世界中の企業で、RPA(Robotic Process Automation)を活用した業務の効率化が進んでいる。一方、PRAを導入した企業では思っていたように効果が出ないという課題も生じている。

RPAを導入し、最大限の効果を引き出すには、その最新動向を押さえておいたほうがよいだろう。そこで、グローバルで展開するPRAプロバイダーであるAutomation AnywhereのCTOを務めるプリンス・コーリ氏に、RPA市場のトレンドや導入のポイントについて聞いた。

  • Automation Anywhere CTO プリンス・コーリ氏

現在のPPA市場の特徴とは?

現在のRPA市場の特徴を聞いたところ、コーリ氏は「2つある」と答えた。1つは、「クロス・アプリケーション・テクノロジー」だ。これは、さまざまなアプリケーションやテクノロジーをまたがる形でRPAを利用することを意味する。

「企業は業務プロセスを可能な限り自動化したい」とコーリ氏。これを実現するには、RPA単体ではなく、企業で使われている複数のアプリケーションやテクノロジーと連携する必要がある。

昨年11月、SAPがフランスのRPAベンダーのContextorを買収して話題を呼んだが、コーリ氏は「この市場のトレンドはSAPがRPAベンダーを買収した理由の1つ」と指摘する。「SAPは自社の技術をRPAに関する技術を統合したくてもできない」(同氏)

もう1つの特徴は「ベスト・オブ・ブリード」である。「企業は1つのベンダーからRPA製品を買いたいわけではない。すぐれた製品を組み合わせて使いたいと考えている」と、コーリ氏は語った。

日本企業にとって自動化は重要

RPAは業務の自動化を実現するが、コーリ氏は「日本企業にとって、自動化は重要。その理由はいくつもある」と話す。まず、日本は将来、労働人口が減少することが予想されるからだ。政府の試算によると、2040年までに日本の労働人口は2017年の実績から20%減少するという推計が発表されている。RPAによって、労働力を補おうというわけである。

2つ目の理由は「顧客がスピーディーな対応を求めているから」だ。コーリ氏は、RPAを導入すれば、24時間の作業が可能になることで、ヒューマンエラーの防止、対応の迅速化、コスト削減を実現できると話す。その結果、顧客満足度を向上できることになる。

3つ目の理由は「生産性を上げることが課題となっているから」だという。RPAはスモールスタートが可能であり、すぐに結果を出すことができる。ソリューションによっては、導入までに数年かかり、導入が終わる頃には企業の内情も業界動向も変わっている――なんてものもある。

こうした状況を踏まえ、Automation Anywhereでも日本市場には力を入れている。「日本市場の成長のスピードは米国に並ぶほど。われわれは、東京にサポートチームを置いているほか、日本語について、英語と同等の水準のサポートを提供している「」と、コーリ氏は言う。