きょう10日にスタートする女優・杏主演の日本テレビ系ドラマ『偽装不倫』(毎週水曜22:00~)。原作は、これまで『主に泣いてます』『東京タラレバ娘』『海月姫』といったドラマ化作品を手がけてきた漫画家の東村アキコ氏だ。

このほど、撮影が行われているスタジオを訪れた東村氏に、創作の裏側やドラマへの期待などを聞いた――。

■「主人と相談してまた来ます」

『偽装不倫』原作の東村アキコ氏

『偽装不倫』原作の東村アキコ氏

32歳独身、彼氏なしのおひとり様女子・濱鐘子(杏)が、一人旅に出かけた飛行機の中で年下のイケメン・伴野丈(宮沢氷魚)と出会い、「既婚者」とウソをついたことから始まる純愛ラブストーリーの同作。撮影の様子を見て、東村氏は「漫画ってどうしてもドラマにしたときに現実とギャップがあることが多いと思うんですけど、絵から抜け出てきたようなお2人で、私の絵にすごい顔が似てるなって思いました。作者としてはうれしいですし、楽しみになりました」と、期待を高まらせた。

杏とは、この日が初対面だったが、「お美しいんだけど、ちょっと歴史オタクだったり、漫画オタクだったりとかというのを拝見して、私の漫画も読んでいただいて推薦文のコメントをいただいてたので、昔から『この人は仲間だな』と思ってたんです。この(鐘子)役はそういう役なので、すごくうまくやっていただけると確信してます」と、全幅の信頼を寄せる。

“偽装不倫”という特殊な設定が生まれたのは、「私が結構、面倒くさいときに結婚してるふりをすることがよくあって、例えばタクシーの運転手さんに『旦那さんは今日お仕事?』とか聞かれたりするときに、『いや、バツ2です』って言ってらんないので、『そうですね』なんて言って、結婚したふりをしたほうが楽な瞬間ってすごいあるんです」と紹介。

「その手を一番使うのは、デパートでお洋服を選んでて、値段見て『これ高いな、やべーな』と思ったときに『主人と相談してまた来ます』って言うのをしょっちゅうやってて(笑)。それが発想のヒントになってるというのと、不倫モノをやってみたいなと思ったのがあって、それをドッキングさせたらどうなるかなと思って始めた連載です」と明かす。

そして、『偽装不倫』というタイトルは「なんか思いついちゃって。居酒屋さんで漫画の編集さんたちと打合せをしてて『不倫モノしようかなぁ~。でも、ただの不倫モノだと面白くないから“偽装不倫”みたいな?』って口からポンって出て」とアイデアが降りてきたそう。「口に出した良さみたいな感じで決めたんですけど、意外と気に入ってます」と愛着を語った。

  • 杏 (C)NTV

■原作は掲載日の昼から描き始める

原作は現在「LINEマンガ」で連載中で、毎週金曜の24時に更新されるが、「あれ、金曜の昼の1時から描いてるんよ(笑)」と告白。「それを夜7時とか8時に編集さんに渡してるんで、手伝いに来たアシスタントの新米の子が、夕方6時くらいに『先生、これいつ載るんですか?』って色塗りながら言うから、私が『今日の夜よ』って言ったら『エーッ!?』って言いますね(笑)。でもこんなもんです、週刊連載ってギリギリでやってます」と、衝撃的なスケジュールをあっけらかんと明かした。

「LINEマンガ」は読者からのコメントがつくが、「今の読者の方ってすごく鋭くて、いつもギクッとしながら読んでるんです。それもネット連載の良さで、すぐ感想が聞けるのは、自分の作品作りをやる上でもすごい勉強になりましたね。成長できたのではないかと思ってるんです」と、収穫があった様子。

これまでさまざまな作品が映像化されてきたが、「いつもキャラの性格そのままにやっていただいているので、今まで『違う』と思ったことはなくて、すごく良くしていただいてるかなと思います。設定とかはあんまり気にしないですね」といい、ドラマを見て、「私、場所に癖があるなと思って。例えば東京タワーを絶対入れちゃったりとか、スカイツリー入れちゃたり、大きいシンボリックなものを入れる癖があるんだな」と、気づかされることもあるそうだ。

  • 宮沢氷魚(左)と杏 (C)NTV

■初めて理想の男性を描いた

杏が演じる鐘子のモデルは、東山氏に今も付いているアシスタントの女性だというが、他の作品でも「だいたいお友達とかアシスタントさんとか編集さんとか、身の回りにいる女性を名前もろともそのままモデルにすることがほとんどです」とのこと。「普段会話してることとかを、いつも『描きたいな、描きたいな』と思ってて、その人の情報が溜まったら爆発して勝手に描いちゃって、あとで『ごめんね、描いちゃった(笑)』って言うんですけど、そんなに怒らないですね。かわいく描くので、喜んでくれることが多いです(笑)」と、キャラクターを作り上げているそうだ。

一方で、今作で宮沢が演じる“偽装不倫”相手の丈については、「『こういうことがあったらいいなぁ』という理想形を描いているので、特にモデルはいないんです」と説明。その理想とは「ミステリアスな透明感っていうんですかね。浮世離れしてる感じ。チャラそうでチャラくない、不思議な雰囲気だけど誠実そうっていう、“水”みたいな男の子を描きたいと思うので、すごい彼はピッタリだなと思いました」と期待を示す。

このように理想の男性像を作品で描くことは「今回が初めてなんじゃないかなと思います」といい、「前の『(東京)タラレバ娘』という作品のときは、喝をビシビシ入れる男の子を描こうと思って、それは自分だったら怖くて恋できないなと思いながらやってたけど、今回は自分がもっと若くて鐘子の立場だったらどんな人に恋に落ちるのかというテーマで描いたので、結構優しい感じになってると思います」と予告。

演じる宮沢については「私は絶対ネクストブレイク俳優だと思ってるんです。透明感がすごくて、『こんな男の子、どこにいたんだろう!』っていう感じなので、絶対アラサー女子の人に氷魚くんを見てほしい!」と、“激推し”アピールしていた。

  • (左から)東村アキコ氏、杏、宮沢氷魚