◆本記事はプロモーションが含まれています。
【この記事のエキスパート】
レコーディングエンジニア:小野寺 孝樹
1989年株式会社ゼロスタジオに入社。
アシスタントを経て、1992年チーフエンジニアに昇格。
その後、数々のレコーディングに携わる。
2001年ゼロスタジオを退社、フリーランスとなる。
以降、レコーディング・ミックスからプログラミングまで、またアイドルソングからプログレまでなんでもこなす便利な人として、活躍中。"
通常の4弦のベースより出せる音が多い「5弦ベース」。ベースを購入する際に選択肢に入れておきたい楽器です。本記事では、ヤマハ、フェンダーの初心者向けから中級者向け、アクティブ・パッシブ切り替えモデルなど5弦ベースのおすすめと選び方のポイントをご紹介します。
5弦ベースとは
5弦ベースとは、通常のベースより弦が1本多いタイプで、4弦のベースより出せる音が多いベースのこと。プロのミュージシャンにも愛用者が多く、ベースを購入する際、選択肢に入れておきたい楽器です。
5弦ベースの特徴・メリット
5弦ベースの特徴やメリットは主に下記の5点。
(1)音域が拡大する
一般的に4弦ベースの音域は低い音で「開放 E」。しかし、5弦ベースの場合はさらに低い「開放 B」まで音を出すことができます。これにより、ロック・ポップスに置いて現代テイストな音質を展開できます。
(2)他楽器とのセッションがしやすい
前述した通り、5弦ベースは通常の4弦ベースよりも出せる音域が広いです。そのため、ジャズのようなセッションを行う際、瞬発的に欲しい音源を鳴らすことができるため、より高度なセッションになります。
(3)低音をしっかりサウンドさせられる
前述した通り、5弦ベースの最大のメリットは音域の広さ。チューニングを変えなくても「解放 E」に対応できるだけでなく、「解放 B」まで音を出すことができるため、低音を確実にサウンドさせることが可能です。
(4)暗く、ダークな質感のサウンド
5弦ベースは4弦ベースよりも強度を高めに製造されています。そのため、音の特徴としては暗く、ダークになります。ロックやセッションなどで活躍するでしょう。逆に、ポップスなどの明るい音楽では、5弦ベースの質感がデメリットになる場合もあるため、注意が必要です。
(5)瞬発的な演奏がしやすい
5弦ベースは、単純に弦の数が多いです。そのため、フレットを大きく動かさなくても音域を拡大することができ、瞬発的な演奏がしやすく、慣れれば初見の楽譜でも演奏することも可能です。
上記のように、音質などにおいて様々な魅力がある5弦ベース。もちろん、「重量が重い」「値段が高くなりがち」「ラインナップが少なくオリジナリティが出せない」といったデメリットもあります。しかし、音域が広がることで挑戦できる音楽も増えますので、挑戦しがいのあるベースであることは確かです。
5弦ベースを弾く理由を考えよう
【エキスパートのコメント】
そもそも、5弦ベースを購入するのはなぜでしょうか。「好きなミュージシャンが使っている」「サウンドに広がりを持たせるため」など理由はさまざまでしょう。選択するポイントがはっきりすれば、自然と選ぶ楽器も決まってきます。
たとえば、演奏性を優先するならばネックが細く弦間の広いもの、サウンドの自由度を重視するなら多機能でフレキシブルなものなど、あれもこれもと欲張るのではなく、選択ポイントをある程度しぼりこむとよいでしょう。
5弦ベースの選び方
それでは、5弦ベースの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記。
【1】ピックアップの種類
【2】出力回路
【3】フレットの数
【4】ネックの握りやすさ
【5】ボディの材質
上記のポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ピックアップの種類をチェック
ピックアップとは、ベースの弦の振動を拾って電気信号に変えるためのパーツ。「シングルピックアップ」と「ハムバッキングピックアップ」の2種類があり、電気信号にしたあと、アンプを通じて出力されます。
ピックアップの種類によって音質が異なります。演奏するスタイルや出したいサウンドに合わせたピックアップを選びましょう。
シングルピックアップ|繊細でクリアな音
シングルピックアップは、単一のコイル(シングルコイル)で形成されたピックアップのこと。電極運動がシンプルなため、弾いた音をそのまま流す、つまりナチュラルな音源になりやすいピックアップです。
ハムピックアップが登場してからはマイナーになりつつありましたが、ジャズなど、レトロなベース音源などの人気や、シンプルなデザイン性が相まって、近年でも人気が再燃しつつあります。
ハムバッキングピックアップ|音が太くノイズに強い
ハムバッキングピックアップは、現在、主流のピックアップタイプ。シングルコイルを複数組み合わせることで、ノイズの軽減をするとともに、高出力の音源を生み出すことが可能。
ベースのタイプによっては、スイッチひとつで「シングル・ハム」を切り替えられるモデルもあり、様々な曲に合わせて、音質を変えられる機能もあります。シングルコイルが複数並んでいるため、通常よりサイズは大きくなりますが、サウンドの幅は広くなるでしょう。
ピックアップによる音の違いに注目!
