俳優の柿澤勇人が11日、大阪・カンテレ本社で舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』(10月3日~6日、大阪・森ノ宮ピロティホール)の取材に応じ、初めて挑む三谷幸喜作品への意気込みを語った。

三谷が、世界で最も有名な名探偵シャーロック・ホームズの若き日の物語を描く書き下ろしの最新作。主人公のシャーロック・ホームズを演じるのは、劇団四季からデビューし、退団後もミュージカルを中心に数多くの作品に出演す柿澤だ。

昨年、柿澤が出演したミュージカル『メリー・ポピンズ』を三谷が観劇したのがきっかけとなり、今回の主演に抜てきされたという柿澤。三谷からは「僕のホームズがここにいる」と言われたそうで、「ミュージカル作品を観て、今回のストレートプレイで僕にインスピレーションが湧いたというのがすごくうれしかったです」と笑顔を見せる。

ただ、ホームズ役の話が来たときは半信半疑だったそうで、「マネージャーに居酒屋へ呼ばれたんです。『何か怒られるのかな、何か悪いことしたのかな』と思っていたら、『カッキー、三谷さんがやりたがってんだよ』って聞いて。そのときは『ウソでしょ、またまた~』って信じられなかったですね。でも、正直うれしかったですし、しかも、三谷さんはシャーロック・ホームズに思い入れがすごくあって、ご自身も“シャーロキアン”(シャーロック・ホームズの熱狂的ファン)というくらいお好きな作品。そのホームズ役を演じるんだから、『ちゃんとやんなきゃ!』って思いました」と、身が引き締まった。

三谷作品は今回が初挑戦で、「役者としては三谷さんの作品にはいつかは出たいと思っていました。笑いに妥協せず、でも、ただ笑わせたらいいというのではなく、作品の持っているメッセージは絶対ぶれないという印象がありますし、役から逸脱しない笑いはすごくカッコイイ! 三谷さんはご自身で脚本を書かれますし、その人の個性や特性を生かした当て書き方をされると伺っています。もちろん、インスピレーションが湧かないとキャスティングされないとずっと聞いていたので、やっぱりそれがうれしいですね」と、喜びもひとしおだ。

相棒となるジョン・H・ワトソン役を演じる佐藤二朗とは「以前、舞台で共演して、2~3カ月がっつり一緒だったので、ほぼ毎晩一緒に飲んで、毎晩酔っぱらっていたし、今年の1月1日も飲んでいました」というほどの仲。「僕自身この舞台にプレッシャーを感じているってことを、二朗さんに相談したら、『何も恐れるな! 俺がお前を最高のシャーロック・ホームズにしてやる!』って酔っ払いながら言っていたので、もし最高じゃなかったら、二朗さんのせいです(笑)」と笑みを浮かべた。

また、ショービズ界の一時代を築いたジャニー喜多川氏の訃報が話題に上がると、「日本のエンタテインメントの一時代を作った方で、僕も劇団四季の浅利慶太先生や、蜷川幸雄さんにお世話になってきましたし、皆さんそれぞれの時代を作ってきた方。そういう方が亡くなることに、喪失感はあります」としんみり。そして、「母から『ジャニーさんが亡くなったね』ってLINEが来たんです。僕は覚えてないんですが、僕が中学生のとき、ジャニーズ事務所の方に『ジャニーズに入らないか』って声を掛けられていたらしんです。『もし、ジャニーズに入っていたらどうなっていたんだろうね』って書かれていて初めて知ったんですが…」と、意外な事実が発覚したことを語っていた。