脳を「ぼんやり」させるとアイデアが生まれるって、知っていますか?『「ぼんやり」が脳を整理する』(大和書房)著者の菅原洋平さんによると、脳がぼんやりすると、情報が脳内でつながり、新しいアイデアが生まれるそうです。
前回に続き、「星野リゾート BEB5 軽井沢」(以下、BEB)でのぼんやり体験を紹介します。
ボリュームある朝食「羽根つきフレンチトースト」
2日目は、眠い目をこすって早めに起床し、朝イチぼんやりを中庭で。二度寝ではなく、ぼんやりしてるだけで、脳は起きています。
そして朝食はBEBのスタッフが勧める「羽根つきフレンチトースト」を食べることに。こう書くと仕事とは思えないかもしれませんが、意外とちゃんと仕事しています。
羽根がチーズになっていて、それが甘味のあるフレンチトーストのいいアクセントに。新鮮野菜と、温かいスープ、ふんわりしたフレンチトースト……
どれもおいしすぎて、急いで食べたくなる気持ちを抑え、よくかんでじっくりと料理を楽しみました。
菅原さんによると、食事を規則的によくかんで食べることで脳内でセロトニンの分泌が促されます。すると、気持ちが落ち着き、脳を緩やかに覚醒することができ、ぼんやりに近い状態を保てるのだそうです。
目を閉じて露天風呂でぼんやり
続いて朝風呂に入るために、無料の巡回バスに乗って軽井沢星野エリア内にある「星野温泉 トンボの湯」へ。8:30〜10:00(季節変動あり)は宿泊者限定なので、入浴している人がほとんどいない贅沢な露天風呂になりました。
「ぼんやり脳をつくるには入浴に時間をかけるのがいい」ようです。できれば、暗闇にして無駄な視覚情報を少なくすると、より内面に潜在的意識が向かい、良いぼんやりをつくり出せるとのこと。
そこで、目を閉じて露天風呂を堪能。話し声は一切なく、木の葉の揺れる音や鳥のさえずりなど自然が奏でる音を聞きながら、身体の芯から温まることができました。
自然の中で、単調な音を繰り返し聞く
清々しい朝の空気に触れようと、足をのばして森を散策。ムササビなどがいる森のほうまで歩いてみると、いろんな鳥たちの鳴き声がこだましていました。
「単調な音を繰り返し聞くのも、ぼんやりに効果的」という菅原さんのアドバイスのもと、川のせせらぎ、自然観察ツアーを行う「ピッキオ」のインストラクター伝田さんに教えてもらったエゾハルゼミやシジュウカラの鳴き声を聞きながら、小1時間森林浴を楽しみました。
菅原さんは「デジタル画像と違って、自然の中で自由に自分の視点を切り替えることは、特に何かを得るという答えがありません。つまり、自分で興味がもてる視点を作り、それを知りたいから情報を調べるという工程は、体験前にあらかじめ情報が用意されている現在のデジタル社会では得難いものです」と言います。
こうすることで、脳内のネットワークをどちらかに偏り過ぎることなく切り替えることができるのだそう。
果たしていいアイデアが生まれるのか
この後、1時間ほどで、2つの企画を仕上げ、ぼんやりすることで、ひらめきを生み出せることを実感。
さらに、日常生活から離れられる旅は、ひらめきが起こりやすいだけでなく、オンとオフを切り替えやすく、仕事にも集中できることが分かりました。
中国・北宋時代の政治家で詩人・文学者の欧陽脩(おうよう・しゅう)は、「ひらめき」が生まれる状況を「三上(さんじょう)」という言葉で表わし、これは馬上(馬に乗っている時)、枕上(布団に横になっている時)、厠上(トイレにいる時)の3つです。
昔の賢人も脳を効果的に使う方法を知っていたようですね。
※ぼんやりによる効果は個人差があります
取材協力:菅原洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で行う。