神戸は歴史と伝統、そして最先端が同居した街だ。自然を楽しむもよし、観光を楽しむもよし、買い物を楽しむもよしと、誰でもその目的に応じてカバーできる懐の深さがある。

また食の街でもある。新旧さまざまな食事処が並ぶ神戸の中で、誰もが認めるのがスイーツだ。今は全国区でも「発祥は神戸」というスイーツ店は多い。

  • 神戸港開港以来、神戸ではさまざまな文化が生み出されてきた。そのひとつがスイーツだ

歴史ある神戸スイーツ

神戸のスイーツでは、有名どころでは1909年創業のバウムクーヘンの名店「ユーハイム」、1931年創業でバレンタインチョコ文化の生みの親とも言われる「モロゾフ」をはじめとした戦前からの名店に加え、戦後急速に生菓子のスイーツ店が発展した。

1946年には「元町ケーキ」が創業。ヨーロッパのお菓子の素材にこだわる「ボックサン」に加え、1924年創業の老舗ベーカリー「フロインドリーブ」は、パンだけでなくスイーツも人気。

そうした多くのスイーツ店はライバルでもありながら、その中から同じ神戸を拠点として神戸のスイーツ発展を目指した取り組みも生まれている。それが「ORIGINE KOBE(オリジン・コウベ)」だ。

神戸パティスリーコレクションとは?

神戸を代表する8人のパティシエが集まり、神戸スイーツのブランドをさらに活性化させようと、それぞれがお菓子を作って「神戸パティスリーコレクション」を実施。さらに8人が考案したレシピを共有して同じお菓子を作る取り組みもしている。

  • 神戸のパティシエ8人が集まって活動を開始したORIGINE KOBE

代表を務めるのは、「パティスリー モンプリュ」の"メレンゲの魔術師"林周平シェフ。「ラヴニュー」の平井茂雄シェフ、「パティスリー アキト」の田中哲人シェフ、「パティスリー アグリコール」の原田義勝シェフ、「コンパルティール ヴァロール」の大西達也シェフ、「マ・ビッシュ」の村田博シェフ、「パティスリー ラトリエ・ドュ・マッサ」の上田真嗣シェフ、「パティスリー エトネ」の多田征二シェフという8人によるもの。

フランス菓子にこだわった「パティスリー モンプリュ」

パティスリー モンプリュは、神戸中華街にほど近い場所に位置している。日本的なお菓子ではなく、本場フランスの菓子にこだわったスイーツの数々。常時25~30種類の生菓子を並べていると言うが、人気店のため、時間が遅いと売り切れてしまうものも多い。

  • パティスリー モンプリュ

  • 美しいスイーツが並ぶ店内

  • 焼き菓子も充実

  • ORIGINE KOBEの名を冠したお菓子も販売

単に甘いだけではなく、香りや食感、苦味までもスイーツの味として調和させた大人のスイーツ。焼き菓子も充実しており、お土産にも最適。ゴルゴンゾーラのチーズを使用したチーズケーキ「デュデュ」なども人気だという。

ORIGINE KOBEとしてコーヒー風味のガトーショコラにソーテルヌにつけ込んだレーズンを入れ、アーモンド生地を乗せたスイーツも販売されている。

■パティスリー モンプリュ本店
営業時間:10時~19時(17時30分ラストオーダー)
休業日:火曜日・毎月第2水曜日(不定休)
住所:〒650-0024 兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-17

スイーツも豊富な老舗ベーカリー「フロインドリーブ」

神戸には多くのベーカリーもあり、朝のパンから昼のスイーツと、幅広く楽しめる店舗も多い。そんな神戸の中でも長い歴史を誇るベーカリーが「フロインドリーブ」だ。1924年創業という老舗ベーカリーは、阪神淡路大震災の影響もあって本店を移転しており、現在は旧神戸ユニオン教会を改装して本拠を構えている。

