パナソニックのデジタルカメラといえば、フルサイズミラーレス「LUMIX S1/S1R」がプロからアマチュアまで広く注目を集めています。「カメラグランプリ受賞! パナソニック『LUMIX S1R』レビュー(前編)」「『LUMIX S1R』レビュー(後編)、圧巻の高画質に惚れ込むカメラ」の2本のレビュー記事で紹介したとおり完成度は高く、生み出される画像も高描写。高価ながら、同社の意気込みを強く感じさせる1台に仕上がっています。
しかしながら、同社のミラーレスカメラの主力は、より小型軽量で低価格のマイクロフォーサーズ機であることに変わりはありません。5月下旬に販売を開始した「LUMIX G99」(以下、G99)は、兄貴分の「LUMIX G9 PRO」(以下、G9 PRO)並みの性能をコンパクトボディに凝縮した意欲作として話題になっています。実力をチェックしてみましょう。
上位機種並みの装備を小型軽量ボディに凝縮
G99は、有効2030万画素の4/3型Live MOSセンサーを搭載。マイクロフォーサーズなので、センサーの面積はフルサイズセンサーと比べて1/4ほどしかありませんが、それゆえボディと交換レンズのいずれもコンパクトな設計なのが魅力です。ふだん、フルサイズ一眼レフやAPS-Cミラーレスを使うことの多い私にとって、G99のサイズ感や重量感はとても軽快に感じました。
強力な手ブレ補正機構も注目すべき点といえます。ボディ内手ブレ補正機構とレンズ内手ブレ補正機構との合わせワザで、補正効果を最大5段分に引き上げる「Dual I.S.2」に対応しているのがポイント。夜景や室内、望遠撮影でも手ブレを恐れずに撮影が楽しめます。
オートフォーカスも、G9 PROと同様にパナソニックの独自の「空間認識技術(DFD)」を用いた高速&高精度のAFを搭載しています。動いている被写体にも強く、撮影シーンを選びません。AFのトレンドである瞳AFも搭載しており、撮影者はピント位置を気にすることなく、アングルやシャッタータイミングに集中できます。
EVFは236万ドット。G9 PROの368万ドットには及びませんが、コントラストは高く高精細です。応答速度も早く、実際の被写体の動きとのタイムラグも気にならないレベルと述べてよいでしょう。背面の液晶モニターは3型/124万ドットと高精細で、タッチシャッターなどに対応しているほか、カメラアングルを選ばないフリーアングルタイプとしています。
高速連写は、G9 PROの12コマ/秒に対しG99は9コマ/秒、4K動画撮影機能は最大60pに対し最大30pとするなど、いくぶんデチューンされています。しかし、一般の写真ファンが撮影を楽しむならば不足は感じないでしょう。
このような充実の機能や装備を、G9 PROより122gも軽い536g(バッテリー、メモリーカード含む)の防塵防滴ボディに凝縮しています。ボディサイズも、G9 PROが136.9×97.3×91.6mmなのに対し、G9が130.4×93.5×77.4mm(いずれも幅×高さ×奥行)とさらにコンパクト。マイクロフォーサーズならではの重量感やサイズ感といえます。
パナソニックのミラーレスでいつも感心させられるのが、操作ボタンや操作レバー類の機能の割り当て。電源ボタンは、レバー式のものがモードダイヤルもしくはシャッターダイヤル近くに備わるのですが、電源の状態がひと目で分かります。もちろん、G99もモードダイヤルと同軸の電源レバーが採用されています。また、使用頻度の高いホワイトバランスボタン/ISOボタン/露出補正ボタンがシャッターボタンの後方に3連で並んでいますが、これはフルサイズの「LUMIX S1/S1R」をはじめ、上位機種のG9 PROや「LUMIX GH5」と同じ。ほかの操作ボタン類の位置もさほど変わらないので、サブ機として本機を使う場合でも操作に戸惑うことは少ないでしょう。
機能や装備は上位モデルのG9 PROに迫りながら、マイクロフォーサーズらしい軽量コンパクトに仕上がっているのがG99の魅力。後編では、実写でG99の実力に迫ってみます。
著者プロフィール
大浦タケシ
宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。2018年は、昨年に続き写真展(個展)が開催できず猛省。2019年は少なくとも写真を撮りため、写真展の足がかりをつくりたいと考えています。日本写真家協会(JPS)会員。