7月18日、斎藤慎太郎王座への挑戦権を争う第67期王座戦挑戦者決定トーナメント準決勝の永瀬拓矢叡王―佐藤天彦九段戦が東京・将棋会館で行われ、永瀬叡王が勝って挑戦者決定戦へと進みました。
挑戦者決定戦は豊島名人とのタイトルホルダー対決
永瀬叡王は1回戦から山崎隆之八段、高見泰地七段を、佐藤九段は深浦康市九段、菅井竜也七段を下しての準決勝進出です。
対局は先手の永瀬叡王が「矢倉」模様から玉を真上に一つだけ上がり、金銀を左右にバランスよく配置する「中住まい」の布陣を敷き、佐藤九段は簡素な囲いから永瀬陣へ速攻を仕掛けました。理想とされる飛、角、銀、桂を使った攻めにより角を成り込み、と金(※成った歩)を作った佐藤九段でしたが、受けに定評のある永瀬叡王は崩れませんでした。前線に出ていた銀を自陣に引いて攻めを受け止めると、一転、佐藤玉に攻め掛かります。
序盤、速攻を仕掛けたため玉の守りに手数を掛けられなかった佐藤九段は、馬(※成った角)を自陣に引きつけ粘りに出ましたが、永瀬叡王はその馬を目標に攻め立て、馬に当てて自陣に分厚く金を打つ、いかにも「らしい」一着を決め手にして、以下数手で佐藤九段を投了に追い込みました。総手数75手と比較的短い手数での決着となりました。
勝った永瀬叡王は豊島将之名人との挑戦者決定戦に臨みます。豊島名人は横山泰明六段、渡辺明二冠(※当時)、羽生善治九段を下しての決勝進出。両者のこれまでの対戦成績は豊島名人の2勝0敗となっています。ただし、1局目が2011年、2局目が2014年に指されたもので、ここ5年半ほどは対局がありません。テータとしては対局数が少ない上、両者とも戦うステージが上がり、タイトルも獲得した現在の対局を占うにはあまりアテにならないでしょう。
今期、豊島名人の成績は11勝3敗[0.786]。3敗はすべて第90期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負で渡辺二冠(※当時)にタイトルを奪われた時の星で、それ以外の棋士には全勝しています。一方の永瀬叡王は13勝8敗[0.619]、直近10局は4勝6敗と、5月に叡王を獲得してからはやや低調な印象ですが、この対佐藤戦における指し回しを見る限りはぶれや揺らぎは感じられません。
タイトルホルダー同士の楽しみな挑戦者決定戦は7月25日に関西将棋会館で行われます。