日産自動車は新型「スカイライン」を9月に発売する。「技術の日産」を象徴するプレミアムセダンの新型は、新機能として「プロパイロット 2.0」を搭載。一定の条件下においてではあるものの、ついにハンドルから手を離した状態(ハンズオフ)で走らせることが可能になる。
「技術の日産」を印象づける1台?
スカイラインは今年で誕生から62年を迎えた日産のセダン。「ハコスカ」や「ケンメリ」など、多くの名車を生み出した日産の歴史的ブランドだ。
新型スカイラインで呼び物となるのは、なんといっても「プロパイロット 2.0」だろう。
「プロパイロット」とは、フロントガラスの中央上部に搭載する単眼カメラで前方車両や車線を3次元的に捕捉し、その情報を元にクルマがステアリング、アクセル、ブレーキを自動制御するシステムのこと。この機能を使うと、ドライバーが設定した車速を上限にクルマが自動で走行する。高速道路や自動車専用道路などでしか使えない機能だが、前にクルマがいなければ設定スピードを維持し、クルマがいれば追従・停止・停止保持を自動で行ってくれるので、長距離の巡航走行や渋滞時の運転で役に立つシステムだ。
そのプロパイロットが進化し、「プロパイロット 2.0」となって新型スカイラインで登場する。カメラが3眼を含め計7個に増えたほか、レーダー、ソナー、GPS、3D高精度地図データ(HDマップ)などを組み合わせることにより、周囲360度の情報と道路上の正確な位置を把握できるようになっているところが進化のポイントだ。
プロパイロット 2.0では「ナビ連動ルート走行」が可能となる。ナビで目的地を設定した上で高速道路本線に合流すると、クルマはナビと周囲360度のセンシング情報に基づき、ルート走行中の分岐や追い越し(車線変更)の適切なタイミングをドライバーに提案する。その際、ドライバーがハンドルに手を添えてスイッチ操作を行えば、クルマは車線変更支援を開始する。
そしてもうひとつ、注目すべきなのが、プロパイロット 2.0の搭載により可能となる「同一車線内でのハンズオフ機能」だ。「高速道路の本線を走って」いて、「ドライバーが常に前方に注意」しており、「道路・交通・車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる」状態にある限りにおいてだが、ドライバーはハンドルから手を離したままでいられる。ドライバーが前方に注意を払っているかどうかは、車内に設置するカメラ「ドライバーモニター」で確認する。
ただし、対面通行路、トンネル内、カーブ路、料金所、合流、車線数減少地点などで同機能は使えない。そういった地点に差し掛かる場合は、事前にクルマからドライバーへの報知がある。報知を受けたドライバーはハンドル操作に復帰しなければならない。
この新機能を、なぜ新型スカイラインに導入することにしたのか。日産でチーフマーケティングマネージャーを務める丸地隆史氏は、スカイラインが「日産の挑戦の歴史」であり、歴代のモデルが「その時代の最先端技術を投入」してきたことにより、「技術の日産の象徴」となっているからだとする。かつては「技術の日産、販売のトヨタ」といわれたことがあると聞く。新型スカイラインで日産は、同社の面目躍如たる姿を見せたいのだろう。
新型スカイラインでは新たに、3.0LのV型6気筒ツインターボエンジンを搭載する。エンジンのラインアップは同ツインターボとハイブリッド(3.5L)の2種類となった。ガソリンエンジンの方には、スカイライン史上最高の400馬力という最高出力を発生するグレード「400R」をラインアップする。プロパイロット 2.0はハイブリッド車の方に標準装備となる。
新型スカイラインの月間販売目標は200台。ハイブリッドとガソリンエンジンの比率は半々くらいを見込んでいるという。台数目標は控えめに見えるが、丸地氏は「もっと上を狙っている」と同車の拡販に意欲を示していた。