2018年12月の新型「8シリーズ クーペ」以降、継続的に高級なクルマをリリースし、“最上級ラグジュアリー”を再定義してきたBMW。6月24日には、2015年のフルモデルチェンジ以来となる大幅改良を施した同社のフラッグシップモデル「7シリーズ」を発表した。
ラグジュアリー感が半端ない!
今回のマイナーチェンジではエクステリアデザインを刷新。特徴的なのが、巨大化したキドニーグリルだ。従来モデルと比較すると、約40%の大型化を遂げている。巨大グリルの採用に加え、ボンネットの先端を約5cm高くし、厚みを持たせることで、存在感のあるデザインを狙ったという。
クラスで最も長いホイールベース(前後のタイヤの間の幅、3,210mm)を誇る新型7シリーズは、広い居住スペースも印象的だ。レザーシートやセンターコンソール部分などに使用する高級皮革には、キルティングのステッチを施してある。こういった工夫が、室内の独特なラグジュアリー感を醸し出している。
グレードによって、さまざまなパワートレインがそろう新型7シリーズ。今回の大幅改良から、2,997cc直列6気筒ガソリンエンジンと高性能リチウムイオンバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHV)「745e」がラインアップに加わった。この新たなパワートレインは、最高出力286ps(210kW)/5,000rpm、最大トルク450Nm/1,500~3,500を発生する。時速140キロまでは、電気のみの駆動によるゼロエミッション走行が可能だ。
ハンドルからのハンズオフが可能に
さらに注目なのが、新型7シリーズが搭載する先進テクノロジーの数々だ。なかでも、日本で初めて認可を取得した「ハンズ・オフ・アシストシステム」は、いよいよ自動運転が次の段階へと進む時が近づいてきたように感じられる、ちょっとすごい機能だ。
BMWによれば「高速道路において、時速60キロ以下の渋滞時、常にステアリングに手を置く必要がなく、ステアリングから手を膝に落としてリラックスした状態で、クルマが自律的に車線を認識して追従する」というのが、このシステムの概要だ。
それを可能にするのが、従来のステレオカメラに変えて新たに採用した3眼カメラである。現在、主なクルマの運転支援システムでは、基本的に1つもしくは2つのカメラで約100m弱の中距離を捕捉しているそう。それに対し、新型7シリーズが搭載する3眼カメラは、短距離カメラで20m先、中距離カメラでは通常よりも長い120m先、そして、長距離カメラでは300mという長距離の距離計測ができるようになっている。そのため、路面の先のカーブを正確に把握でき、より正確なドライビングアシストが実現できるそうだ。
もちろん、カメラが取得した高精度画像を分析するためにも非常に高いレベルのテクノロジーが必要となる。そのため、このクルマは、毎秒2兆6,000億回もの画像解析が可能な最先端の画像解析プロセッサーを積んでいる。まさに、新型7シリーズは最新テクノロジーの塊ともいえるわけだ。
新型7シリーズのプロダクト・マネージャーを務める御館康成氏は、「よりオーセンティックで高品質なプレステージセダンへと進化した」とクルマの完成度に自信を示す。販売価格はグレードによって異なるが、エントリーグレード「740i」の1,090万円から最上級モデル「M760Li xDrive」の2,523万円まで、いずれもおいそれと手が出せる金額ではない。しかし、日本車のラインアップが激減している「セダン」の魅力を、あらためて感じさせてくれるクルマであることは間違いないはずだ。