【エキスパートのコメント】
シングルコイルは繊細(せんさい)でクリアな音。
ハムバッキングは音が太くノイズに強い。
それぞれに特徴があるので、音色の好みや演奏スタイルにあわせて選びましょう。また、その両方をそなえたPJタイプもあります。サウンドに多彩さを求める方は、こちらもチェックしてみてください。
【2】出力回路をチェック
出力回路には、「パッシブ」と「アクティブ」の主に2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、一つひとつ確認していきましょう。
パッシブ出力|演奏のタッチをそのまま表現できる
パッシブ出力の特徴は、ナチュラルで演奏のタッチに素直に反応してくれる点です。また、アンプに出力すると、それぞれの楽器のそのままのサウンドを出してくれると同時に、「電池臭さ」も避けやすくなります。
しかし、ノイズに弱く、接続する機器の影響を受けやすいという弱点があります。また、そのままのサウンドを出す分、弾き癖なども目立ってしまうというデメリットもあります。
アクティブ出力|力強く、ノイズに強い
アクティブ出力の特徴は、立ち上がりが早く、力強いサウンドが得られ、ノイズにも強い点。安定して音を出せるとともに、ミキサーに接続すれば録音もできるなど、メリットも多く、様々なアーティストにも人気です。
機種によっては両方の機能をスイッチで切り替えられるものもあるので、音色にバリエーションを求める方には、切り替え可能なタイプもおすすめ。
しかし、回路をドライブするための電源を必要とし、かための音色になる傾向があります。また、定期的な電池は必須のため、コストも高くなります。
【3】フレットの数をチェック
4弦ベースでは21~22フレットのものが多い一方、5弦ベースは24フレットのものも多くあります。フレット数が多いほどカバーできる音域が広くなります。
しかし、フレットが多い分ネックが長くなるので、運指がしにくくなることもあります。
自分の演奏スタイルに合ったフレット数の5弦ベースを選ぶのが重要です。たとえば、24フレットのものはかためのサウンドになるので、タッピングを多用する人やソロの人に向いています。
【4】ネックの握りやすさをチェック
5弦ベースは一般的な4弦ベースの、もっとも太い弦のうえにさらに太い弦を追加した仕様です。弦が増えた分、4弦ベースよりも5弦ベースはネックの幅が広くなっています。
4弦から5弦に乗り換えるときや、手が小さめの人はネックの幅があり弾きづらさを感じることがあります。スリムになっているもの、形状に工夫があるなど握りやすいネックのものを選びましょう。
【5】ボディの材質をチェック
5弦ベースのボディ部分には、いろいろな材質が使われています。材質ごとの特徴を知ると、納得の5弦ベース選びにつながりますので、しっかり確認しましょう。
アッシュ材|多くのベースで使われている
アッシュは北米全域に生育する広葉樹です。ベースのボディに多く利用されてきた木材です。かたくて密度が高いため耐久性が高く、加工性に富むためベースのボディ材以外にも、フローリングの床材や家具、野球のバッドの素材としても使われています。
太い木目のある外見が特徴で、輪郭のある歯切れのよいサウンドが出せます。
アルダー材|中域寄りのサウンド
アルダーは、太平洋の北西海岸やヨーロッパに生育する広葉樹です。ベースなどのボディに使用されるのは、レッドアルダーとよばれる赤みを帯びた薄い木目が特徴の木材です。
レッドアルダーは生育分布が広いため手に入りやすく、アルダー材でできた5弦ベースはアッシュ材のものよりも手ごろなものがそろっています。気孔の狭い軽量な木材のためアッパー・ミッドレンジがやや強調され、アッシュよりも中域寄りのサウンドが特徴です。
マボカニー材|レンジの広いサウンドが楽しめる
マボカニーとは、中米、南米に生育する広葉樹です。赤みを帯びた薄い木目のある外見をしています。
マボカニーはとても軽くやわらかい材質のため、レンジが広くて倍音が豊かなサウンドが出せるのが魅力です。あたたかみがあり、鳴りのよいトーンを出したい人にも向いています。また、ボディ材だけでなく、ネック材としても活用されています。
バスウッド材|初心者向けモデルに多い
バスウッドはアメリカ東部、北米に生育する広葉樹です。乳白色の木肌で、軽いため持ったときに体に負担がかかりにくくなっています。
低音域はやや弱めですが、全体的に鳴りがよく癖のないトーンが特徴です。手にしやすい価格の初心者向けのベースにも多く使われる一方、高額なアーティストモデルにも使われることもあります。
エキスパートのアドバイス
【エキスパートのコメント】
最近は5弦ベースが一般的になってきたということもあり、各メーカーが新しいモデルを出してきています。とくに最近のアクティブモデルは機能が満載で、音作りの幅が広くなっていますので、今よりもサウンドの幅を広げようと思っている方にはぴったりではないでしょうか。
パッシブモデルでも改良が進み、弱点といわれていたLOW B弦のテンション不足なども改善。それにより、従来のモデルより抜けがよい機種が出てきています。5弦ベースが気になっている方は、そろそろ導入を考えてみてはいかがでしょうか。購入の際には、ピックアップの種類や出力回路などを考慮して選択してください。