宝くじの当選金も年々高額になってきて、夢は膨らみます。夢見る分にはお金はかかりませんので、宝くじを買ったら、思う存分夢を見たいものです。ところで夢を見るのは良いけれど、本当に当たったら「税金がごっそり引かれて、あまり残らないのでは? 」と、心配になりませんか? 宝くじなどの当選金に対する税金はどのようになっているのでしょうか。

  • 高額宝くじ - 当選したら税金ってすごいの?

    高額宝くじ - 当選したら税金ってすごいの?

宝くじ、税金は当選金のどれくらい?

結論から言うと、宝くじの当選金に税金はかかりません。何億受け取ろうと所得税は一切かからないのです。もちろん住民税もかかりません。宝くじのほか、ロト7なども同様の扱いとなります。

下記のケースは宝くじではなく、通常の3億円の所得(※)に対する所得税額の計算。4,000万円以上の所得金額の税率は45% です。

3億円の所得の場合の所得税額は=300.000,000×45% -控除額4,796.000=130,204,000

(※)所得とは総収入から様々の控除を差し引いた課税総所得額のことです。

このように所得税はびっくりする額の税金を納めなければならず、一生懸命に働いた結果の所得が課税されて、不労所得の宝くじが非課税なんて不条理と思われるかもしれません。しかし、宝くじの販売価格の中にはすでに相当額の税金分が含まれているのです。幸運にも大金を得る方がいる一方で、ほとんどの場合は損をするのが宝くじ。すでに源泉徴収しているので、再度課税していないということです。

共同購入の場合はどうなる?

税金がかからないとはいえ注意が必要なのは、宝くじを共同購入した場合です。みなさんは職場の同僚などと共同購入したことはありませんか?

非課税なのだから、だれかが代表して受け取って、拠出した金額に応じて配分すればよいと考えていたとしたら少し問題があります。

なぜなら、突然大きな金額が預金されると、税務署にその出所を問われることも考えられるからです。仮に、宝くじを共同で購入し、分配された当選金であることを証明できなければ、代表で当選金を受け取った人からの贈与とみなされ、贈与税の対象と認定される危険があります。

せっかく当選金を受け取っても、贈与税は高額。そのため、宝くじの高額当選金を受け取るときは、「当選証明書」を発行してもらいましょう。「当選証明書」には、共同購入した全員の名前が入っていなくてはなりません。共同購入者全員で当選金を受け取りに行くのがベストですが、無理な場合はきちんと委任状を用意することも大切です。最近だとネットでグループを設定して、共同購入できるシステムがありますので、そちらを利用してもよいでしょう。

馬券は税金がかかる?

一方、馬券は宝くじと異なり、払戻金に税金がかかります。払戻金は原則として一時所得とみなされ下記のように計算されるのです。実際の所得税額はその他の収入などと合算して課税され、当然住民税もかかります。

一時所得=(払戻金-馬券購入費-基礎控除50万円)×1 / 2

※基礎控除は年間で50万円が限度です。
※馬券購入費(経費)は当選馬券の購入費のみが対象です。ハズレ馬券の購入費は計上できません。

ちなみに、馬券の払戻金は、申告納税です。払戻金が購入費と基礎控除額の合計額を超えて一時所得が発生すると、確定申告を行い納税しなければなりません。

納税しなければどうなるのでしょうか。一般的な脱税のケースと同様、本来納めるべき税金分と過少申告加算税が課されます。ではどうやって税務署は払戻金を受け取った人を特定しているのでしょうか。

芸人が高額な払戻金を手にして大喜びで、みんなに自慢したところ、確定申告の時に税務職員から、「馬券の払戻金が記載されていませんね」と言われたと何かで見聞きしたことがあります。こういった周りに話したりしたケースのほかに、高額の預貯金を預け入れたケースや、インターネット販売の仕組みから判明するケースもあるかもしれません。いずれにしろ納税は義務ですので、ばれないからといって故意に脱税してはいけないということです。

宝くじに当選した時の対処の仕方で、より良い人生を!

話は変わりますが、宝くじに限らず高額の不労所得を得た時は、周りに吹聴するのは考え物です。数十万円等の微妙な金額でも、内密にするのが得策です。友人同士の気楽な割り勘の飲み会も、高額な配当等を得たとわかった後は、微妙な感じになりかねません。今まで通り「割り勘」とも言いにくい感じでしょうし、かといって、いつどこまで奢ればよいかは、それぞれ考え方に違いがあり厄介です。

たとえ数十万円でも、資産形成の一環として組みこめば、のちのち大きく生きてくる可能性もあるのです。オープンにしてしまうと、せっかくの幸運もいつの間にか消えてしまう恐れがあるので、あまり公言しないほうが得策だと思います。

では、夫婦の場合はどうでしょうか。最近は共働きが多くなり、それぞれ決められた金額を家計費として拠出し、残りはそれぞれの自由というのも一般的のようです。宝くじを買ったお金が家計費なのか、いずれかのポケットマネーなのか、夫婦で判断が違うケースもあり得ます。また、宝くじはそれぞれのポケットマネーからと取り決めてあったとしても、どちらかが高額配当を手にした場合、夫婦間で大きな格差が生じることは良いことではありません。

こういった点から、夫婦の場合は、宝くじは必ず夫婦の共同購入であると取り決めておいた方が良いのではないかと思います。購入価格の上限を決め、どちらかが代表して購入したら報告をし、家計費として管理するのがベストではないかと思います。

親や子供、兄弟姉妹等への支援が必要な場合、宝くじが当たりその余力があるということはうれしいことかもしれません。しかし、独立していない扶養中の子供は別として、基礎控除を超えた部分の支援は贈与税の対象となります。高額の贈与が行える教育資金や住宅取得資金などの贈与の特例もありますので、そうした特例を利用して有効に活用ください。

高額当選した時こそ、しっかりした生涯収支を算出しよう

当選金額の使い方は大切です。「宝くじに当たったので遊んで暮らす」も一つの考え方ですが、変わらず懸命に働き、稼ぎに見合った生活をしていくのが本来の姿でしょう。その上で、幸運にも得たお金をどう生かすかを考え、将来の計画に対する安心につなげていければ、健全で有効な生かし方だと思います。

仮に高額当選した場合、とりあえず金融機関に預貯金として預け入れて、ゆっくり考えるという方は多いでしょう。しかし、そのあとはどうでしょうか。大きな臨時収入があった時こそ、人生設計をしっかり立ててみませんか。その上で、平均余命までの収入・支出と預金残高の推移を表す生涯収支表を作成してみてください。いつどのような使い方をすれば、当選金が生きてくるか明確になるでしょう。