JR西日本は17日、レーザスキャナやデジタルカメラなどのセンサ、GNSSなどを組み合わせて車両に搭載し、移動しながら周囲の3次元計測を行う、道路分野で普及している技術「MMS(Mobile Mapping System)」を応用した鉄道MMSを導入すると発表した。
同社は中期経営計画の基本戦略に掲げた「生産性向上」において、新しい技術を使った「メンテナンスのシステムチェンジ」に取り組んでいる。これまでも線路設備診断システムや車両状態監視装置などを取り入れ、人手がかかっていた検査をIoT機器に置き換えることで、労働人口が減少する中でも安全で持続可能な鉄道の実現をめざしてきた。
今回、導入が発表された鉄道MMSは、道路分野で普及しているMMS技術を鉄道分野に応用したものであり、線路上を走行しながら鉄道および周辺設備の3次元位置情報を取得することができるという。
導入効果として、線路設備管理業務の効率化や高度化が見込まれ、従来は人手で測っていた建築限界やホーム限界などを車上でそのまま測定するとともに、判定の自動化も予定している。現地に行かなくても机上で現場調査や測量が可能となり、仮想空間での工事計画や安全対策の検討や図面、台帳作成の効率化なども期待できる。この技術を新幹線・在来線の全エリアに導入し、2021年度春から運用開始予定とのこと。