オンラインゲーミングプラットフォームのSteamは7月11日 (米国時間)、機械学習を用いた新しいオススメ機能「Interactive Recommender」の提供を開始した。
大作から1時間程度で遊べるショートゲームまで豊富なゲームライブラリがSteamの最大の特長だが、ライブラリが膨大なだけに、ユーザーが楽しめるゲームが未知のままライブラリに埋もれてしまう。ユーザーが効率的にゲームを"発見"できる仕組みの実現がSteamの課題になっていた。これまで「Discovery Queue」というオススメ機能がその役割を担ってきたが、タグやキュレーションされたリスト、レビュースコア、販売数といったデータに基づいたオススメは、「Beat Saberをプレイした人にはVRリズムゲーム」というように同じカテゴリーで人気の高いゲームに偏る傾向がある。
Interactive Recommenderは、Discovery Queueではカバーできないオススメを提供する。機械学習には、ゲームの種類やタグなど従来のゲームのオススメに用いられるゲームデータは読み込ませていない (唯一、発売日が例外となっている)。Steamユーザーの数十億に上るゲームプレイをひたすら学習させてモデルを作り上げた。その結果、Interactive Recommenderでは、ゲームAやゲームBに熱中したプレイヤーが他にも熱中したゲームが、そのゲームをプレイしたことがない同じ傾向のプレイヤーにオススメされる。Steamで配信されている全ての面白いゲームがオススメの対象になるようにデザインされているのも特徴。例えば、単純にプレイ時間だけを比べたらショートゲームは大作に対して不利になるが、新しいオススメはゲームの規模に対してプレイヤーが費やした時間で判断する。
その上でユーザーがオススメを絞り込める機能を用意した。人気 (ポピュラー〜ニッチ)と発売時期をスライダーで調整、タグを指定してカスタマイズできる。カジュアルゲーマーなら新しい人気ゲームに絞り込み、逆にヘビーゲーマーが古いタイトルやプレイヤーが少ないゲームを探すといったことが可能になる。
ゲーム開発者にとっては、人気の高いタグを選んだり、好レビューを反映するというような従来のマーケティングがInteractive Recommenderでは効果を発揮しなくなる。Steamは「Interactive Recommenderに最適化する最善の方法は人々が楽しんでプレイできるゲームを作ることだ」としている。一方で、面白いゲームでもリリース前やリリース直後のゲームはデータが少ないため、Interactive Recommenderでは不利になる。そのためDiscovery Queueもこれまでと同じように積極的に提供して、全体のバランスを保つ。