朝ドラ『なつぞら』(NHK)で、主人公の兄の少年期を演じた俳優の渡邉蒼が、8月3日スタートの東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『それぞれの断崖』(毎週土曜23:40~)に出演する。
このドラマは、志方恭一郎(遠藤憲一)の中学生の息子・恭介が、13歳の同級生に殺害されたことをきっかけに、崩壊する家族とその再生を描く社会派作品。この殺害されてしまう恭介を演じるのが、オーディションでこの役を勝ち取った渡邉だ。現在中学3年生で、『なつぞら』では軽やかなタップダンスを披露した。
出演者やスタッフが初めてそろう顔合わせで、「短い人生を一生懸命やります!」と宣言した渡邉。クランクインでは、“家庭内暴力”をふるう激しいシーンから入ったにもかかわらず、遠藤演じる父親・志方を前にヒートアップした揉み合いやつかみ合いを見せるなど、芸歴3年とは思えないほど堂々とした演技を見せた。
第1話で殺害されてしまう渡邉の最後の撮影は、黒バックでスモークが焚かれる中“13歳の同級生”満(清水大登)に刺し殺されるという印象的なシーン。スタッフの「恭介役の渡邉蒼くん、全編終了でーす」の声に拍手が起こり、別室で控えていた遠藤は、蒼(あお)という名にちなんだ青い花のブーケと共に「頑張ったね」と、ねぎらいの言葉に笑顔を見せた。
撮影を振り返り、渡邉は「家庭内暴力をしたことがないので、どんな感じかもわからなかったんですけど、ちょっとでも遠慮する気持ちがあったりするとリアルさが出ないかなと思ったので、相手が遠藤さんだとか全く考えずにやろうって決めて、とにかく暴れました(笑)。遠藤さんも僕も結構本気でつかみ合ったりしてたんで、家に帰って服を脱いだら、つかんだ跡が付いてて! でも、それも気づかないくらい必死で演技してて、楽しいって言ったら変かもしれないですけど良い経験にもなり、楽しかったです」とコメント。
遠藤については「今までドラマや映画で見ていた遠藤さんが隣にいるのはとても緊張しました。でも遠藤さんの方から僕にたくさん声をかけていただいて。初日から『リアルな14歳の言葉が見たいからセリフ、全然変えちゃっていいから』って言ってくださって、お芝居というより、2人で話させてもらっているという感じでやらせていただきました」と語った。
その遠藤は、渡邉について「ナチュラルでナイーブな芝居をする子なんで、その辺が恭介役にぴったりだなぁと。芸歴は3年だけど結構ベテランだと思った。芝居の感性とかこだわりとかすごい持ってるから。以前、録音部さんに『もう少し声を出してほしい』って言われて『これ以上は、役がら的に(気持ち的に、感情的に)キツイだろうな』と俺は思って。でも、彼まだ若いから『これ以上、声出ません』なんて言えないし、実際言わないから、俺が横で『気分的にこれ出ねぇな?』って聞いたら『出ないです』ってはっきり言って。気持ちにウソつくのが大嫌いな子なんだってすぐ分かったから、優秀な子だなと。その思いでずっといけば、どんどん伸びていくだろうなと感じました」と印象を話している。