欠かせないことを覚えておく必要があります。
【4】使い方に合う液晶パネルを
パネルには主に「IPSパネル」「VAパネル」「TNパネル」の3種類があります。
「IPSパネル」:応答速度はTNパネルより遅いものの、視野角が広く、色の再現性に優れています。1台あればゲームや仕事用、映画・動画視聴など幅広い使い方が可能です。
「VAパネル」:コントラストをはっきり表現できるため、黒が美しく表現可能です。ただし、応答速度は3つの中で一番遅くなっています。MMORPGやアドベンチャーなど、応答速度をそこまで求めないゲーム、動画や映画の視聴、テレワーク用としての使い方がおすすめです。
「TNパネル」:画面を明るくしてもぼやけにくくなっていますが、色の鮮やかさに欠けるため、映画や動画視聴には向いていません。ただし、FPSやTPS、シューティング、格闘ゲームといった、応答速度の速さが求められるゲームにおすすめ。視野角が狭いので、eスポーツのイベント、オンライン対戦などの一人でプレイする場面で活躍してくれます。
【5】入力端子の種類と数も、忘れずにチェック
PC環境やゲーム機に合う入力端子の種類や数があるかも必ず確認しましょう。HDMI・DVIなどの基本的な入力端子や、近年登場してきたDisplayPortやUSBポートなど、必要になってくる端子はかなりあります。
PS4とNintendo Switchなど複数の機器を接続する場合は、端子の数が必要な分あるのかの確認を忘れずにしましょう。
【6】より楽しむなら、湾曲モニターをチェック!
湾曲モニターは、ゲームにおいて、使用者を囲むように画面が曲面になっていて視界に入る情報量が多く、没入感や満足感を得られます。しかし、人によって向き、不向きがあるのでメリットとデメリットをチェックしましょう。
【メリット】
視線を変えなくても全体が見やすく、FPSのように敵やアイテムの位置を常に把握する必要があるゲームでは優位に進めることも可能。ワイドな画面でも目線移動の負荷を軽減できるのもうれしいポイントですね。
【デメリット】
精密さが必要な作業には不向きな場合があります。また、普段のモニターと違うので人によっては酔ってしまったり、目が慣れるまでに時間がかかる可能性もあります。価格も通常のモニターと比べて少し高額になりがちです。
ゲーミングモニターのおすすめメーカー
ここでは、ゲーミングモニターのおすすめメーカーをご紹介します。
BenQ(ベンキュー)
液晶ディスプレイのほか、ビジネス・シネマプロジェクター、電子黒板、照明、スピーカーなどを取り扱っています。プロの公式大会でも採用される、高品質なゲーミングモニターとして定評があります。
FPSやバトルロワイヤルゲームに欠かせない、視点操作時の手振れを抑える機能を搭載。また、画質やオーディオ機能も高いレベルで装備しています。
ASUS(エイスース)
モバイル(スマホやタブレットなど)、ノートパソコン、ディスプレイなどを取り扱っています。なかでも、マザーボードは業界最大手。
早くからeスポーツ市場に参入しているため、定番メーカーのひとつとして認知されています。初心者向けからプロモデルまで豊富なラインナップが魅力です。
acer(エイサー)
ノート・デスクトップパソコン、モニター、タブレット、キーボード、マウスなどを取り扱うacer(エイサー)。2022年11月に開催される、同社主催のeスポーツ大会の公式モニターに採用されています。
高いリフレッシュレートや応答速度を実現しながら、比較的安い金額で購入が可能です。
選び方のポイントはここまで! では実際にエキスパートが選んだ商品は……(続きはこちら)