娘が生まれた日を境に僕はパパになり、妻はママになった。そして、僕たちの両親は、じいじとばあばになった。
僕たち夫婦はそれぞれの実家を離れて暮らしていたため、娘を連れて帰省する度に、じいじばあばになった両親が孫娘にみせる反応に、ただただ驚かされた。
僕の実家では、不愛想な父が「じいじですよー」と赤ちゃん言葉で話しかける姿は全く想像していなかったし、母が相談なしに、たくさん(必要以上)の赤ちゃんグッズを購入していたことにありがたさと、多少のうんざり感を感じることもあった。妻の実家では、義父がレンズ付きフィルムカメラで、寄りすぎて写っていないであろう距離で孫娘の写真を撮りまくる光景は微笑ましかった。
自分が生まれたときもきっと同じように周囲に祝福されたんだなと思うと、なんだか不思議な感じがした。大げさな表現だけど、娘が家族としての形や結びつきを変えていってくれている。娘がいたから知ることができた両親の姿だった。
その中でも、一番驚いたのは、義母が作ってくれた娘の洋服をプレゼントしてもらったときだった。義母に洋裁の趣味があることを知らなかった僕はとてもびっくりした。妻が小さかったときも入学式のときの洋服や発表会の衣装などはすべて手作りしていたと、話してくれた。そんなエピソードも娘が生まれたから教えてくれたエピソードかもしれない。