日本を代表する文化のひとつ、「マンガ」。その多様な表現や伝える力は、世界中に広がりを見せている。
パナソニックはこのほど、そんな「マンガ」を切り口に「スポーツ」の魅力を発信する特別企画展「SPORTS×MANGA」を開催した。本稿では、その会場の様子を一部お届けする。
7つからなる展示、内容は?
9月29日までパナソニックセンター東京(江東区有明)にて開催されている同企画展は、東京2020大会のムーブメント醸成を目的に企画された。講談社、小学館、集英社、秋田書店の特別協力の下で実施されており、入場は無料。
100タイトル以上のスポーツマンガ作品を同社のプロジェクターなどの技術を使って魅せるというユニークな内容で、会場は7つの展示ブースで構成されている。順を追って紹介していこう。
第1章「スポーツマンガの歴史と日本社会」
まず初めに登場するのは、第1章「スポーツマンガの歴史と日本社会」。スポーツマンガの代表作100タイトル以上が年表とともに紹介されている。タッチパネルを操作すると、各作品の概要説明を読むことが可能だ。
ショーケースに入っているのは、長嶋茂雄氏が表紙の週刊サンデー(創刊号)や、大鵬が表紙の週刊少年マガジン(創刊号)。また、『タッチ』や『スラムダンク』の挿絵が表紙の週刊少年ジャンプ、『アタックNo.1』や『エースをねらえ! 』が表紙の週刊マーガレットもラインナップ。
第2章「トレーニング」
続いては、伝説のスポ根マンガに登場した過酷なトレーニングシーンを追体験できる第2章の「トレーニング」。例えば、『巨人の星』のワンシーン、家の壁の小さな穴にボールを投げ通す“1人キャッチボール”を再現できたり、『はじめの一歩』で描かれる、落ちてくる葉っぱを左ジャブで掴むシーンを体験できたり。『弱虫ペダル』のブースでは、1,000kmを自転車で走破するために特殊な細工を施したという自転車を漕げるコーナーも用意されていた。
第3章「必殺技」
第3章は、現実世界ではあり得ないマンガならではの「必殺技」。ここで目をひくのは、『キャプテン翼』で立花兄弟が繰り出す「スカイラブハリケーン」を原寸大で再現したオブジェ。キャプ翼で育った40代筆者も「こんなに飛ぶのか」と、改めてその高さに驚いた。よくぞ再現してくれたと言いたい。その奥には、高橋陽一先生が本イベントのために描き下ろしたというチョークアートもプロジェクターによって映し出されている。
第4章「ヒーローとアスリート」
第4章は、マンガのヒーローに憧れて競技を始めたアスリートなど、その深い関係性を紹介する「ヒーローとアスリート」。体操の内村航平選手、サッカーの遠藤保仁選手、柔道の谷亮子選手など、おなじみの方たちはどんなマンガに影響を受けてきたのだろうか。
第5章「マンガとスポーツの精神的価値」
第5章の「マンガとスポーツの精神的価値」では、スポーツが持っている価値を、マンガやアスリートの名台詞、名シーンとあわせて紹介していく。
それにしてもスポーツマンガには名台詞が多いし、また世界のスポーツシーンにはマンガのような名台詞が溢れていることに改めて気付かされる。「敬遠は一度覚えるとクセになりそうで。Once I start walking one. I'll get addicted.」「サッカーは強い者が勝つんじゃないんだ。サッカーは……勝った者が強いんだ!! In soccer, the strong doesn't win, the winner is strong.」――。ここではきっと、お気に入りのセリフが見つかるはずだ。
第6章「パラリンピック競技を描くマンガ・アニメ」
第6章は、「パラリンピック競技を描くマンガ・アニメ」。いま新たにパラリンピックスポーツを題材にしたマンガに注目が集まっている。そこで、このブースではマンガやアニメを通じてパラリンピックスポーツのすごさ、楽しさ、壮絶さを紹介している。
第7章「世界に拡がる日本のマンガ文化」
最後の第7章「世界に拡がる日本のマンガ文化」では、日本から生まれたマンガという文化が世界に与えたインパクト、人気を拡大してきたその影響力にフォーカス。『AKIRA』や『DRAGONBALL』など、世界的にも有名なマンガの外国語版が説明パネルとともに並んでいる。
外国人から見たマンガ文化、という視点も大事にしている本企画展。実はキュレーターにも、欧州最大級のマンガ関連イベントである「アングレーム国際漫画祭」のアートディレクターが参画しているとのこと。
主催のパナソニックは、国際オリンピック委員会(IOC)のワールドワイドオリンピックパートナーにも名を連ねている。本企画展では、そんな同社のテクノロジーにより、マンガの豊かな歴史と文化、そしてスポーツの魅力が融合され、新たな感動体験が生み出されていた。
開幕まであと1年。名作マンガを通じて、東京2020大会に思いを馳せるのも良いだろう。
●information
会場:パナソニックセンター東京(住所:東京都江東区有明3-5-1)
期間:7月13日~9月29日
時間:10時00分~18時00分(最終入場17時45分)
休館日:月曜日(7月15日、9月16日は開館)
入場料:無料