7月22日、広瀬竜王への挑戦権を争う第32期竜王戦決勝トーナメントの永瀬拓矢叡王―鈴木大介九段戦が行われ、永瀬叡王が勝って準決勝へと進みました。
「心の師匠」に要所で恩返し
鈴木「あるとき突然、永瀬君から電話がかかってきたんですよ。将棋を教えてくれませんかって。最初はどうかなって思ったんだけど……。だって、すごい生意気なやつだってうわさしか聞いていなかったから(笑)。将棋も根絶やしにする将棋だと言うし。でも実際に会ってみるとしっかりしているし、将棋に対して真面目で面白いところもある。それで研究会仲間として将棋を指すようになった。いまでは僕が教わる立場です。」
永瀬「鈴木先生は子供の頃からずっと憧れてきた先生です。たくさん影響を受けましたし、いまも教わることばかりです。」
~将棋世界2011年12月号「棋士が聞くプロ対談 鈴木大介八段×永瀬拓矢四段」(※肩書はいずれも当時)より
上記の対談からもわかる通り、親交の深い両者による一戦となった準々決勝。先手の鈴木九段は得意戦法の四間飛車を採用しました。互いに玉を城に収めた直後、鈴木九段が角交換の注文をつけ軽いさばき(※駒のスクラムで押し込む攻めではなく、攻め駒を相手の駒と交換したり、敵陣へ成り込む攻め)を目指しますが、永瀬叡王の丁寧な指し回しに攻め駒の撤退を余儀なくされます。永瀬叡王はその後も相手の狙いを的確につぶして優位を拡大。鈴木九段の攻め足が完全に止まったと見るや反撃に転じ、128手まで勝利を収めました。
第67期王座戦で挑戦者決定戦に進んでいる永瀬叡王は、本棋戦において2015年度、第28期に挑戦者決定三番勝負に進んでいます。結果は渡辺明三冠(※当時は棋王の一冠)に1勝2敗で敗れ挑戦権獲得はなりませんでしたが、4期ぶりの三番勝負進出、そしてその上を目指します。準決勝の相手は第60期王位戦で挑戦権を獲得、七番勝負に臨んでいる近況好調の木村一基九段。これまでの対戦成績は永瀬叡王1勝、木村九段1勝となっています。