おでんの具としてよく食べられている「はんぺん」。以前マイナビニュースでご紹介した「おでんの具の人気ランキング」では、1位の大根、2位のゆで卵に次いではんぺんが3位にランクインするほど、人気があることがわかりました。

白くてふわふわしており、チーズを挟んで食べても美味しい。そんなイメージがあるはんぺんですが、地域によっては「黒はんぺん」が主流だということをご存知でしょうか? 今回はそんな、「黒はんぺん」について、その歴史や美味しい食べ方、どこで買えるかなどといったことを紹介します。

  • 黒はんぺん

    「黒はんぺん」、食べたことありますか?

はんぺんはどうやって作られている?

そもそも「はんぺん」とは、スケトウダラやキントキダイといった白身魚を原材料にし、その魚肉を冷凍してからすり身にして、卵白とやまいもを入れて、塩と調味料で味付けしたものです。口の中でシュワッとなくなるのは、卵白とやまいもを使って空気を入れているからなんですね。

  • はんぺん

    はんぺん、と言えばこの白くて四角いものを連想しますよね

黒はんぺんが黒い理由は?

「黒はんぺん」は、主に静岡県でよく見られるもの。通常のはんぺんとは異なり、全体的に灰色がかっているのが特徴です。

ではなぜ通常のはんぺんとは色が違うのでしょうか?

  • 黒はんぺん

    黒はんぺんはなぜ黒い? (写真提供 : 静岡県観光協会)

その理由は、原材料の違いにあります。多くの人にとってなじみの深い「はんぺん(白はんぺん)」はスケトウダラなどの白身魚の魚肉を使っている一方で、黒はんぺんは静岡県で獲れやすいサバやイワシなどの赤身魚を使っています。またはんぺんと黒はんぺんは、原材料に加えて、製法も異なります。

以下、製法を簡単に説明しましょう。

まず、イワシやサバなどの魚を3枚に卸し、ぶつ切りにします。その後、フードカッターですり潰し、食塩を加えてまたすります。その後、砂糖とでんぷんと水を加えてまたすり潰す……。こうしてできたすり身をゆでて作ったのが、黒はんぺんです。ちなみに、同様の作り方で原料を白身魚にすれば蒲鉾(かまぼこ)ができます。

こうした製法の違いから、黒はんぺんの食感は、はんぺん独特のふわふわとしたものとは異なり、かまぼこやさつま揚げに近い引き締まったものとなっています。

黒はんぺんは静岡の名産品!

黒はんぺんの発祥の地は、静岡県の焼津・清水あたりだと言われています。そのため、特に焼津の近隣市で「B級グルメ」として人気となっているんですね。静岡県のスーパーやサービスエリアなどでも気軽に購入できます。

よく見るのは、おでんの具材に入っているもの。おでんの出汁(だし)が染みこんだ黒はんぺんは、魚のうまみと合わさってとても美味しいんです……! 通常、黒はんぺんはゆでた状態で販売しているため、そのままかじって食べることもできますが、静岡県では両面を軽く焼いてしょうゆをかけて食べるのも人気。黒はんぺんを置いてあるお店を見つけたら、探してみてください。

黒はんぺんの美味しい食べ方

黒はんぺんは、静岡県のスーパーなどに売っています。もし立ち寄る機会があればぜひ、見てみるといいでしょう。今回はせっかくなので、簡単にできる「黒はんぺんのフライ」の作り方をご紹介します。

◆黒はんぺんのフライ
<材料>
・黒はんぺん……10枚
・小麦粉……適量
・卵……1個
・パン粉……適量
・油……適量

<作り方>
(1)黒はんぺんに、小麦粉をまぶす
(2)卵をボウルの中でよくかき混ぜて、溶き卵を用意する
(3)黒はんぺんを溶き卵にくぐらせてから、パン粉をまぶす
(4)パン粉がきつね色になるまで揚げる

サクサクのパン粉と、魚のうまみがギュッと詰まった黒はんぺんが良く合いますよ。お弁当のおかずにも、夕飯のメニューとしてもおすすめの一品です。

ピンクと緑色のはんぺんもある?

白いはんぺん、黒はんぺんと続きましたが、なんと長崎には緑とピンクのはんぺんがあります。長崎の「ちゃんぽん」や「皿うどん」などを食べた際に、見たことがある人も多いかもしれません。

ただ、これらは長崎では「はんぺん」と呼ばれているだけで、どちらかというと「かまぼこ」に近い物です。多くの人が見慣れている、白身魚の魚肉を使ったはんぺんは長崎ではメジャーではなく、着色料を使ってピンク色や緑色に染めたこの食べ物のことを、はんぺんと呼んでいるそう。

まとめ

以上、黒はんぺんと白はんぺんの違いについて説明しました(おまけでピンク・緑はんぺんも)。「はんぺん」と一言で言っても、全国にはいろいろなはんぺんがあるようですね。

魚を丸ごと使っているため、栄養価にも優れる「黒はんぺん」。静岡県では有名なものの、まだ見たことがない、食べたことがない、という方もいらっしゃるでしょう。

静岡県以外でも、「静岡おでん」を取り扱っているお店では「黒はんぺん」が入っていることも少なくありません。「食べてみたい」と思った人はぜひ、普通のはんぺんとは違った味わいを求めて、お近くのお店を探してみてはいかがでしょうか?