化粧品メーカー・マンダムはこのほど、スタイリング剤の新製品「ギャツビー インサイドロックシリーズ」を発表した。
8月26日より販売開始する同商品は、毛髪の内部に成分が浸透するという新しいタイプのスタイリング剤で、「自然な質感」と「キープ力」の両立を追求したとのこと。発売に先立ち都内にて発表会が開催され、開発の経緯や新技術の詳細が紹介された。
今回発表された新シリーズでは、「ワックス」2種類、「セラム」2種類、「ストレートウォーター」1種類の計5アイテムをラインアップ。そのすべてにマンダム独自の「インサイドロック技術」なる新技術を処方しており、スタイリング剤の永遠の課題とも言える「軽く柔らかなスタイリングと高いキープ力の両立」をついに達成したのだそう。
“まるで1DAYパーマ”なスタイリングを実現したという同シリーズ。以下にその秘密を紹介していこう。
若者のスタイリング離れの原因と10代の最新トレンド
発表会で実施されたミニセミナーにて、新スタイリングシリーズ発売の背景を説明したのは、商品企画部の山口和希氏。
開発に着手した当初、チームで一番の若手だったという山口氏は、若い男性のスタイリング剤の使用率が徐々に減ってきている現状を踏まえ、若い生活者の視点に立った開発を進めてきたという。
「2000年代は個性を主張するようなファッションや、作り込んだヘアスタイルが多く見られましたが、2010年代になると少しずつ価値観が変わり、同調志向が主流になったと言えます。この同調志向には、SNSが浸透して周りの目線が気になる機会が増えたことや、スクールカーストの存在が大きく影響していると弊社では分析しています。ノームコアなファッションに、プレーンヘアやスマートヘアなどの自然なヘアスタイルのいわゆる“量産型男子”が増えたんです。私自身も大学生だった当時を振り返ると、“頑張っている感”が出ないよう、無難なスタイルに落ち着いていたように感じています」
こうしたことが背景となり、スタイリング剤の使用頻度もおのずと減少したようだが、山口氏は続けて若者の価値観のさらなる変化を指摘した。
「これまでは、学校という単一のコミュニティの中で自分を表現できない人も多くいましたが、SNSが生活に定着し、ハッシュタグなども浸透したことで学校の外にコミュニティが広がり、自分を表現しやすくなりました。どこかで自分を認めてくれるコミュニティができやすい状況が生まれ、今の若者は自分の価値観に自信を持ちはじめています。特に興味深いのは、彼らが“ナチュラル”をベースにしながら、会う友人や様々なコミュニティに合わせて服装や髪型を変えている点です。20代の約半数がコミュニティによって髪型を変えているとの調査もあり、アレンジしやすく自然なマッシュヘアが若者に人気のヘアスタイルとなっています」
特に高校生・大学生はマッシュヘア率70.3%と非常に高い比率になっているようだが、一方でスタイリングに悩みを持つ人も多いという。
「強い整髪力のあるハードワックスなどのスタイリング剤を使うと、しっかりスタイルがつくれてキープできる一方、ベタつきや不自然なツヤが出てしまう。また、自然なスタイルをつくることが可能なスタイリング剤はキープ力に欠け、そもそもクセ毛でマッシュヘアをつくれないといった不満も聞かれます」
スタイリング剤の永遠の課題を解決した新技術
山口氏によれば、「軽く柔らかなスタイリングと高いキープ力の両立は、スタイリング剤の永遠の課題」とのことだが、その両立を実現する方法として今回開発されたのが「インサイドロック技術」だ。新商品のシリーズ名にもなっているこの技術について、技術部門の占部駿氏が解説する。
「ヘアスプレーやヘアジェルに入っているセットポリマーや、ヘアワックスに使われているワックスなど、従来の整髪技術はすべて髪の外側で髪の毛を固定しています。髪の表面に整髪剤をつけるので、触るとベタつきやゴワつきがあり、キープ力を上げるため整髪成分を増やすと、見た目の不自然さなども増していく。そこで我々は発想を転換し、髪の内側から整髪する新技術を開発しました」
インサイドロック技術では、髪の毛の中に整髪成分を浸透させ、内側から髪を固定するので、見た目も触り心地も自然な質感が実現されている。
「内側で整髪成分が作用することは、スタイルを持続させる上でも効果的です。そもそもヘアスタイルが崩れる大きな原因は湿気です。毛髪は内部のタンパク質同士が主に水素結合を形成することで形を作っていますが、水素結合は非常に水に弱く、湿気で切れてしまい形状が変化します。インサイドロック技術で成分を中に染み込ませ、髪の中にイオン結合という湿気で切れない新しい結合を作ることで、クセ毛でも長時間髪型を維持できます」
この日は、上記の発言を裏付ける様々な実証試験の結果も発表された。
高湿度な環境下においてキープ力を見る実験では、従来の整髪料を使用した場合は時間が経つにつれ毛束が落ちてくるのに対し、新製品を使用した場合は毛束がビクともしていないという結果に。
やわらかなスタイルをしっかりキープしてくれるこの新技術は湿気に強いため、クセ毛をまっすぐにすることも可能だという。実際に採取したクセ毛を用い、水でまっすぐにしたものと、新製品を使用してまっすぐにしたものを比較。新製品を塗布したクセ毛は、18時間経過してもまっすぐキープされていた。
新シリーズの2種のワックスは、洗いやすさにも配慮している。従来品と新製品、それぞれ真っ赤に染色したものを手の平に伸ばし、桶に張った水に30秒浸してみると、新製品のほうのみ水が真っ赤に。洗い落ちの悪さからワックスを敬遠していた人でも、これなら快適に使用できそうだ。
落ち着きのあるシトラス系の香りを採用し、パッケージもシンプルに。とことんまで使いやすさにこだわった新シリーズのラインアップは以下の通りとなっている。
「ギャツビー インサイドロックシリーズ」
・「モーションコントロール〈ワックス〉」(75g / 900円)
・「ナチュラルリフト〈ワックス〉」(75g / 900円)
毛束をつくるスタイルや、立ち上げて立体感を出すスタイルに適したドライワックス2種。伸びなじみの良さと洗い落ちの良さを両立。ケイソウ土配合で、よりマットな質感を表現し、耐湿性もアップしている。
・「エアリーモード〈セラム〉」(75g / 900円)
・「スマートフォルム〈セラム〉」(75g / 900円)
スーッと伸びて軽く仕上がるアクアセラム2種は、自然なボリュームを出したり、毛流れをつくったりするのにうってつけ。ワックスと同じくケイソウ土を配合しており、マットな仕上がりに。
・「ストレートウォーター」(200mL 850円)
湿気の影響などを受けやすいクセ毛でもしっかり伸ばし、まっすぐキープするヘアウォーター。トリートメント成分配合でスルッとさらさらに仕上がり、寝ぐせ直しにも使える。
※価格はすべて税別