ミーレといえば、デザイン性や技術力、「20年使える」という耐久性の高さから世界中のセレブにも人気がある、ドイツの家電メーカー。そんなミーレが今年7月1日から日本で発売しているのが、ドラム式洗濯機「W1 洗濯機 WCI660 WPS」(以下、W1)です。
W1の発売をうけ、ミーレ・ジャパンは7月18日にプレス向けの新製品説明会を開催しました。W1はミーレの日本向け製品として初めてのWi-Fi対応家電。洗濯にこだわるユーザーに絶大な人気を誇る「ミーレの洗濯機」がどう進化したのか、チェックしてきました。合わせて、2020年初頭に発売を予定している衣類乾燥機「T1 衣類乾燥機 TCJ680 WP」(以下、T1)の説明もありました。W1の税別価格は380,000円、T1は360,000円です。
ミーレ初のWi-Fi対応、しかも9kgの大容量
日本での「ミーレ」は食器洗い洗浄機や掃除機のイメージが強いのですが、1950年代からドラム式洗濯機を開発・販売していたという、洗濯機のパイオニアメーカーでもあります。それだけに「洗濯」に対する強いこだわりがあり、現在は自社製の洗濯機に最適な専用洗剤まで開発しています。洗濯時の水温やドラムの回転数など、細かな設定まで自分で選べることで、日本でも洗濯にこだわりのあるユーザーから絶大な支持を得ています。
ミーレノ旧モデル洗濯機とW1の違いは、Wi-Fi機能の搭載。スマートフォンと連携することにより、遠隔地からの操作が可能になりました。W1はミーレらしい細かな設定を用意している洗濯機ですが、スマホアプリからの操作によって、複雑な設定を直感的にできるようになったのもうれしい点です。
W1はもちろん、ミーレの洗濯に対するこだわり機能も受け継いでいます。水温は常温から90℃まで選べて、ドラムの回転速度も最大1200rpmまで細かく変更できます。また、衣類は材質や色物、白物などで分け洗いすることを前提としており、洗濯プログラムは「コットン」「ウール」「シルク」「シャツ」「アウトドア」「ダウン類」「新しい衣類」といった20種類を備えています。
2018年モデルに引き続き、W1にも液体洗剤の自動投入機能「TwinDos(ツインドス)」を搭載。洗濯プログラムや洗濯量などに合わせて、「ミーレウルトラフェーズ 1」と「ミーレウルトラフェーズ 2」という専用洗剤を最適な配合で使用します。専用洗剤はそれぞれ1.5Lサイズで、どちらも3,780円(税込)です。もちろん、市販の洗剤も使えます。その場合、詰め替え用コンテナに市販の洗剤を入れて、「一回の洗濯に使う量」を洗濯機に登録する必要があります。
ミーレの洗濯機の特徴である、衣類を傷めにくい洗濯も健在です。ほかの洗濯機と大きく違うのは、ドラム内の形状。ドラム表面に大き目の六角形が浮き上がるようなハニカム形状になっており、この形状がドラムと衣類の間に「水のクッション」を作り、衣類を傷めにくくします。
また、洗濯槽から排水する穴の大きさが2.1mmと、他社の洗濯機と比べてかなり小さいのも特徴的。穴を小さくすることで、衣類が穴を貫通する確率を減らし、より衣類を傷めにくくできるそうです。衣類に優しいのはドラム形状だけではなく、ドラムの回転制御や水位の制御などでも、衣類に優しい動きを取り入れているそうです。
W1には、「プレアイロニング」という便利な機能もあります。これは、洗濯の脱水工程が終盤になったとき、ドラムを加熱しながら回転させることで、ドラム内に湿気を含んだ暖かい空気を作り出す機能です。加熱されたドラムがアイロンのように衣類のシワを伸ばすため、アイロンがけの手間を50%軽減するとしています。
乾燥機はとうとうヒートポンプ式に進化
2020年初頭に発売予定の衣類乾燥機「T1 衣類乾燥機 TCJ680 WP」の説明もありました。T1最大の進化ポイントは、乾燥方式がヒートポンプ式になったこと。ヒートポンプ式とは、湿気を含んだ空気を冷やして結露させて除湿し、除湿した空気を加熱器で温めて、温風としてドラム内に送り込む方式です。従来のヒーター方式よりも消費電力が低く、ミーレは電気代が従来製品の半分以下になったとしています。
W1のように、T1にもアイロン機能があります。衣類の乾燥時に集めた水をスチームにして洗濯物に吹き付け、しわを伸ばす「SteamFinish」です(排水タンクを使用しない家庭では水の供給が必要)。このほか専用の「フレグランスフラコン」をセットすることで、衣類に香りをつける「FragranceDos2」という機能も。フレグランスフラコンには3種類の香りがあり、T1には同時に2種類までのカプセルをセットできます。気分にあわせて香りを切り替えられますね。
日本の洗濯機に満足していない人におすすめ
日本は洗剤の性能が非常に高いため、洗濯機が日本だけの独自進化をしています。具炊いてミニは、「白物も色物も一緒に洗う」「常温(あるいは40℃前後のぬるま湯)で洗濯する」というところ。海外(特に欧米諸国)では、洗濯機に熱湯モードが搭載されているのは当たり前。色移り防止のために、色物と白物は分けて洗う家庭が多いのです。また、ドラム式には洗濯機能と乾燥機能が当然のように両方搭載されているのも日本ならではで、海外ではW1のような単機能洗濯機もよく見かけます。
日本製品にも60℃洗い機能を持つ洗濯機はいくつかあるのですが、W1のように90℃まで加熱できる製品はほとんどありません。このため「衛生面でどうしても煮沸消毒に近い温度で洗濯したい」というユーザーには、W1は数少ない選択肢になりそうです。洗濯方法を細かく設定できるので、自分流の洗濯にこだわりたい人にもおすすめ。さらに、ダイヤル式の操作パネルやシンプルな本体デザインなど、日本では見かけないデザイン性も魅力の一つと感じます。
ミーレは自社製品を「20年使える」ようにデザインしていることでも有名です。たとえば、今回のW1やT1はドラム周りに、他社では使わないような鋳鉄製のクレードルを配置しています。このため、本体重量は両製品とも100kgと驚くほど重いのですが、本体の軽さよりも堅牢性を選ぶところにミーレのこだわりを感じます。両製品ともに約40万円と安い買い物ではありませんが、20年使えることを考えたら意外にコストパフォーマンスは良いのです。