  • 歴史的にも価値のある旧神戸ユニオン教会を改装したフロインドリーブ

もともと、ドイツ人パン職人のフロインドリーブ氏が創業したため、メインとなるパンはドイツパン。ハードタイプが主流で、レンガ窯で焼き上げて強い弾力とみっちりと詰まったパンは食感が高く、質実剛健なイメージ。

  • 焼きたてパンなどが並ぶ店内

クッキーやパイ、パウンドケーキ、プルンダーなど、スイーツも豊富で、全て手作りの伝統的な作り方で製造。特にパンは、窯を使っていることから1日に1回しか焼き上げられず、人気の品はその日のうちに売り切れてしまうこともあるそうだ。

  • 人気のハードトースト(1/2)とクルミレーズン(1/2)

  • ドイツコッペも人気のパン

  • パイやプルンダーの種類も豊富

  • お土産の焼き菓子も是非購入したい

礼拝堂を改装した2階のカフェは、落ち着いた雰囲気で、ケーキなどのスイーツと紅茶を満喫できる。オープン前から並ぶ人もいるほどだが、登録文化財にも登録された旧教会の雰囲気を含めて堪能したい。

  • 礼拝堂を改装したカフェ。落ち着いた雰囲気

■フロインドリーブ
営業時間:10時~19時(ショップ)、10時~19時(ラストオーダー18時30分:カフェ)
休業日:水曜日(祝日の場合は翌日休)
住所:〒651-0092 兵庫県神戸市中央区生田町4-6-15

"神戸スイーツ"のセレクトショップ「リトル神戸」

普段の観光地からは少し外れるが、神戸新交通六甲アイランド線のアイランドセンター駅近くにある「リトル神戸」は、神戸スイーツの情報発信基地として、さまざまなワークショップや雑貨の販売に加えて、魅力的なスイーツも提供してくれる。

  • アイランドセンター駅に隣接するビル内にあるリトル神戸

  • 店内にはスイーツだけではなく、さまざまな神戸の特産品も並ぶ

スイーツでは、何といってもそびえ立つ山のごとき「ミックスベリートルネードスペシャル」がとにかく映える。スフレ生地のパンケーキの上に生クリームとミックスベリーソースをふんだんに盛り付けられており、なめてかかると痛い目に合うサイズ。

  • インパクトの強さだけでなく、食べても十分においしいミックスベリートルネードスペシャル

ただ、甘さは過剰ではなく、ベリーソースがほどよい酸味となって、パクパク食べられる。とはいえ一人ではなく、2人で食べても十分満足感は得られるサイズ。スイーツだけでなく、カレーをはじめとした通常の食事メニューも充実しているので、食事とスイーツのどちらの目的にも応えてくれる。

  • お酒好きなら見逃せないのが「マンゴーとへべすの酎ハイパフェ。4種類の焼酎の中からチョイスしてマンゴーとへべすを使ったパフェとお酒を同時に楽しめる。こちらは、宮崎とのコラボスイーツで、宮崎焼酎、宮崎マンゴー、宮崎の特産品へべすを使用している

さまざまな有名ブランドのお土産を買えるのも魅力で、"神戸スイーツ"のセレクトショップという印象。AKITO、レーブドゥシェフ、ボックサン、バウムウントバウムなど、有名スイーツ店のスイーツを購入することができる。

  • 名店ボックサンのスイーツも楽しめる

リトル神戸オリジナルのスイーツもあり、特に神戸市産のフルーツを使ったフィナンシェは、6月末のG20大阪サミットにも供された人気の一品。スイーツのワークショップなども定期的に開催されて地元に愛されるショップだが、オリジナルスイーツも魅力的で、同時に有名スイーツのお土産も買えるので、一度足を伸ばす価値はありそうだ。

  • 神戸でスイーツを楽しむ

    オリジナルのフィナンシェなど、お土産のスイーツも豊富

■リトル神戸
営業時間:10時~18時
休業日:平日(月~木)
住所:〒658-0032 兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1 神戸ファッションプラザ3階