渡辺明棋王への挑戦権を争う第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント2回戦の谷川浩司九段―佐々木大地五段戦が7月17日、関西将棋会館で行われ、佐々木五段が勝利を収めました。

通算勝率7割超! 期待の若手が永世名人下す

各棋戦での活躍著しい佐々木五段

本棋戦の挑戦者決定トーナメントには8人の予選通過者とシード棋士(前期ベスト4、タイトル保持者、順位戦B級1組以上、永世称号保持者)合わせて30数人が参加します。シード棋士の人数が変動するため全体の人数も期によって違いがあり、今期は33人ですが前期は1人多い34人で争われました。

ベスト4以上は「2敗失格システム」が採用されていて、本トーナメントの準決勝、決勝で敗れた棋士は敗者復活戦に回ります。挑戦者決定戦は本トーナメントと復活戦の勝ち上がり者の間で行われ、本トーナメント勝ち上がり者は1勝で挑戦権を獲得できるのに対し、復活戦勝ち上がり者は2連勝が必要となります。

17日の対局は佐々木五段の先手で始まり、互いに飛の頭にある歩を敵陣に向け突いてゆく「相掛かり」の戦型へと進みました。谷川九段は交換により手駒となった角を敵陣に打ち、手を作りに行きましたが、佐々木五段も自陣に角、銀を打って抵抗。一連のやり取りで角を成って馬にし、桂、香を得した谷川九段ですが、攻めに使った銀は戦いに参加できない盤面の隅に残ってしまいます。手番が回ってきた佐々木五段は谷川九段の攻防の主力である馬を盤上から消去すると、逆に馬を作って好位置に引きつけ、さらに手駒にしていたもう一枚の角も成り返ります。攻守に絶大な威力を発揮する馬を盤上に2枚、横並びに配置して、攻防ともに見込みのなくなった谷川九段を投了に追い込みました。

  • 第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント

佐々木五段の次戦の相手は黒沢怜生五段。第43期、第44期と2期連続でベスト4に入り、本棋戦での活躍が特に目立つ若手棋士です。第43期には敗者復活戦から挑戦者決定二番勝負に進み、永瀬拓矢六段(※当時)に先勝したものの第2局に敗れ惜しくもタイトル初挑戦を逃しています。これまでの両者の対戦成績は佐々木五段の2勝0敗です。