富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、個人向けノートPC「LIFEBOOK」の2019年夏モデルに、17.3インチディスプレイを搭載した「LIFEBOOK NH」など、4シリーズ10機種を発表した。今回は発表会場で実機を触った13.3型ノートPC「LIFEBOOK MH」のレポートをお届けする。

  • 液晶を360度後ろに倒せる2in1スタイルは上位の「MH75/D2」のみで、下位の「MH35/D2」は液晶が180度開くクラムシェルモデル

    13.3型ノートPC「LIFEBOOK MH」。液晶を360度後ろに倒せる2in1スタイルは上位の「MH75/D2」のみで、下位の「MH35/D2」は液晶が180度開くクラムシェルモデル

「ビューアー」用途に本気でこだわった新2in1

今回発表された中ではメインストリーム寄りのモバイル機、といった位置付けになるのが、13.3インチのコンバーチブルノートPC「MH」シリーズだ。

上位モデルの「MH75」はクラムシェル、テント、タブレットという3つのスタイルを切り替えて、ユーザーそれぞれの使い方に合わせて使い分ける、というコンセプトになっている。下位モデルの「MH35」は伝統的なノートPCスタイル(いわゆる“クラムシェル”)のみだ。

  • ディスプレイを後方に倒して「テントモード」にしたところ。2in1ならではの特別なこだわりとして、通常LIFEBOOKでは、ディスプレイ下ベゼルに富士通ロゴが入るところ、MH75ではテントモードにするとロゴが逆さになってディスプレイ上部に来てしまうことから、MH75では富士通ロゴの刻印位置をキーボード面の左上に変更しているという

  • テント型にして置いたときにズレを防ぐため、接地面となる部分はディスプレイ側、キーボード側の両方にゴム足が付けられている

テント型はビューアー的な利用をする際に最適な形状で、ワイヤレスマウスなどを併用すれば、日常的にもこのような使い方で十分なのでは、と思わせるものがある。液晶パネル自体もIGZOパネルを採用しており、反応速度、視野角、明るさ、いずれも申し分ない。

13.3型で完全ファンレス、静かな場所で使いやすい

CPUは上位モデル(MH75)でCore i5-8200Y、下位モデル(MH35)はCerelon 3965Yを搭載。Yシリーズは超低電力版なので、たとえば上位版はCore i5の名称ではあるが、性能そのものには大きな期待をしすぎないほうがいいだろう。正直、動画や3D系コンテンツの編集など、クリエイティブな用途にはあまり向かない。もっとライトな、例えばペンを使った資料作成だったり、メールやチャットの返信/Webの閲覧といった作業が得意分野と思われる。

一方で低消費電力であることを生かし、発熱の少なさから、完全ファンレス構造になっている。発表会では、図書館で調べ物をしながら使う際に、省スペースなテント型で机の上を効率よく使えるという例を見せていたが、まさにこうした用途にはピッタリだ。

また、Windows 10からサポートされている「モダンスタンバイ」に対応しており、スリープ状態でも常時ネットワーク接続が維持され、スリープからの復帰もスマートフォンのように即座に利用可能になる。持ち歩いて使うモバイルPCだからこそ、すぐに使えることが望ましいが、その点MH75はしっかり基準をクリアしている。

  • かつてConnected StandbyやInstantGoと呼ばれた技術が「モダンスタンバイ」に進化した。この機能を使うには、ハードウェアとソフトウェアが両方対応している必要がある

  • モダンスタンバイ時の消費電力は0.3W(FCCLの新製品発表会で行われていた実機デモより)。電気代は同社試算で月々約10円という

スマホライクな現代的PC、「とりあえずの1台」にも

近年はスマートフォンでできることが増え、PCを使う機会が少ないという人もかなり増えている。そういった人に、タブレットのように手軽にビューアーとして使え、タブレットやスマホ系OSよりも一歩進んだことができるというコンバーチブルノートPCは、実に現代的なPCの姿だ。その点、MH75はこうした需要にかなりマッチするのではないだろうか。特に用途は決まっていないが「とりあえず1台」というケースにおいても、汎用性の高さでうまくカバーしてくれそうだ。

  • 左側面を見たところ(ディスプレイ側から見ると右側)。左側の端子はHDMI出力、USB 3.1(Gen1)Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、右側はUSB 2.0 Type-A×1などが搭載されている。有線LANポートは載っていない

  • 標準で専用タッチペンが付属する。本体への収納は非対応

  • キーボード面。LIFEBOOKの他のノートPCと異なり、富士通ロゴが左上に配置されている(通常はディスプレイ下ベゼル中央)。キー数は86キーで、13.3型ながら一般的なA4ノートに近いキー配置になっている。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.7mm

LIFEBOOK MH75/D2の主な仕様

  • OS:Windows 10 Home 64bit
  • CPU:Intel Core i5-8200Y(1.30GHz)
  • メモリ:8GB(交換不可)
  • ストレージ:256GB PCIe SSD
  • グラフィックス:Intel HD Graphics 615(CPU内蔵)
  • ディスプレイ:13.3型ワイド(1,920×1,080ドット)
  • 光学ドライブ:―
  • 通信機能:IEEE802.11a / b / g / n / ac準拠の無線LAN、Bluetooth 4.2 ※有線LANは非搭載
  • バッテリ駆動時間:約3.2時間(JEITA 2.0)
  • インタフェース:USB 3.1 Gen1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、USB 2.0 Type-A×1、SDカードスロット、イヤホンジャックなど
  • 本体サイズ:W311×D215.5×H19.5mm
  • 重さ:約1.24kg

LIFEBOOK MH35/D2の主な仕様

  • OS:Windows 10 Home 64bit
  • CPU:Intel Celeron 3965Y(1.50GHz)
  • メモリ:4GB(交換不可)
  • ストレージ:256GB PCIe SSD
  • グラフィックス:Intel HD Graphics 615(CPU内蔵)
  • ディスプレイ:13.3型ワイド(1,920×1,080ドット)
  • 光学ドライブ:―
  • 通信機能:IEEE802.11a / b / g / n / ac準拠の無線LAN、Bluetooth 4.2 ※有線LANは非搭載
  • バッテリ駆動時間:約2.9時間(JEITA 2.0)
  • インタフェース:USB 3.1 Gen1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、USB 2.0 Type-A×1、SDカードスロット、イヤホンジャックなど
  • 本体サイズ:W311×D215.5×H19.5mm
  • 重さ:約1.09kg